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放送大学 教養学部
社会と産業コース

都市の持続的発展を規定する要因の分析
年齢別人口構成の推移


どの年齢層で人口が増えているか


 都市の人口は主に外部からの人口の転入=社会増によって支えられている.それではどのタイミングで人々は都市に流入するのだろうか.そこで,メッシュ単位で設定された都市地域ごとで,年齢別人口構成の推移を確認してみた.国勢調査のメッシュデータによって5歳刻みの年齢別人口が確認できる.これを5年おきにずらして比較すると,その5年間でどの年齢層の人口が増加しているかが確認できる.もちろんそこには自然増も含まれているが,主にどの年齢層で都市への転入が見られるかがわかるわけである.

 ここでは,1995年,2000年,2005年,2010年の4時点での推移を世界測地系のデータを用いて行った.世界測地系のデータを用いた短期の人口推移の分析によって,すでに1.一貫増加型,2.一貫減少型,3.その他型という3つの都市地域の人口推移のパタンが得られているが,それぞれの類型ごとで年齢別人口構成の推移を確認していった.

 人口が一貫して減少している都市の中では,極端な場合,岐阜や下関のように,ほとんどの年齢層で減少しているがとりわけ5〜19歳の就学期と20〜24歳の就職期の転出が目立っている.


 他方,一貫して増加している都市では,仙台のように,就学期に流入し,就職期に転出する都市や,安城のように就職期まで転入が続く都市もある.


 また,その他型の比較的人口を維持している都市においても,京都や金沢のように,就学期の流入と就職期の転出が顕著なことがわかる.




年齢別人口構成の推移が示す知見


 以上の分析結果から次のことがわかる.一般に都市の人口は,都市への人口の転入と都市からの人口の転出によって推移する.高年齢層における自然減を別にすれば,5〜19歳の年齢層と20〜24歳の年齢層における転入および転出が目立っている.つまり,子どもが就学期の時期にある世帯の移動と,本人が就職する時期の移動が多いということである.人口が減少している都市では,この両方の時期に人口が転出が見られる.人口が増加している都市でも,就学期には周辺の地域からの転入が多いが,就職期には転出が多く,他の都市に移動していっていることがわかる.比較的人口を維持している都市においても同様であり,都市が周辺の地域から就学期に人口を集めると同時に,就職時には他の都市へと人口を送り出しているのが一般的であることがわかる.
 したがって,よく指摘されることだが,学校などの就学機会の充実と雇用の確保が,都市の人口を維持する上で基本的であることが改めて確認できよう.

 それでは,次に,人口の増減と直接相関する要因について,探索してみたい.

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