鮎沢川系統本支流

鮎沢川系統は、静岡県御殿場市と駿東郡小山町を水源とする各細流が、流下するにしたがって湧水を
集め、次第に太い流れとなって合流を繰り返し、鮎沢川本流を形成し、神奈川県内で酒匂川本流になります。
酒匂川の本流筋の水系です。

水質の良い川と悪い川の差が激しく、特に御殿場市内を水源とするがゆえに、雑排水流入が顕著な本流源流部と
馬伏川全般では、渓流魚が「辛うじて生息」できる、ギリギリの水質ラインといえましょう。
(正直のところ、かなり厳しい環境だと思われます)
幸いにも、神奈川県内に入る頃には、水質の良い支流や自然湧水によって浄化され、酒匂川下流域の水質を
汚濁させるほどには、至っていないのが救いですが、最近は年々透明度が下がってきております。

この水系の特徴として、漁業権の無い河川にも、自治体の観光課や外郭団体の観光協会が、地域活性化のため、
ヤマメを主体に、アマゴやニジマスを放流しています。
ですので、漁協による放流が無くても、釣りが楽しめるというわけです。
せめてものお返しに、地元商店や食堂でも、たまには利用してあげましょう(笑)

なお、「要塞」のような護岸がそびえ立っていることも多いので、護岸の上から本流竿にて遠巻きに狙うか、
あとは、どうしても河原に下りたい場合は、たまに設置されている鉄梯子等を利用するなどし、無理はしないことが
賢明です。
漁業権の無い河川の漁期は、3月1日〜10月末日迄とのことです。



鮎沢川系統の対象河川


1.鮎沢川本流上流部(鮎沢川漁協管轄区域)

漁業権有無の境界線について、小山町観光協会に電話で聞いてみたところ、東名高速の「足柄橋」付近で
馬伏川が合流しているあたりから上が、鮎沢川漁協の管轄だとのことです。
通常は、鮎沢川本流のハイライト区間ともいえる、JR御殿場線足柄駅近辺より上流を釣ることになりますので、
漁協管轄内での釣りになります

ポイントとしては、釣趣に欠けますが、足柄駅界隈の新興住宅地沿いが安全かつ魚影が濃いので、手軽に楽しめます。
あとは、御殿場市境界の御殿場アウトレット付近まで上ると、渓相が良くなり、ポイントが多数見られます。
しかし、皮肉なことに、御殿場市街地に近付く影響であり、だんだんと川から生活廃水の臭気が出てきます(^^;)
御殿場市内に入ったところにある「牛淵」付近が、この川の最上流域の釣り場です。
これより上流は、水質が非常に良くない細流になり、釣りの対象でなくなります・・・。

足柄駅近辺は、私のホームリバーともいえる区間ですが、箱根外輪山や足柄峠方面からの、水質が良い小支流が
合流する影響で、この川の中で、一番清流らしい雰囲気が味わえます。
漁期は、3月第2日曜日〜9月末日迄とのことです。
平成20年現在、遊漁料は、日釣り500円(現場監視員:800円)で、年券3,000円です。
以前よりも値上がりしてしまいましたが、比較的良心的な価格で、川釣りのビギナーでも十分に楽しめます。
ちなみに、水質が綺麗とは言えないまでも、釣った魚からは変な臭気が出ることはなく、美味しく頂けますので、参考まで。

なお、足柄駅界隈では、金時山や足柄峠方面から小支流が合流しますが、支流域も鮎沢川漁協の漁業権が及ぶようです。
クソバエ(アブラハヤ・タカハヤ等)の猛攻の中、たまに、結構美形なチビメやチビゴが釣れることがありますが、
これらの川は、本流の種沢的存在になっていると思われるので、資源保護の観点から、あまり入渓しない方が
望ましいかもしれません。数少ない天然物が自然繁殖している可能性があります。

※鮎沢川漁協管轄区域での釣果

2.鮎沢川本流下流部(漁業権無し)

対象としては、JR御殿場線駿河小山駅界隈がポイントになります。
漁業権の無いエリアですが、小山町観光協会釣友会が、ヤマメ、アマゴ及びニジマスを放流してくれるので、
十分に対象となります。
(加えて小規模だが、地元有志も、ヤマメ等を放流している事実も有り)

既に主力支流が合流済の鮎沢川本流は、なかなかの大規模河川となっており、7M以上の本流竿使用が有利です。

この区間のネックは、護岸が「城壁」のようにそびえ立っていることに加え、鉄梯子等も設置が無く、大物が確実に
生息しているような大堰堤下の大淵等へのアプローチが、非常に困難なことです。
運動神経が良く敏捷な人は、モノともせずに遡行してしまいますが、私にはマネできません。


3.須川(漁業権無し)

須川は、富士山南東山麓の湧水だけでなく、西丹沢の明神・三国嶺をも水源とする支流を併せるので、
鮎沢川系統の中で、最も綺麗な川であり、小山町観光協会釣友会が、最重視している清流です。。
須川が、鮎沢川本流を浄化してくれるおかげで、本流が「辛うじて清流を保てている」といっても過言ではないでしょう。
しかし、「水清くして魚棲まず」の諺の通り、放流が行われない区間では、魚影は非常に薄いです。
そのうえ、渓谷も深くアクセスも制限されるので、難度が高めの川です。
須川については、幹線道路からのアクセスが、全く不可能です。地図と睨めっこしながら、あとは実地調査をしながら、
入渓点を探すしかありません。そびえ立つ護岸も、進路を塞ぎます。

この川は、毎年のように、40CMオーバーの大アマゴ・大ヤマメが揚がるらしく、中流部に養魚場がある影響か、
50CMクラスの、野生化ヒレピンのニジマスも出ることもあるらしいです。
数は少ないながらも、上手い人は、釣れるんですね〜。

なお、清澄な須川に対し、ブラックバスを放流する不逞の輩がいるみたいです。その影響もあり、
魚影が薄いのかもしれませんね。


4.小山佐野川(漁業権無し)

馬伏川下流部に注ぐ、用水路然の小規模河川ですが、流程は意外と長く、水源は富士山中腹の須走付近になります。
御殿場市と小山町の境界付近を流れており、渡る橋も多く、アクセスが良さそうに思えますが、意外にも谷が深く、
里を流れている割には、中々アプローチできない川です。私も、未探索箇所が多いです。

小山佐野川も、須川と並んで、大物が狙える川のようですね。
上流部は生活廃水の流入があまり無く、比較的澄んだ流れですが、中流部以降は農業用水の流入に加え、
未浄化の雑排水が流入してしまうため、水質悪化が避けられないようです。
何とも、澱んだ流れになってしまいます。住宅地を流れる川なので、環境は厳しい状況です。


5.馬伏川(「思い橋」より上流は鮎沢川漁協管轄区域。下流は漁業権無し)

鮎沢川系統の有力河川ですが、この川は水質汚濁が激しく、私はオススメできません。
御殿場市街地を水源とする支流は、生活雑廃水に加え、農業用水も流入しておりますので、厳しい環境。
御殿場市街よりも標高が高い、富士山に近いエリアを水源とする一部の沢は、市街地をを通過する前の区間でしたら、
ひょっとすると対象になるかもしれませんが、詳細は未把握です。

地元釣り師の中には、この馬伏川系統を好んで釣る人もいますので、興味がある方は、探釣程度にどうぞ。
なお、境界線となる「思い橋」ですが、東名高速上り線の脇にあり、警察犬訓練所がある橋です。


6.野沢川(漁業権無し)

野沢川は、西丹沢世附峠の南斜面を源頭する小規模渓流で、小山町役場近辺で鮎沢川本流に注ぎ、
小山町観光協会が推奨する釣り場です。
降雨後には、意外な大物が出るとは聞きますが、柳島集落辺りまでは、田園地帯を流れるボサ川にて、パッとしません。
平水時は止水のため、餌釣りでは厳しい環境です。

世附峠への登山道入り口辺りまでアプローチすると、下流部とは打って変わり、本格的渓相になります。
小山釣友会は、最源流部からヤマメ稚魚を放流しているので、あとは腕前次第でしょうか・・・。
なお、主力支流の湯船川は、上流部は、山深い谷筋に巨大な砂防堰堤が聳える沢です。
野沢川合流点付近の里川でも、放流があるためにヤマメが生息していますが、三面護岸区間が多いです。