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詰将棋おもちゃ箱記録に挑戦!

記録展示室 No.55 志賀友哉さん

記録に挑戦!
記録に挑戦!
出題時のコメント:
9九飛を世に出そう。220手台

くるくる展示室No.94で 「逃げ駒」の趣向化という高級な狙いでデビューした志賀さん。 本作は220手台という長手数で記録に挑戦ですが、くるくるでも出題できそうな明快な趣向詰です。

最初から舞台が用意されている作品では、玉の行けないところに色を塗るアプローチが案外有効そうなので、 本作でも試してみました(左図)。

前の2作ほど簡明ではありませんが、初形から龍追いと香連捨ての組み合わせと想像できるので、 龍追いのコースと考えれば○のコースが見えてくるのではないでしょうか。

それでは、手順を進めてみましょう。

  93桂成、84玉、

すぐに93歩成と9筋の連捨てを始めたいところですが、85桂が龍追いを邪魔しているので、 最初は93桂成から入ります。 これに対し73玉なら83成桂、同玉、93歩成と、すぐに連捨てできるけど、 そんなうまい話はなく、84玉と逃げて龍追いが始まります。

  82龍、75玉、85龍、66玉、76龍、57玉、67龍、48玉、
  58龍、37玉、38龍、26玉、27龍、15玉、16龍、24玉、
  13龍、25玉、

13龍が折り返しのポイント。 14龍では33玉で困ったことになります(13龍なら33玉には32銀不成)。

  14龍、26玉、16龍、37玉、27龍、48玉、38龍、57玉、
  58龍、66玉、67龍、75玉、76龍、84玉、85龍、73玉、
  82龍、63玉、52龍、73玉、

1往復、ぐるっと回って戻ってくると、初手93桂成に73玉と逃げたのと同じ局面。 ようやく93成桂を捨てられます。
以下は、同じ要領で9筋の歩香をどんどん捨てていきます。

  83成桂、同玉、93歩成、84玉、82龍 ・・・ 52龍、73玉、
  83と、同玉、93香成、84玉、82龍 ・・・ 52龍、73玉、
  83成香、同玉、93香成、84玉、82龍 ・・・ 52龍、73玉、
  83成香、同玉、93香成、84玉、82龍 ・・・ 52龍、73玉、
  83成香、同玉、93香成

さて、4枚目の香を93香と成ったところ。 ここで恐ろしい慣性のワナがありました。
上記の手順を見れば誰だって84玉と逃げますよね。
ところが、最後だけは73玉と逃げる手が成立するのです。
83成香、同玉、94角、93玉(73玉)、63龍(72龍)、84玉、83龍、75玉となれば、 すぐに84玉と逃げたより6手長くなるので、こちらが正解!

  73玉、83成香、同玉、94角、93玉、63龍、84玉、
  83龍、75玉、85龍、66玉、76龍、57玉、67龍、48玉、
  98飛、49玉、58龍(または68龍・69龍) まで229手

このワナに実力者も続々はまり、誤解率50%という結果に。 出題時にコメントすべきでした。 すみません。

ところで、本作は攻方駒打ちなしの長手数記録作品(229手)です。 これまでの猫田どぜうさん 「Rough」149手を一挙に80手も更新しました。

作者:
「攻方駒打ちなし」の最長手数です。 香連捨×反転型龍追いの趣向がメインで、記録は二の次かもしれません。 ただ、趣向の方も反転型にしたのが唯一の取り柄でしょう。 収束は最終手からの余詰があるので、出題としては微妙かもしれません。

実は香連捨てと龍追いの組み合わせには前例があります。
重棟勲・岡村孝雄合作「ROUTE188」(詰パラ1997年10月、211手)。
趣向としては同じなのでかなり迷ったのですが、本作はこの作品とは龍追いの軌跡が異なること、 攻方駒打ちなしの記録を大幅に更新する作品であることから存在意義ありとして出題させていただきました。

この趣向を考案した時、重棟さんはまだ中学生だったそうです。 「ROUTE188」も、ぜひあわせてご鑑賞ください。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

小野寺さん:
最後香合に唸る。

98飛に58香合ですが、同飛、49玉、69龍で同様に詰むので無駄合になります (58龍や68龍の詰みは消しているので、ちょっと灰色ですが)。

長谷繁蔵さん:
99飛は98飛で世に出す
稲葉上さん:
全応手玉。序と211手目に蓋が開いたときの玉の逃げ方に要注意。
やっと世に出たのに、飛は一コマしか動かない。
中澤照夫さん:
この記録は玉方全着手玉?

全応手玉は山崎健「馬×(馬+α)」331手が記録。

凡骨生さん:
龍追いで9筋の歩香処理が巧いです。
ほいさん:
わかりません・・・:歩と香をばしばし捨てていくのかな?

ばしばし捨てていくのですが、毎回龍追いが入るので長手数に。

嵐田保夫さん:
初手がこの作品のテーマを良く表している。
渡辺さん:
これは、くるくるみたいだったので解けました。龍着手の割合?
42手かけて邪魔駒を1つ消しますが、最初の桂だけ邪魔の理由が違うのが面白い。
龍で追う部分は最初、14龍、33玉で悩みましたが、13龍(33玉は、32銀生、同玉、22と)として解決
魚熊さん:
初手に歩を成って1回目の「?」。 桂成とわかって、すいすい進みましたがどこで収束するのかで2度目の「?」が浮かんできてしまいました。
詰め方89歩を王方88歩にして、83に詰め方の歩を置ければ52飛成も入れられるので、 収束さえまとめられれば記録が伸ばせそうですが、 この形で発表されたということはうまくいかないのでしょうね。

すぐ82歩成として早そうですね。

隅の老人Bさん:
夏場のマラソン。走り追えて、くたくた。
最終コ−ナで近道したくなりました。
記録は?、解りません。
馬屋原さん:
攻方駒打無は自分も馬鋸で挑戦したことがあったが、こんなにシンプルな機構があったとは驚きです。
鈴木康夫さん:
隠れていて最後に一手だけ動く飛車が奥ゆかしいですね。

記録展示室No.55 解答:12名 正解6名(下記)

  稲葉上さん  鈴木康夫さん  隅の老人Bさん  躑躅さん
  中澤照夫さん  凡骨生さん

当選者は、展示室で発表しています。