|
99-Y5: 東北の修験地、出羽三山の雄
**
月 山 1,984m
|
|
羽黒山、湯殿山と月山とで「出羽三山」と呼ばれ、古くからの修験者の山である。山を登る白装束の修験者に度々出会う。月山は、農業の神である月読尊(つきよみのみこと)を祭ったところから、「月山」という呼び名になったという。山の形は、牛が寝ているような山容から、別称「くろ牛山」とも呼ばれている。
なだらかな円形の山で、「何でこれが修験者の山なのだろう?」と見間違う。しかしながら、実際登ってみると残り1時間はかなり急な登りで、休みながらかなりきつい岩場の登りである。低い潅木なので、見晴らしは極めて良好。日本海に聳える鳥海山や朝日岳、そして蔵王と360度の展望が望める。南裾の姥沢から登ると標高差は約800mである。距離は往復11Kmあり、岩山の難度を加味して、中級の下のコースといえよう。
|
|
日時: 1999年8月30日(月)晴れのち曇
参加者: 単独行
交通: 車: 朝、鶴岡―>姥沢、下山後、姥沢(15:00)―>朝日鉱泉(16:00)
朝日鉱泉泊
|
|
登山コース: 約3時間20分 (18,880歩)

昨夜泊った鶴岡から月山に向かって車を走らせたが、月山への登山道がある姥沢への支道を見過ごして、1時間ほどロスした。「1時間ロスしたが、天気が良くなるかもしれない。」と前向きに解釈して、11時に登山を開始。(写真:鶴岡からの月山遠望)
(姥沢〜牛首〜月山山頂): 1時間50分(11:08〜12:58)
姥沢から牛首まではなだらかな登りで、頂上も見渡せるので、「今日は明日の朝日岳の足慣らし。」と思って望んだ。しかし、牛首からの登りは、見た目よりははるかにきつい岩場の登りが1時間続く。
月曜日だが、牛首までロープウエイを利用したたくさんの登山者と同行となった。白装束の修験者、視覚・聴覚障害者、身軽なハイカーなどさまざまな人たちが登っている。さすが出羽三山、信仰の山だ。
(写真:頂上から続くなだらかな尾根)
息を切らせながらやっと登った山頂には「月山神社」が堂々と建立されている。せっかくだから参拝して行こうと神社の中に入ったら、「はい、参拝料は¥500です。」と、先ほど会った10名程の視覚・聴覚障害者の方達と一緒に、お禊をしてもらう羽目になってしまった。神主が「ありがたき月の山に参拝せし……禊ぎ清め給う。」と祈り、御払いをして御札を渡された。自分にはこれと言った御払い事もなく、「一緒のこの人たちは、お払いをしてもらう事が明確で、御払いの価値があっていいな。」と思う反面、御払いの必要を感じない自分の五体満足を親に感謝しながら、神主の儀礼的な声に聞き入った。
(写真:月山頂上は広々としていて、大きな神社もある)
(月山山頂〜牛首〜姥沢): 1時間30分 (13:50〜14:30〜15:20)
頂上で黙々と昼食をし、下山にかかった。下から白装束の山伏然の一団が、ほら貝を鳴らしながら登ってくる。遠くから見ても、彼らが鳴らしている事は直ぐに分かる。眺望の良い下から響き渡ってくるほら貝は、正に修験者の山月山にふさわしい光景だ。近づいて来た10名ほどの一団の内、半分ぐらいの山伏は、明らかに外国人だ。彼らにとって、日本での古式の修験は面白い興味の対象なのであろう。(写真:ほら貝を響かせながら白装束の山伏)
|
|
(本日のハイライト)
修験者:
ここ月山は修験者の心のふるさとだ。色々な方が頂上の月山神社に詣でる。一般参拝者は、リフトで牛首近くまで上がって、残り半分を登山するわけだが、丸い山の見かけより、実際の登りはかなりきつい。我々でも足を踏み外さない様、且つ息を切らせながら登らなければならないが、身障者の場合、かなりのハンディである。驚いた事に、視覚障害者の方々が登山している。手ぬぐいを結び合って、ガイドになる目の見える方が先導し、あの険しい岩場を登り降りするわけである。特に下りが大変だ。でこぼこの岩は、規則正しい階段とは訳が違う。時間をかけて、一歩一歩杖を頼りに降りてくる。彼らのチャレンジ精神に敬服しつつ、一方で、どんな山でも意思さえあれば、一人で登れる我が身の五体満足を感謝しつつ、複雑な思いを残して下山した。
次へ(朝日岳)
|