受方の持駒を見ると歩だけ。
となれば、初形から角打ち角合の趣向らしい、と見当がつきます。
角打角合の趣向だとすれば、玉が移動するコースがあるはず。
試しに、初形で玉が行けないところ(詰方の駒が利いているマスと後手の駒があるマス)に色を塗ってみましょう。
玉の行けるところは、意外に少なく、○のコースが浮かび上がります。
初手は48角の一手。
これに対し同玉と同桂がありますが、図でわかるように同桂成だと37香が35に通って、35玉と行けなくなります。
そこで48同玉。
さあ、ここからが本当の角打角合趣向のスタートです。
48角、同玉、
66角、57角合、同角、同玉、
75角、66角合、同角、同玉、
84角、75角合、同角、同玉、
93角、84角合、同角成、同玉、
84で90度ターン。
ここでは75に戻られないようにちょっと工夫が必要です。
それは51角の限定打。
75玉なら42角成と香が取れるので早いというわけです。
51角、73角合、同角成、同玉、
51角、62角合、同角成、同玉、
62でのターンも戻られないように55飛を質にした44角の限定打。
ここはわかりやすいですね。
44角、53角合、同角成、同玉、
35角、44角合、同角、同玉、
17角、35角合、同角、同玉、
17角、26角合、同角、同金、
44玉のときは26には金が利いているので17角。
これに対し26角合はサイクルが減って早い(あとの手順を見ればわかります)。
35玉で17角とすれば、今度は26角合の一手。
15の金を26に移動させることに成功しました。
え? それがどうしたって? 11の飛車が18に引けるようになったのが大きいんです。
そう、また逆転して玉を48まで戻せば・・・
53角、44角合、同角成、同玉、
62角、53角合、同角成、同玉、
71角、62角合、同角成、同玉、
95角、73角合、同角成、同玉、
95角、84角合、同角、同玉、
66角、75角合、同角、同玉、
57角、66角合、同角、同玉、
39角、57角合、同角、同玉、
39角、48角合、同角、同桂成、
戻るときも曲がるところでは、質駒を作る必要があるので限定打です。
最後48同桂成のところ、同玉なら66角、37玉(57角合は18飛成以下)、55角以下。
18飛成ができるので、同桂成の一手となり、36桂を移動させることができました。
これで37香が35に通ったので、そう、おわかりですね。もう1回角打角合趣向だ!
75角、66角合、同角、同玉、
84角、75角合、同角、同玉、
93角、84角合、同角成、同玉、
51角、73角合、同角成、同玉、
51角、62角合、同角成、同玉、
44角、53角合、同角成、同玉、
35角、44角合、同角、同玉、
35角 まで107手
角打角合で1.5往復。
攻方の手はすべて角、本作は全着手角の長手数記録作品(107手)です。
2回も曲がる長いコースを1.5往復したのが100手越えの実現につながりました。
全着手角を崩さないで折り返すところ、キーの設定も巧みですね。
最初は83手でしたが、改良を重ね、95手、そしてついに100手超え!
これまでの記録は徳希さんの57手ですから2倍近い大記録です。
- 作者(95手のとき):
- 曲がり角での玉の後退を許さない42桂、55飛、86金の配置を見つけられたことは幸運でした。
徳希さんの記録を大幅に越すことができましたが、32手目から玉を35に出すことができれば100手越えができたかと思うと、すこし心残りがあります。
- 作者(本作のとき):
- 100手越えができないか考えてみました。
前のメールに書いた、玉を35に出す構想を実現したので、角打角合が2回増え、そこで8手伸びました。さらに序を改良して4手伸びたので、計12手増えたことになり、徳希さんの記録を50手更新することができました。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 小野寺さん:
- 飛が目覚めて桂を強制退去。羽生睨み、恐るべし。
- 長谷繁蔵さん:
- 51角・17角面白い。
- 稲葉上さん:
- 全着手角。一巡目の折り返し付近で苦労しました。
飛と37香の筋を通しておくのがポイントですが、巧妙な仕組みに何度も感嘆。
- 中澤照夫さん:
- 角合の回数の記録でしょうか。
本作の角合は26回ですが、42回というすごい作品があります
(山崎隆さん 「石神井川」)。
- 凡骨生さん:
- 角打角合26回が巧くまとめてある。
- ほいさん:
- わかりません・・・:角合角合でくるくる?
くるくる的な手順ですが、曲り角での限定打など、くるくるにはちょっと難しいですね。
- 嵐田保夫さん:
- 飛車を世に出すまでの見事な深謀遠慮。
- 魚熊さん:
- あちこちに詰方のスパイが潜んでいようとは、王ならぬ身の知る由もないところかな?
コピペで解答を書いていたら、1サイクル余計に書いていて110手台になり「?」と思ってしまいました。手数表記に感謝します。
- 隅の老人Bさん:
- 曲がり角に、上手に質駒を置きましたね。
角打角合、幾度かな?
暑い、暑い、数える気分になれません。
- 馬屋原さん:
- キーを2つ設けることによって1往復半が可能になっている。
素晴らしい作品。
- 鈴木康夫さん:
- 全着手角の記録作なのに飛車二枚の意味付けが絶妙ですね。
- S.Kimuraさん:
- 角打ち角合いを予想しました.
84などで曲がるときに,玉が元に戻ったらどうなるのかが分かっていませんが,素直に付いていったと仮定してみました.
元に戻った手順を分岐棋譜で示しましたので、ご確認ください。
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