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詰将棋おもちゃ箱記録に挑戦!

記録展示室 No.54 金少桂さん

記録に挑戦!
記録に挑戦!
出題時のコメント:
飛車の大活躍。110手台

記録展示室No.53のドうえもんさんの作品が角打角合の「角の大活躍」なら、 本作は「飛車の大活躍」。 受方の持駒はなし、初手27飛には37龍の移動合しかない。 となれば、飛打飛合の趣向らしい、と見当がつきます。

そこで、前作と同様に、初形で玉が行けないところ(詰方の駒が利いているマスと後手の駒があるマス) に色を塗ってみましょう。 「コ」の字型のコースが見えてきました(36は飛が動けば行けるようになります)。

ところが、このコースを飛打ち飛合で移動するには大きな障害があります。 それは72の銀。 三段目を左の方に行くには、その前に72銀を何とかしなければなりません。

ここが本作のキーであり、この構想によって100手超えの長手数が実現したのです。

といっても、「この構想ってなに? 何とかするって?」とハテナマークがぐるぐる回っているかもしれません。 その答えは伊藤看寿の名作、将棋図巧第1番詰将棋博物館)にあります。

図巧1番では飛打飛合によって受方の16の角を25、36、45、56と移動させます。 それによってのちの92歩の打歩詰を同角と取らせて打開するという、驚天動地の構想でした。

本作でも飛打飛合により、72の銀を83、74、85、76、87と移動させるのです。
それでは、手順を進めてみましょう。

  27飛、37龍、同飛、同玉、

  57飛、47飛合、同飛、同玉、
  67飛、57飛合、同飛、同玉、
  77飛、67飛合、同飛、同玉、
  87飛、77飛合、同飛、同玉、
  97飛、87飛合、同飛、同玉、

87まで呼んで、ここから受方の銀ノコが始まります!

  82飛、83飛合、同飛成、同銀、67飛、77飛合、同飛、同玉、
  73飛、74飛合、同飛成、同銀、97飛、87飛合、同飛、同玉、
  84飛、85飛合、同飛、同銀、67飛、77飛合、同飛、同玉、
  75飛、76飛合、同飛、同銀、97飛、87飛合、同飛、同銀不成

縦の飛打は限定打。 逃げられた時銀を取って詰めるためです。
銀は85まで呼べばよさそうですが、この位置ではまだ74への利きがあるので最後詰まなくなります。
同銀不成のところ、これまでと同様に同玉では、86飛から銀を取って簡単。
また同銀成では、73飛〜76飛成〜87龍で銀を取られます。

さて、87まで呼べば、もうこの銀は邪魔になりません。 予定通り飛打飛合の送り趣向を始めましょう。

  57飛、67飛合、同飛、同玉、
  47飛、57飛合、同飛、同玉、
  37飛、47飛合、同飛、同玉、
  27飛、37飛合、同飛、同玉、

  35飛、36飛合、同飛、同玉、
  34飛、35飛合、同飛、同玉、
  33飛、34飛合、同飛成、同玉、
  31飛、33飛合、同飛成、同玉、

  53飛、43飛合、同飛成、同玉、
  63飛、53飛合、同飛成、同玉、
  73飛、63飛合、同飛成、同玉、
  83飛、73飛合、同飛成、同玉、
  93飛、83飛合、同飛成、同玉、
  84飛、93玉、82飛成 まで111手

曲がり角では要注意。31飛は限定打(43玉に41飛成を用意)です。
収束、84飛に73玉なら74とまで。 記録作としてはこの変同はちょっと痛いですが、銀移動の仕組みと密接に絡んでいるので、 これを消すのは難しそうです。

これまでの記録作(今村修さん59手) を40手以上更新した全着手飛の長手数記録作品(111手)
今村作も飛打飛合による送り趣向でしたが、本作は軌跡による長手数化だけでなく、 全着手飛という強い制約の中で看寿の名作の趣向を挿入して、111手という大記録を打ち立てました。

作者:
全着手飛は、 La打−Lb合−同La−同玉 で創るのが一般的でかつ常識(?)のようですが、必ずしもこうである必要はないのではないか、と思って、 玉方銀鋸(La打−Lb合−同La−同銀)を挿入することを思いつき、手数を大幅に更新することに成功しました。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

小野寺さん:
銀さんをどこまで連れ回せば気がすむ神楽ちゃん。(知らん人は知らんな)

銀魂? 知らない人の方が多そうな。

長谷繁蔵さん:
5手目33飛から入って失敗
稲葉上さん:
全着手飛。最初縦に追って路頭に ^^;
銀ノコのおまけ付きですが、56手目は不成限定ですね。
中澤照夫さん:
飛合の回数の記録でしょうか。
凡骨生さん:
飛打飛合26回で初めの龍合はオマケですか?

全着手飛でした。 飛合回数はメタ新世界(飛合93回)があるので、とてもとても。

ほいさん:
わかりません・・・:双玉はなんだかめずらしいです。

ぜひ手順を並べてご鑑賞ください。

嵐田保夫さん:
7二の銀を8七まで誘導する辺りは実に巧妙。
魚熊さん:
72の銀を85まで連れて行けるのは簡単に気付いたのに、76にも連れていけるのに気付かずにいて、この問題が最後まで残りました。76に連れていくとちがう理由で87につれていかないといけないところがいいですね。
隅の老人Bさん:
今度は飛ですか。巧みに銀を持ち上げたのが、勝因。
それにしても、みなさん、いろいろな趣向を考えますね。
馬屋原さん:
前半の銀の翻弄によって手数を稼ぐのが非常にうまい
S.Kimuraさん:
飛車打ち飛車合いだろうと予想し,最初に玉を上に引っ張り上げました.素直に付いていったと仮定し,33で左に曲がり,73で同銀と取って,ターンしましたが,33に戻れない・・

最初に縦に行くか横に行くかが勝負だったりして。


記録展示室No.54 解答:11名 全員正解(下記)

  嵐田保夫さん  稲葉上さん  魚熊さん  馬屋原さん
  小野寺さん  鈴木康夫さん  隅の老人Bさん  躑躅さん
  中澤照夫さん  長谷繁蔵さん  凡骨生さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。