【ムーラン・ルージュの夜】

 そして、夜。今日は、ムーラン・ルージュを見に出かける。朝、ホテルのフロントで予約を頼んでおいたはずが、パンテオンから帰ってから聞いてみると、フロントには別の人間が立っていて、予約がされていないことが判明した。朝の係の人間が忘れたのか。しかたがないので、実際に一度現地に行ってみることにする。が、そこでもチケットをもらうには至らず、結局開演の30分前に来てくれるよう言われただけだった。
 夕食は、ホテル近くに両親が見つけた日本食料理店でとる。昨日もそこに入り、気に入っていた。夜7時の開店を待って急いで食べ、いったんホテルに戻ってスーツに着替えてから、劇場に向かう。
 劇場の係員からは、しばらく店の前で待っているように言われた。しかし、待っていてもなかなか呼ばれず、焦ってくる。団体客がかなり多く訪れていて、もう満杯になりそうだ。それが一通り完了すると、ようやく呼ばれ、中に入る。
 案内されたのは、舞台袖の、ちょっと見えにくい席だった。スタッフに言って席を替えてもらうよう頼んでみるが、「いや、ここはいい席だから」と言われ、叶わなかった。見るともうほとんどいっぱいに席は埋まっている。移動するのはあきらめ、開演を待つことにする。しかし、何とも厳かな雰囲気。いかにも昔ながらの、本当の意味での「キャバレー」という空間が今、目の前にある。
 午後9時を過ぎ、ショーが始まった。華やかなダンサー達が登場し、歌と踊りを披露してくれる。割と目の前までダンサーが来てくれたりするので、まんざら悪い席でもないようだ。それから、おきまりのジャグリングやパントマイムなどが間に挟まり、ショーは延々と続いていく。前回見た時とは構成が違っていた。1年前ほどからスタートした新しい出し物のようだが、前回と変わらず素晴らしい内容を見せてくれた。
 2時間があっと言う間に過ぎ、グランドフィナーレの拍手喝采で、ショーは幕を閉じた。大満足だ。両親も喜んでくれている。これほどのショーは、日本ではなかなか見ることはできない。来てみて良かったとつくづく感じた。パンフレットを買い、ホテルに戻る。同じようにパンフレットを抱えた人々と共に、メトロに乗り込んだ。


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