|
23 Mar 2024
かなり久しぶりに連れとシネコンで映画を観る。
"ナショナルシアターライブ"『ディア・イングランド』。現実のサッカ- イングランド代表チームの蘇生の物語。舞台芝居のライブ映像なのだけど、カメラワークが秀逸で引きも寄せも変化に富み、見ていて飽きさせない。
国際大会でPK戦になると必ず負けていたイングランド代表、それでも1966年の自国開催ワールドカップでの優勝が呪縛のようにまとわりつき、常に優勝候補と囃し立てられる。そして敗退すれば非難の嵐。かつてPK戦で最後のキッカーとして失敗した経験を持つサウスゲートは、監督に就任するに当たり、なにを望んだか?
どんな脚光を浴び、どれだけ稼いでいようと、選手も人間であり緊張もすれば重圧に晒されて悩みもする。新しいチームは、人を人として扱い、自己責任として放置しない。それは甘やかすことではない。それはサポート。その思考は、選手を単なるプレイヤーとして見るのではなく、誰とも異なる個人として見る。
サウスゲートの改革により、イングランドはPK戦で初めて勝ち、苦手だったドイツにも勝ち、EURO2020では決勝の舞台にも立った。残念ながらイタリアに負けたが(しかもPK戦で)。物語はまだ続く。しかし分厚い壁を拳で殴って崩そうという物語ではない。ケアと信頼とに基づいた物語。
この芝居、何ヶ月もイングランドで上演されただけあって話が面白いのは当然として、出てくる役者さんが実際の監督や選手によく似てる。サウスゲートはもちろん、選手で言えばハリー・マグワイアなんて紹介されなくても分かるし、ラッシュフォードもハリー・ケインもよく似せている。笑えるのはなぜか出てくる過去の代表監督で、スヴェン・エリクソンとかカペッロとか、思わず上映中に隣の連れに説明したくなる。
|
|