★メール紹介・Q&A 第11回(つづき)
新潮社や講談社、文藝春秋などのように自前のカンヅメ施設を持っている場合には、頼めば泊めてくれる場合もありますが、大抵の場合、打ちあわせは何社か掛け持ちでやるので、そういうときに『泊めてくれ』と頼むのはちと心苦しいので、最近はやってません。
ちなみに新潮社のカンヅメ所は一戸建ての和洋折衷づくりで、三島・川端の時代から使われているもの。着流しに角帯締めて和室で床の間を背にして編集者と打ちあわせをすると、無茶苦茶文豪気分にひたれます。風呂はちと古いんですが、朝御飯が美味しいところです。
文藝春秋のカンヅメ所は社屋内にあるそうで、出入りは逐一担当者にばれるとか。講談社のカンヅメ所は戦前からある建物だそうで、丑三つどきには、ちょっと怖いものが出るそうな。もっとも、どちらもぼくは使ったことがないので、真偽のほどはわかりません。
不思議なのは『日本の編集者の多くは出張が大好きで、北海道でも沖縄でも、よろこんで飛んで行きます』ってのが本当なところで、これは何故なんでしょうね。経費を考えると、編集者が地方在住の小説家のところへ足を運ぶより、呼びつけて旅費等をいくらか負担したほうが安くあがると思うんですが。そういう発想は、自分が経営者だからなのかなあ。
(転載終了)
この話の全文は『小説家鈴木輝一郎は締切厳守』の「過去の日記」の2001年5月19、20、24、26日、6月3日の中にあります。
さらに、この鈴木輝一郎先生のサイトをご覧になった作家の若桜木虔先生からも、以下のようなメールをいただきました。
●若桜木虔先生からのメール
私の付き合っている版元の大半は弱小なので、地方出張費が出ず、もちろん作家の上京費用も、滞在費用も持ちません。
以前は出していた版元も、どんどん出さない方向になっています。
(転載終了)
数社の編集部に確認してみたところ、経費を作家と編集部のどちらが負担するかについては、もう完全にケースバイケースで、単純に言うと、人気作家ほど編集部負担の確率が高く、無名作家ほど作家本人負担の確率が高い、ということがわかりました。
さらに、若桜木虔先生からのご指摘にもあったとおり、最近では、経費圧縮の傾向にあるということもわかりました。
私の話は、かなり局地的かつ古い時代の情報だったようです。
鈴木輝一郎先生、若桜木虔先生、どうもありがとうございます。
第1回のQ&Aで質問してくれた Rosen さん、そしてみなさん、本当にごめんなさい。