11/26(日)

【市内観光バス】

 久しぶりのベッドでの快眠の後、朝9時に朝食。コンチネンタルブレックファストと聞いていたので、パンと飲み物だけだろうとレストランに降りてみると、意外にもハムや果物もあるバイキングとなっていた。味も良く、いい食事をとることができた。
 なにしろ昨日到着してから、このホテルにいい印象は持っていなかったのだ。部屋が狭く、何よりバスタブの狭さに閉口した。日本人としても小柄な僕の体が入りきらないなど、外国では初めての体験だった。そして、部屋の電話からのダイヤルアップが繋がらない。そんな中、この朝食で、すっかりポイントアップとなった。なお、両親の部屋のバスタブはそれほど狭くなかったらしい。

 朝食後は、いよいよ町へ繰り出す。タクシーでピカデリーサーカスに行き、そこで市内観光のバスに乗る予定を立てていた。
 ロンドンの西のはずれにあるホテルから中心部に向かうにつれ、少しずつ町並みが変わっていく。途中、ハロッズ近くを通り、ケンジトン・ガーデンズ、ハイド・パークなどが横手に見える道を通った。ハイド・パークでは馬に乗った衛兵らしき人達が歩いていた。気分が段々と高まっていく。
 タクシーを降りるとすかさずバスの係員がやってきて、しきりにチケットの購入を勧めてくる。どこでも同じかと思ってチケットを買ったが、望んでいた屋根付き2階建てバスではなく、屋根のないタイプのようだ。実際に見てみると、この2階はとても寒くて耐えられそうにない。待っていれば屋根付きが来るかとも思ったが、待つのも寒いので、1階に乗り込んだ。
 バスが動き出してしばらくすると、リージェンツパークが見えてきた。その後、「ピカデリー・サーカス」とアナウンスが告げる。ここでようやく理解した。ピカデリーサーカスで乗り込んだつもりが、実はそこはマーブル・アーチだったらしい。場所が確認できると、手渡された路線図を見ながら、別のルートにも行けるトラファルガー広場でいったん降りることにする。24時間以内なら、好きな所で乗り降りできるのだ。

 トラファルガー広場は前回は行かず、僕も初めての場所だったが、天気も良く、周りの景色が映えて見える綺麗なところだった。しばらくビデオや写真を撮る。鳩の餌を買うと、あげようとする前にもう鳩が寄ってきて、肩や頭の上に止まって餌をつつきはじめた。糞をされないかは心配だったが、両親も鳩に囲まれ、楽しそうだった。

 その後は、一路カムデン・ロックに向かうことにした。もちろん、目的はのみの市だ。地下鉄でカムデン・タウンまで行き、近くの両替でトラベラーズチェックを現金に交換する。昨日からT/Cを使えるところが少なく、現金が残り僅かになって困っていた。安心し、マーケットの方向に向かって歩く。
 カムデンタウンはもう、ものすごい人の出。地下鉄の駅からひっきりなしにあふれ出る人の波が、そのまま同じ方向に流れ出し、やむことがない。マーケットに着いてもそれは続き、とにかく、大きなリュックを前にさげ、かきわけかきわけ進んでいく。ここでは主に両親が服を購入した。ただ、ほとんど値引きに応じてもらえないのが意外だった。もちろん、元々少額なものしか買ってはいないのだが、1ポンドたりともまけない店が多くて閉口する。

 しばらく歩き回り、途中で日本食屋台の焼きそばを食べ、午後4時頃、帰りの駅に向かった。ところが、さっきの地下鉄の駅に着くと、入り口が閉鎖され、人々が閉め出されていた。何かあったのだろうがよくわからず、タクシーをつかまえ、先ほどのトラファルガー広場まで戻る。
 バス乗り場でまたさっきと同じ会社「Big Bus」のバスを見つけ、違う路線であることを確認して乗り込む。道はものすごい渋滞になっていた。その中を、止まり止まり進んでいく。
 バスはテムズ川近辺に向かうようだ。しばらくすると、ビッグベンが見えてきた。そしてテムズ川を渡る時、この前来た際にはまだ形もなかった、「ロンドン・アイ」が姿を現す。西暦2000年を記念に建てられた、大きな観覧車だ。華美さをほとんど排除した造りになっているため、周りの風景になじんでいい感じである。ロンドン市民の評判も悪くないと聞く。
 バスはもう一度橋を渡って北岸に戻り、セント・ポール大聖堂前を通って、ロンドン・ブリッジを渡る。ここから見えるタワー・ブリッジは本当に綺麗だ。対岸に着くと、今度はそのタワー・ブリッジに向かうことになる。途中、昔立ち寄ったクリスマスショップがまだ残っているのを見つけた。小さな店だが、1年中クリスマス商品を扱っていて、店の外から一目でそれとわかり、ちょっと興奮してしまった。

 タワー・ブリッジを通ると、バスは元の方角に戻り始めた。ロンドン・アイやビッグベンがまた姿を現す。ここで意を決し、2階に移ってみることにした。思った通りかなり寒いが、そこからの景色はやはり1階とは違う。窓越しではなく直接に見る川沿いの風景はこちらを圧倒するように迫ってくる。一人で風吹きさらしの席に座りながら、まだ今一つ感じていなかった、ロンドンに来ているという実感を初めて強く抱いた。

 ビッグベンを少し過ぎた辺りで母親がトイレに行きたいと言い出したため、そこで降りてホテルに帰ることにした。もう少し先で降りるつもりだったのだが、確かにこの渋滞だと、いつそこにたどり着けるかわからない。
 タクシーを探したがなかなか空いているのが見つからなかった。探しながらしばらく歩いているうちに、ビッグベンのすぐ近くまで来ていた。渋滞を抜けてひっきりなしに通り過ぎる車の流れを見ていると、鐘が鳴り始めた。時刻はちょうど午後5時になったところだった。


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