11/30(木)

【OH!シャンゼリゼ】

 パリ二日目、いよいよ今日は凱旋門に行く。ホテルからは意外に近く、タクシーで15分ほどの距離だ。渋滞を抜けると、遠くに、それらしき大きな建造物が見えてきた。しかし、凱旋門にしては「穴」の部分が小さく、胴長で不格好、変な形だ。おかしいなあと思っていると、原因が判明する。横からの形を見ていたのだ。横側にも正面と同じような半楕円の穴が空いているのだが、正面側よりは小さく、そこだけ見ると不格好になってしまうのだ。ふもとでタクシーを降りる。

 すぐに足下に渡ろうかと思ったが、そこだと全体の形がよくわからないので、少し離れて見ることにした。それにしても巨大な建物だ。シャンゼリゼ側から眺め、しばし見入る。何枚か写真を撮っていると、日本人カップルに声をかけられ、写真の撮りあいっこをする。
 門の足下までは、地下道を通って移動することになる。地下に降りてから上がり口の所でチケットを買い、階段を昇ると、門の真下に出る。そこからは、階段かエレベーターで上に登ることができる。前回、階段で登ってむちゃくちゃ苦しいということがわかっているので、今回はエレベーターを探した。わかりづらくて苦労したが、何とか四本の脚の一つにあることが、係員に聞いて判明する。何の表示もないため、前回は見つけられなかったのだ。
 エレベーターに乗ると、あっけなく上の資料室まで連れていってくれる。凱旋門の中には、売店もある。そこからもう少しだけ階段を上ると、屋上に出ることができる。
 外に出ると、ここもやはり感嘆の声が漏れるほど素晴らしい眺めとなっていた。門を中心に、何本もの道路が放射線状に延びていて、辺の多い星形に見えるのが、美しい。最も大きな道路がシャンゼリゼ大通りで、その果てにはミレニアム記念で建造された観覧車が見える。コンコルド広場だ。そしてその反対側には、デファンス地域のビル群。中央に、新凱旋門「グランダルシュ」がはっきりと見える。
 今日はかなりガスがかかっていて、遠くにあるモンマルトルのサクレ・クール寺院などは霞んでしまっていた。エッフェル塔も、その上の方が隠れて見えない。それでも十分に景色を堪能し、下に降りる。

 もう一度地下道を通り、シャンゼリゼ大通りに出た。そこから、ルーブル美術館を目指し、歩き始める。両脇には、僕らは入ったこともないような高級ブランド店が並んでいる。以前来た時に入った劇場「Lido」もあり、横目にしながら通り過ぎる。
 しばらく行くと、急に店はなくなり、寂れた公園のような景色に変わる。立ち枯れの木々が、いかにもヨーロッパの冬、という雰囲気を出してくれている。だいぶ観覧車が近くに大きく見えてきた。振り返るともう、凱旋門は薄く霞むほど遠くになっていた。かなりの距離を既に歩いたのだ。

 コンコルド広場に到着し、しばらく休む。観覧車は、普通考えられないほどの速さでぐるぐると回っていた。広場の中心に立つと、凱旋門の反対側にカルーゼル凱旋門、その90度の方向にブルボン宮があり、反対側にはマドレーヌ寺院、と、互いに対をなす似た形の建造物がある、というガイドを両親にしようと思っていたのだが、カルーゼル凱旋門は観覧車に隠れて見えず、マドレーヌ寺院は工事中の建物に隠れて、これも見えなかった。
 ここで、ガイドブックなどによく書いてある、焼き栗売りを発見。前回来た時には見つけられなかったので、今回こそはと思っていた。食べてみると、日本の甘栗のように味付けはしていないのだが、噛めば噛むほど甘くて香ばしく、とても美味しかった。

 コンコルド広場を突っ切ると、チュイルリー公園に入る。ここを抜けると、ルーブル美術館だ。もう既にその大きな建物の左右の翼は見えている。とりあえずこの辺りで昼食をとることにする。だいぶ体が冷えてしまっていたので、僕は熱いココアとサンドイッチ、両親はなぜかビールを注文していた。食事を終え、カルーゼル凱旋門をくぐる。そこにようやく、ルーブルへの入り口となるピラミッドが姿を現した。
 ピラミッドから中に入り、チケットを買おうとすると、あと10分で値段が安くなるからと言われた。時計を見ると、午後3時少し前だ。思い出した。3時からは値段が下がるのだった。言われた通り少し待ち、一人30フランでチケットを買う。
 インフォメーションで日本語の案内図を取り、とりあえずはやはりモナリザを目指し、ドノン翼から入ることにした。
 モナリザのまわりは人だかりができていて、すぐにそれとわかった。館内は、フラッシュをたかなければ撮影はOKなので、モナリザをバックに写真とビデオを撮る。
 近くには、「民衆を導く自由の女神」や「ナポレオン一世の載冠式」など、巨大な絵画が並んでいる。絵を知らない僕らでさえ、その迫力に惹きつけられてしまう。
 ルーブルは、全部を見て回るというのは到底不可能なので、その一部だけをざあーっと流して見るぐらいになってしまう。3人とも、それほど絵画や工芸品に興味があるわけでもない。それでも、アポロの間の、宝石が散りばめられた王冠や、精巧な刺繍が施された調度品など、その素晴らしさには感心することしきりだった。

 しばらく歩いては休み、歩いては休みを繰り返したのち、館内のカフェで休んでから、引き返すことにする。ここは、僕でさえ足が痛くて苦しくなる。両親にはかなりこたえたかもしれない。しかし、これで、「ルーブルに行った」ことにはなる。今日はとにかく、よく歩いた。


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