仙元山から三ヶ岡山(9月)

三ヶ岡山(三浦半島)

三浦半島、とくに葉山は歩けるところが多いと知ってWebを探索していたところ、葉山まちづくり協会「葉山の山歩きコース」と「葉山を歩こう」散策MAP全9冊というものがあることを知った。Webでも地図自体は入手できるが現物はA3版だという。現地でのウォーキングかたがた印刷物を入手しようと初夏の葉山に赴き、協会の事務所を葉山図書館に尋ね、手にした地図を利用してすぐ近くの三ヶ岡山を歩くことにした。


三ヶ岡山は図書館のある北側から眺めるとなんてことはない丘陵地のように見えるが、山の東へと回り込んでいくと背の割に急激に立ち上がっているのがわかる。近くの峯山と違って山腹に人工物が目立たないのはそのせいだろう。山麓南東の旧役場前バス停に来ると標識があり、つつじコースと名のあるルートを案内している。民家の合間を抜け、竹林を左手に簡易舗装路を上がって最後の家の屋根を見下ろすようになると山道にかかる。木々に囲まれて見通しのきかない道を登ると尾根の上に出る。ほんの少し登った程度だが、日差しの回る季節は汗が出る。足裏の土の感触もよく、山に来た気分になれる。
東峰広場へ続く登路
東峰広場へ続く登路
広く歩きやすい道のりで樹林の下を行けば正面に江ノ島が見えてくる。開けた足下には葉山堀内地区の家々が並び、その向こうに相模湾が広がって鎌倉の砂浜を霞ませている。標高の割に開豁な眺めが得られて嬉しい。ここは東2峰広場というところでベンチとテーブルがあり、眺望を楽しみながら休憩ができる。本日ザックから取り出すのは大判焼きで、図書館に寄るためバスを降りたところで買ったものだ。カボチャと紫芋を買ってきていたがどちらも美味しかった。
東峰から江ノ島(左奥)、相模湾を望む
東峰から江ノ島(左奥)、相模湾を望む
あいかわらず歩きやすい道のりを行く。ほんの少し下って登れば最高点で、ベンチ、テーブルに加えてあずまやまであるものの、残念ながら眺めはない。しかし開けた林のなかなので閉塞感はなく、右手から合流してくるあじさいコースを採って登ってきたときはためらいなく休憩しようと思えるだろう。後日にあじさいコースを下ってみたが、このあと辿る真名瀬コースの下りほどではないにせよ急な木製階段が連続するもので、逆コースに採るには少々たいへんと思える。山腹半ばで住宅地に出てしまい、バス停まではさらに舗装道を下る。登りに取ったときはわかりにくいかもしれない。
山頂から西へ行く真名瀬コースは気持ちよく木々が点在する尾根道で、少々広くなると西峰に達する。右手彼方、梢越しに美しい三角錐の山が目を惹く。三浦アルプスの観音峰で、200メートル程度の山とは思えない優美さだ。その左手に草原の斜面を見せているのが仙元山で、さらに左手下に延びる尾根を追うと異国情緒のある洋館が目立つ。少々考えて仙元山登山道入口脇にある葉山教会と気づいた。意外と大きい建物だとわかる。
そぞろ歩きによい西峰
そぞろ歩きによい西峰
くつろぐ人の姿を目にする広場を横切ると西2峰展望台と呼ばれる木製のテラスがある。ここからも江ノ島を中心とする相模湾の眺めがよい。最後の展望を愉しんでから下山にかかる。右手下に食い込んでいる谷が深く、痩せた稜線から見下ろせば新緑が美しい。急坂になってくると木製階段を延々と辿るようになる。飛び出す先は真名瀬地区の熊野神社脇で、この日は例大祭があるとかで準備で賑わっていた。


参道を下ると海岸沿いの車道に出た。三ヶ岡山は小さな山なので図書館から歩き出した時間を加えてもまだ2時間ほどしか経っていない。では寄り道して帰ろうかと、右手に行けば森戸神社方面、左手に行けば神奈川県立美術館葉山や葉山御用邸、どちらに行くか考えた。
まちづくり協会でもらってきた『葉山芸術祭』なるもののイベントガイドを見ると、ちょうど「青空アート市」が美術館方面の森山神社というところで開かれているとあり、なかなか面白そうなので冷やかしにいくことにした。半時ほどで着いた神社境内は好天の土曜のせいかかなりの賑わいで、あちこちに並ぶ手作りの品々がたいへん愛らしい。大道芸やら鉄板焼きの店やらもあってほとんど村祭りのような盛況だった。
もうひとつ寄り道しようと、賑やかさを背に往路を戻ってしおさい公園に向かった。葉山御用邸別邸を開放したもので、入園が有料のせいか「アート市」とはうってかわって閑散としていたが、木立の中の散策路が縦横に通る園内は小さいながら滝まであって愉しく、園内に建つ博物館も相模湾の海生生物を中心に展示していて退屈しない場所だった。
しおさい公園のシャクナゲ
しおさい公園のシャクナゲ
山を下ったころは神奈川県立近代美術館葉山も立ち寄り候補に考えていたが、そろそろくたびれてきたのでこの日はこれで終わりとした。しおさい公園近くで三ヶ岡山を見上げながらバスを待ち、きらめく海を眺めながら逗子駅に出た。
2010/05/15

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