M88はWindows98/Windows95/NT用なのでPC/AT互換機,PC-98シリーズで動作します。スだし、テキスト画面/グラフィック画面重ね合わせ、パレット処理、FM音源のPCM音源でのソフトウェア合成がすべてマシンパワーに大きく依存しますので、非力なマシンではかなり動作が遅くなります。
特にFM音源をサポートしてから一層重くなりました。とはいえFM音源のサポートされていないPC-88シリーズは寂しすぎますから、致し方のないところでしょう。重い場合は、サウンドボード2のエミュレーションを諦める、FM音源の音質を落とす、画面の更新頻度を下げる、等である程度対処できます。
FM音源についてはアーケードエミュレータとして有名なMAMEやSYSTEM16 Emulator等でも採用されているエンジンが使用されています。(このエンジンは日本人の方が作られています。驚きです。)このFM音源エンジンは、FM音源の音色の再現性が素晴らしく、かなり本物に近い音色が出ます。高域での演算オーバーフローを利用したシンバルやギター系の音色では、以前はやはり本物とは違う音になってしまうようでしたが、55kHz合成がサポートされるようになって大分改善されました。サウンドボード2にも対応し、ADPCM・リズム音源を含めて演奏できるようになっています。CSM音声合成モード注1には対応していますが、こちらはやや再現性は劣ります。また、効果音モード注2もサポートされているようです。
注1:CSM音声合成モード・・・OPN/OPNAのFM音源の3ch目に実装された特殊な機能で、正弦波合成による音声合成が可能なモードです。ゲームアーツ系のゲームで採用されている、「洗面器に顔をつけてしゃべったような声」が特徴です。具体的にはKey-onのタイミングをタイマAで制御できるモード・・・だそうです。
注2:効果音モード・・・これまたOPN/OPNAのFM音源の3ch目に実装された特殊な機能で、4つあるスロット(正弦波発振器)に対して別々の周波数を設定できるモードです。これを利用すると、1つのチャンネルで音程を微妙に変えて深みのある音を作ったり、1つのパートを最大4ch(アルゴリズム=7使用時)で使用して和音を出したりことができます。同人シューティングゲームの傑作
"Revolter"等で使用されています。
PC/AT互換機の場合は、5"FDDがあれば、P88SRとほぼ同様の手順で(PC88で起動可能な5"FDを作成→PC88で起動して自動的にFD内にセーブ→AT機でセーブされたデータを吸い上げる)作成できます。
しかしながらPC/AT機に5"FDDを増設している人もそう多くはないと思いますので、大抵は、M88のページで公開されているユーティリティ(M88Tools内の「XDISK.EXE」)を使用して、Windows98/Windows95の動作するマシンからRS-232Cシリアルケーブル経由で吸い上げることになります。
この方法では用意するものとしてはシリアルのクロスケーブルのみなのでお手軽な反面、転送に時間がかかる欠点があります。だいたい、ROMを19200bpsで吸い上げるのに5〜10分程度かかるようです。
XDISKを使用してROMを作成するには、まずWindows機とPC-88のシリアルポート同士をシリアルクロスケーブルで接続します。(モデム等を接続するケーブルはストレートケーブルなので使用できません。)
接続したらPC88側のディップスイッチ設定でシリアルポートの設定を9600bpsか19200bpsに設定します。4MHz機では9600,8MHz機では19200bpsが推奨値です。
次に、PC88側で
次にWindow機側で受信の準備をします。
これでROMファイルは転送されましたが、さらにサウンドボード2でリズム音源をエミュレーションするには、リズム音源をサンプリングしたWAVファイルを作成する必要があります。
PC-88側でサウンドボード2用のBASICを起動して、cmd rhythm命令でリズム音を発音させたものをWindows機でサウンドレコーダ等を使って録音するとよいでしょう。これをM88のドキュメントに記載されている特定のファイル名をつけて保存し、M88と同じディレクトリに置いておきます。
M88にはAT機の5"FDDからディスクイメージを作成するユーティリティとして、READERというツールが用意されていますが、聞いた話ではどうも標準的なフォーマットのものしか対応していないそうです。(私自身が所有しているAT機がノートなのでREADERは使ったことがないです。PC98でイメージ作成したほうが楽ですし・・・)
また、ROMを吸い上げる際に使用したXDISK.EXEを使ってPC88のFDDから吸い上げることができます。手順はROMを吸い上げる手順とほぼ同じです。(オプションが
-r の代わりに -d1 または -d2に変わるだけです。)
ただし、2Dのフロッピー1枚を吸い上げるのに10〜15分くらいかかりますので、多数のディスクのイメージを作成するにはかなり時間と手間がかかるようです。