ゲーム機はゲーム機で出来のよいエミュレータがありますが、既に過去のものとなってしまったパソコン(8bit機など)のエミュレータも登場しています。
MSXエミュレータであるfMSXは、ソースが公開されていたこともあり各機種に移植されてきました。
またWindows上では、昔あこがれていたX68000のエミュレータも登場しています。そんな状況のなかで、何故かPC-8801mk2SRエミュレータだけはなかなか実用的なものが登場しませんでした。
(需要は高かったと思うのですが・・・)
私が本格的にパソコンを使い始めたのは、高校入学と同時に購入したPC-8801mk2FRからです。これもつい最近まで稼動していましたが、フロッピードライブの調子がおかしくなり、書き込みはもとより読み込みまでまともにできなくなりつつあったので、最近PC-8801FAの中古を購入しました。(^^;)
そんなこんなで私の学生時代はこのマシンと共にありました。思い入れはかなり強く、PC-8801エミュレータの登場を心待ちにしていました。こちらもPC-98用ですが、丸田さんという方が開発されていたPC-8801mk2SRエミュレータが登場したとき、その動作速度の重さには愕然としたものの、将来の可能性に期待したものです。しかしこちらは作者さんが大学を卒業された際にぷっつりと開発がとまってしまったようで、残念に思ったものです。
また、PC-8001エミュレータの作者さんが、PC-8801エミュレータの開発もされていましたが、私としてはやはりSR以降をターゲットにした開発を期待したいところでした。
[ 初の実用的なPC-8801mk2SR エミュレータの登場(P88SR) ]
しかし97年11月、遂にすばらしいPC-8801mk2SRエミュレータが登場しました。ぶるー氏作のP88SR.EXE(発表直後はZ80ADPCM.EXEという名前でした)は、発表当時から市販ソフトのサークやヴァリス2など往年の名作のゲームソフトがストレスのない速度で動作しました。バージョンアップも頻繁に続けられ、要望はどんどん取り入れられてゆき、私が最初に目にしてから3ヶ月余りで動作しないソフトはほぼなくなりつつあります。
このエミュレータはPC-88とハードウェア構成がよく似ているPC-98 MS-DOS専用であり、画面周りやFM音源などのエミュレーションをPC-98のハードウェアに依存することで、非常に高速に動作します。私は自宅ではもっぱら屑同然となりつつある486マシンのPC-9821Ap/M2(5"FDDモデル)をごてごて強化したマシンを使用しておりましたが、非常に快適で、場合によっては実機(4MHz機PC88と比較して)よりも高速に動作します。サウンドボード2のエミュレーションについても当初から86音源を用いてサポートされていましたが、より動作の軽いスピークボードやちびおとといった音源も後にサポートされ、高速動作が可能となりました。
(その後、PC-9821An/M2 にハードウェアを買い替え、CPUをPentium-180MHzに換装・ちびおと内蔵にて使用しております。非常に快適です。)
最近のエミュレータは優れたものはPC/AT互換機のDOS用のものが非常に多いのですが、これほど「98を持っていて良かった!」と思ったことはありませんでした。(^^)
[ Windows98/Windows95/NT用PC-8801mk2SRエミュレータの登場 (M88,PC88Win)]
さらに98年5月頃、Windows用のPC-8801mk2SRエミュレータが登場しました。
まずM88が先に発表されました。当初は音源をサポートしていなかったものの、やがてDirectSoundを利用してSSGを鳴らせるようになり、やがてMAMEに使用されているFM音源のエンジンを搭載して待望のFM音源エミュレーションも可能となりました。現在ではリズム音源・ADPCMも含めてサポートされていますが、その代償としてかなり動作が重くなってしまっています。また、業界標準(?)のP88SRのディスクイメージやROMが流用できるのですが、P88SR用の複数枚をまとめたディスクイメージについては書き込みが出来ない(M88_19現在)等、不便な点も残されています。イメージの形式をフロッピー1枚につき1ファイルにすれば問題なく使用できます。
(注:M88のディスクイメージに関する制限はM88_200で解消されました!)
次にPC88Winが発表されました。M88が永らくFM音源をサポートしていなかったのですが、こちらの方がFM音源のエミュレーションを先に搭載しています。こちらのOPNエミュレーションエンジンは独自のもので、FM音源の音色の再現性はややM88に劣りますが、CSM音声合成モード(シルフィード等で発音される声はこれを使用しています)の再現性・SSGを利用したPCM再生等の再現性はM88を上回ります。ver
1.12では遂にサウンドボード2のエミュレーションがサポートされました。また専用ハードウェアを設計してリズム音源の音色データをデジタル的に吸い出したり、意欲的に開発が進められているようです。
M88とPC88Win、双方とも甲乙つけがたい素晴らしい出来のエミュレータです。それぞれに特長はありますので、使い分けてもよいでしょう。
[ テープイメージに対応したPC-8801エミュレータの登場 (X88000)]
98年8月、第3のWindows用PC-8801エミュレータとしてX88000が発表されました。こちらは動作はやや重めで、ディスクイメージのサポートはまだREADのみですか、P88SR,M88,PC88Winにはない大きな特徴として、テープイメージのサポートがされました。
オーディオカセットテープをデータ保存用の媒体として使用していたことは、最近の人は知らない人も多いかもしれません。88ユーザでも比較的後期のPC-8801FH以降のユーザでは知らない人も多いかもしれません。データレコーダを接続するCMT端子は、PC-8801FH以降で廃止されてしまいました。(PC-8801mk2MRについては、CMTインターフェースはオプションボードとなっています。)
このエミュレータは、カセットテープ媒体に保存されたデータをイメージ化し、実行することができます。PC-8801時代のソフトの中には、テープ版しか発売されていないソフトもありましたが、従来はこのようなソフトはディスクに落とさない限り実行できませんでした。テープイメージを作成するには、テープを録音したWAVファイルをWAV2T88というツールを使って解析し、データ化します。
なお、テープイメージ(T88)についてはP88SRでもver 0.42から逆輸入的に実装され、使用できるようになりました。
[ その他のPC-8801エミュレータ ]
現在動作しているものでは、P88SRよりも先に開発されていた(が、惜しむらくはPC-8801無印のエミュレータであって、V2モードを使用するソフトは動作しない)PC88エミュレータや、QUASI88というFreeBSD+X-windowで動作するエミュレータ等がありますが、私は試しておりませんので割愛します(^^;)すみません。
Macintoshでは、Virtual-PCやSoftWindowsのようなWindowsエミュレータ上でM88やPC88Win等が動作するようです。さらにはその下で98/Vを動かし、そこでP88SRを動作させた強者もおります。重そうです(笑)
各エミュレータの特徴をまとめてみると以下のようになります。(一部、個人的主観が入っている部分もあります。)
プラットホーム | 特長 | 欠点 | |
P88SR
(v0.45) |
PC-98 Series
MS-DOS |
・動作が非常に高速
(486機で快適に動作) ・サウンドボード2を含めたFM音源のサポート (ハードウェアによる) ・動作可能なソフトウェアが最も多い ・どこでもセーブ機能 ・拡張RAM,PC-8001用PCG機能のサポート ・プリンタ・シリアルポートのサポート ・辞書ROMのサポート ・テープイメージのサポート ・ディスクイメージを作成せずに、PC88のFDから直接読み取って実行可能(要5"FDD) |
・PC-98シリーズ MS-DOS専用
(Windows95 MS-DOSプロンプトでは一部制限が出る場合があります) ・FM音源ボードが必要 (PC-9801-86 (+ちびおと) 推奨) (PC-9801-118およびサードパーティ製ボードでは一部制限がある場合があります。) |
M88
(ver 2.11) |
Windows98/95/NT | ・Windows用のため多くの機種で動作可能
・サウンドボード2を含めたFM音源のサポート(かなり高音質です) ・拡張RAM・PC-8001用PCG機能のサポート ・辞書ROMのサポート ・全画面表示のサポート ・インターレース表示対応 ・ジョイスティックのサポート ・マウスのサポート ・N80モードのサポート ・WAVE出力機能のサポート ・どこでもセーブ機能 ・PC-8001mk2互換モード ・ソースが公開されています。 |
・重い(^^;)Pentium-233MHz以上を推奨。
(サウンドボード2エミュレーション時) ・P88SR形式のROM/ディスクイメージが利用できます。19cまでのバージョンでは一部書き込みが出来ない等の動作上の制限がありましたが、2.00でこの制約がなくなりました。 |
PC88Win
(ver 1.14) |
Windows98/95/NT | ・Windows用のため多くの機種で動作可能
・P88SR形式のROM/ディスクイメージが使用可能 ・サウンドボード2を含めたFM音源のサポート ・鍵盤表示・パートマスク機能 ・インターレース表示対応 |
・重い(^^;)個人的にはPentium-200MHz以上を推奨。 |
X88000
(ver 1.1.5) |
Windows98/95/NT | ・Windows用のため多くの機種で動作可能
・全画面表示のサポート ・インターレース表示対応 ・テープイメージに対応。 テープ版のソフトが動作可能 |
・重い(^^;)M88やPC88Winと比べても重めです。
・サウンド機能は未対応です。 ・ v1.1.1より、ディスクイメージ(READのみ)およびV2モードに対応しました。 |
P88SR (ぶるー氏作)
ぶるー牧場 ( http://www1.plala.or.jp/aoto/ )
M88 (cisc氏作)
M88のページ ( http://retropc.net/cisc/m88/ )
PC88Win ( SOLTIN software 作 )
PC88エミュレータ for Windows ( http://home.highway.ne.jp/soltin/pc88win.html
)
※このページはトップページではありません。暫定のページということで
SOLTIN softwareさんの
ページからは独立しているみたいです。
X88000 ( manuke氏作 )
Project X88000 ( http://www.geocities.com/Area51/Dungeon/6809/x88000.html
)
以下に詳細をまとめてみましたのでご覧ください。