11/29(水)

【ノートルダム周辺から】

 今日はパリ散策の初日、まずはタクシーでノートルダム寺院へと向かう。途中、サクレ・クール寺院やエッフェル塔がちらちら顔を覗かせ、そのたびに両親に説明する。だんだん自分自身も、確かにパリに来たんだという実感が沸いてくる。やがてノートルダムの尖塔らしきものも見え始めた。セーヌ川を渡り、しばらくすると到着。

 前にも来たことはあるのだが、やはりその大きさには圧倒される。広場で何枚も写真を撮り、ビデオを回す。中に入るのは無料なので、入ってみた。帽子を取り、静謐な空間に身を浸す。写真撮影は禁止されていないのだが、撮ってみると、暗すぎてうまくいかないようだ。パイプオルガンが聞けるかもと期待していたけれど、その時はやっていなかった。
 塔の上には、いったん外に出てから登ることができる。登ってみようかとも思ったが、かなり人が並んでいたのでやめにし、すぐ近くのサント・シャペルまで歩く。

 サント・シャペルは最高裁判所と敷地が繋がっているため、入場するには手荷物検査を受けなければならない。飛行機に乗り込むのと同じようにX線センサーを通し、人間も金属探知器のゲートをくぐる。このあと、入場券をトラベラーズチェックで買おうとして、断られてしまう。手持ちの現金が足らず、T/Cは使えないかもしれないという危惧はあったが、近くに両替がなくて、えいやっと入ってしまったのだ。
 仕方なく、両親をそこに残し、いったん敷地を出る。門衛に両替の場所を聞き、セーヌ川を渡って南側の岸に行く。換金をして戻ってみると、両親は荷物を抱え、最高裁判所前の石段に腰掛けて待っていてくれた。
 シャペルの中に入ると、一階は大したこともないのだが、ぐるぐると長いらせん階段を登った二階で、見事なステンドグラスを見ることができる。部屋に入ると、思わず声が出てしまうほど。部屋いっぱいに張られたガラスに太陽光線が透け、色とりどりに輝いている。やはりここは素晴らしい。写真もうまく撮れた。

 その後、今回のパリでは初めてメトロ(地下鉄)に乗り、オデオン駅に向かう。が、なんと、考え事をしている間に一駅乗り越し、次のサン・シュルピス駅で降りる。地上に出てからしばらく周りの景色と地図とを見比べ、リュクサンブール宮を目指して、歩き出す。不安ながら歩いていると、サン・シュルピス教会に出た。道は間違っていなかったようだ。一安心し、この近くのオープンカフェで遅めの昼食を摂ったあと、改めてリュクサンブール宮まで歩く。警備の厳重な宮殿のそばを通り過ぎると、パリ随一の美しさを誇るリュクサンブール公園が見えてくる。この時期なのに花や芝生が豊富で、評判通りの美しい公園だ。ここは前回にも来ているのだが、その時は雨でほとんど人がおらず、随分寂しい印象を持っていた。それが、今回は別の場所のように思える。
 あとの時間はもう、この公園でゆっくりと過ごすことにした。ベンチに座ったり、写真やビデオを撮ったり。今日は晴れていて気温も高く、コートなしでも過ごせるぐらいのいい気候だ。ロンドンの寒さとは比べ物にならない。僕は一人、少し高台になった公園の奥側へと移動する。ガイドブックによると、ここに自由の女神の原像があるらしい。本を見ながら探すが、なかなか見つからない。かなり歩き回った末、絶対このあたりだろうと思っていた場所に、台座だけがあるのに気付く。そしてその表記を見ると、どうやら前にここにあって、今はどこかに持ち出されているようだった。

 日が傾きかけた頃に腰を上げ、最後に少し歩いてパンテオンまで行く。このあたりがいわゆるカルチェ・ラタンで、前回は雨で哀愁漂う雰囲気が気に入ったのだが、今回は晴れているので、あまりそんな印象にはならない。
 パンテオンの前にはクリスマス・ツリーが飾られていた。普通の木に白く着色して雪が降ったように見せている。ここでは中には入らず、外観だけを楽しんだ後、タクシーでホテルまで戻った。


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