○助成金
雇用調整助成金の概要(新型コロナウイルス感染症対策特例措置 )
電子申請により「特定求職者雇用開発助成金」の申請ができます
雇用関係助成金一覧
雇用保険の被保険者
雇用保険には、次の4種類の被保険者区分があります。
1 一般被保険者
正社員やパートタイマーなど一般的な雇用保険の被保険者をいいます。ただし、1週間の所定労働時間が20時間未満であり、31日以上の雇用見込みがない場合は被保険者になれません。
2 高年齢被保険者
65歳以上の被保険者をいいます。ただし、一般被保険者と同様に、1週間の所定労働時間が20時間未満であり、31日以上の雇用見込みがない場合は被保険者になれません。
3 短期雇用特例被保険者
季節的に雇用される人、又は短期の雇用に就くことを常態とする人をいいます。
4 日雇労働被保険者
日々雇用される人、または30日以内の期間を定めて雇用される人をいいます。なお、同一事業所に2か月の各月において18日以上雇用されるに至った場合は、その翌月の最初の日から一般被保険者になります。
雇用保険の被保険者になれない人
雇用保険は、法人事業・個人事業に係わらず労働者を1人でも雇用している場合は強制適用事業とされます。唯一の例外は「個人経営であって、常時使用する労働者が5人未満の農林水産の事業」で任意加入となっています。
なお、雇用保険の被保険者になれない人は、以下となります。
□ 雇用保険の被保険者になれない人
1 法人の役員等
事業主、社長、会長、代表取締役、監査役等は被保険者になれません。株式会社の取締役については、同時に会社の部長、支店長、工場長などの身分を有している人で、報酬支払いなどの面から見て労働者的性格の強い人は雇用保険の被保険者となる場合があります。
2 パートタイマー等の短時間就労者
以下の人は、被保険者になれません。
(1) 31日以上の雇用見込みがない人(注)
(2) 1週間の所定労働時間が20時間未満である人
【注】
(1)「31日以上の雇用見込み」とは…
ア、31日以上雇用が継続しないことが明確であること
イ、次の場合には、雇用契約期間が31日未満であっても、原則として31日以上の雇用が見込まれるものとして、雇用保険が適用されます
① 雇用契約に更新する場合がある旨の規定があり、31日未満での雇止めの明示がないとき
② 雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績があるとき
(2) 週により、週所定労働時間が20時間以上であったり20時間未満であったりする場合は、月の所定労働時間が86時間40分未満か否かで判断します。
3 保険会社の外務員、商事会社等の外交員・営業部員
給与形態が歩合給が主体で、出勤義務、業務遂行の指揮命令等の実態から判断して、委任契約と認められる人は被保険者となりません。
4 家事使用人
被保険者となりません。
5 臨時内職的に雇用される人
賃金が家計の補助的なもので、反復継続して就労せずに、臨時内職的に就労するにすぎない人は被保険者となりません。
6 事業主と同居の親族
原則として、被保険者となりません。
□ 雇用保険の適用除外者
以下の人は、雇用保険の適用除外者として被保険者になれません。
(1) 短時間労働者であって、季節的に雇用される人
(2) 4か月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される人
(3) 船員保険の被保険者
(4) 国、都道府県、市町村等の事業に使用される人で、雇用保険の給付を超える制度がある場合
高年齢被保険者とは
平成29年1月1日から65歳以上の労働者も「高年齢被保険者」として雇用保険の適用の対象となりました。ただし、一般被保険者と同様に、1週間の所定労働時間が20時間未満であり、31日以上の雇用見込みがない場合は被保険者になれません。なお、高年齢被保険者の雇用保険料は、平成31年度まで免除されます。
(詳細)雇用保険の適用拡大等について
□ 具体的取扱い
(1) 新たに65歳以上の労働者を雇用した場合
雇用保険の適用要件(1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用見込みがあること)に該当する場合は、所轄のハローワークに「資格取得届」を提出します。
(2) 一般被保険者が65歳になると自動的に高年齢被保険者となりますので、特に手続きは必要ありません。
兼務役員と雇用保険の関係
法人の役員は雇用保険の被保険者になれませんが、役員であっても、同時に部長・支店長・工場長等会社の従業員としての身分を有している(兼務役員)であって、就労実態や給与支払いなどの面から見て労働者的性格が強く、雇用関係が明確に存在している場合に限り、雇用保険の被保険者となります。
この場合、就業規則・登記事項証明書・賃金台帳・雇用契約書等の関係書類を添付し、所轄のハローワークへ「兼務役員雇用実態証明書」の届出を行います。詳しくは、最寄りのハローワークでお尋ねください。
(ダウンロード)新潟ワークナビ
複数の事業所に勤務する場合の雇用保険はどうする
パートタイマーとして複数の事業所で働いているような例がありますが、複数の事業所から同時に賃金を受けている場合でも、生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける一の事業所のもとでのみ雇用保険の被保険者となります。
複数の事業所で各々雇用保険の加入要件である、(1)31日以上雇用する見込みがある、(2)1週間の所定労働時間が20時間以上あるであっても、複数の事業所に同時に雇用保険に加入することはできません。
実務上は、生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける事業所であるか否かを当該パートタイマー等に確認のうえ、雇用保険に加入要件すべきか否かを判断することになります。
従業員が自営業等を営んでいる場合等の雇用保険の取扱いはどうする
令和3年1月1日以降、従業員が自営業を営んでいる場合(自営業を営む場合のほか、他の事業主の下で委任関係に基づきその事務を処理する場合(雇用関係にない法人の役員等である場合)を含む。)であっても、労働条件が雇用保険
の適用要件(1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ、31日以上の雇用の見込みがあること。)を満たしている場合は、従業員としての収入と自営業等による収入のどちらが多いかに関わり
なく、雇用保険被保険者資格取得届の提出が必要です。
(参考)厚生労働省のリーフレット
雇用保険の被保険者でなくなった日とはいつか
雇用保険被保険者資格喪失届には、離職日の記載欄しかありませんが、被保険者が離職した場合はその事実があった日の翌日に被保険者でなくなります。
雇用保険法では、被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内に被保険者資格喪失届を提出し、離職したことを届出なければならないとしています。例えば、3月31日に離職した場合であれば、4月11日までに喪失の届出を行わなければならないことになりますが、実務上は、10日を超えたとしても、ハローワークで届出を受け付けないことはありません。
雇用保険の給付の種類
雇用保険は、労働者が失業した場合に必要な給付を行うことによって、その人の当面の生活の安定を図るとともに、求職活動を容易にするなど再就職を促進することを大きな目的としています。
このように、雇用保険は労働者の再就職を促進することを目的としているため「自分は働きたいし、働く能力がある」という働く意思及び能力があることが大前提となっています。したがって、例えば定年を迎え働くつもりはないが、取合えず失業給付を貰おうなどと考えている人は対象とされません。
この、再就職を促進するための給付を「失業等給付」と呼び、失業等給付には、(1)求職者給付、(2)就職促進給付、(3)教育訓練給付、(4)雇用継続給付の4つの給付があります。
(参考)ハローワークのHP
賃金日額・基本手当日額とは何か
「賃金日額」とは、雇用保険の被保険者として計算された最後の6か月に支払われた賃金の総額(臨時に支払われた賃金および3か月超える期間ごとに支払われる賃金を除く。)を180で除した額をいいます。
この賃金日額に一定の率(50~80%で、賃金の低い人ほど高率)を乗じて得た額を「基本手当日額」といい、雇用保険で受給できる1日当たりの金額としています。基本手当日額の上限額と下限額は、毎月勤労統計の平均定期給与の増減をもとに毎年8月1日に変更されます。
失業したときに基本手当を受給するには条件がある
一般被保険者が失業したときに雇用保険から支給される代表的な給付は、求職者給付のうちの「基本手当」です。この「基本手当」は、次の条件の全てを満たしたときに支給されます。
(1) 離職により、ハローワークから被保険者の資格喪失の確認を受けたこと
(2) 労働の意思および能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあること
(3) 離職の日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算して12か月以上あること
□ ポイント
(1) 離職の日の前日から遡って1か月ごとに区切っていき、このように区切られた1か月の期間に、賃金支払基礎日数(賃金を支払った日)が11日以上ある月、または賃⾦⽀払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある月を被保険者期間の1か月とカウントします。このようにカウントされた被保険者期間が、離職の日以前2年間に通算して12か月以上あることが必要となります。したがって、基本手当を受給するには、雇用保険に加入していた期間が12か月以上あることが最低条件となります。【注】下線部分は令和2年8月1日改正
(2)「特定受給資格者」および「特例理由離職者」に該当する場合は、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上に緩和されます。
(3) 離職の日以前2年間に、病気やケガ、出産、事業所の休業などで30日以上賃金の支払を受けることができなかった場合は「2年間+これらの期間」とすることができます。
(4) 正当な理由がない自己都合により退職した場合は、2か月の給付制限期間があります。ただし、5年間に2回以上の自己都合による離職をしている場合及び自己の責めに帰すべき重大な理由で離職した場合の給付制限期間は3か月に延長されます。【注】下線部分は令和2年10月1日改正
基本手当の受給期間には上限がある
雇用保険の被保険者が離職をして、基本手当の支給を受けられるのは離職の日の翌日から原則1年間です。この期間を受給期間といいます。この期間を経過すると、所定給付日数が残っていても残りの基本手当は支給されません。ただし、所定給付日数が330日の人は「1年+30日」、360日の人は「1年+60日」の例外があります。
□ 受給期間の延長が認められる場合
(1) 離職の日の翌日から1年以内に妊娠、出産、育児、疾病、負傷などの理由などの理由により、引き続き30日以上職業に就くことができない場合→3年間延長し最大4年まで
(2) 60歳以上の定年に達したことによる離職、または60歳以上の定年に達した後再雇用等により継続雇用されていた人が、離職後一定期間は求職の申し込みを希望しない場合→1年間延長し最大2年まで
【注】ハローワークへの延長の申出は、 (1)の場合は離職日の翌日から30日経過後の1か月以内に、(2)の場合は離職日の翌日から2か月以内に行なう必要があります。(代理人または郵送による申出も可能です。)
基本手当と老齢年金は同時に貰えるか
雇用保険の基本手当を受給すると、老齢年金が支給停止される場合があります。
□ 基本手当と老齢年金との支給調整
(1) 支給調整の対象とされるのは基本手当のみで、その他の雇用保険の給付は支給調整の対象となりません。
(2) 支給停止されるのは、60歳台前半に支給される特別支給の老齢厚生年金・退職共済年金です。65歳以後に支給される老齢厚生年金・退職共済年金および老齢基礎年金、遺族厚生年金、遺族共済年金は支給停止されません。
(3) 厚生年金基金分について支給停止されるか否かは、各基金により異なります。
(4) 実際に年金が支給停止されるのは、事務手続きの関係で2~3か月後になります。
(5) 自己都合退職の場合は、離職後、待期期間(7日間)+給付制限期間(3か月間)は基本手当は支給されませんが、この間においても老齢年金は月単位で支給停止されます。ただし、基本手当の受給終了後に事後清算が行われ、支給停止されていた月の老齢年金は後日支給されることになります。
基本手当と健康保険の傷病手当金は同時には貰えない
健康保険の傷病手当金を受給している間は、基本手当は受給できません。
なぜなら、傷病手当金を受給しているということは労働できる状態ではないということですから、基本手当の受給要件の一つである「労働の意思および能力がある」と見なされないからです。
雇用保険の被保険者が離職をして、基本手当の支給を受けられるのは離職の日の翌日から原則1年間ですが、離職の日の翌日から1年以内に疾病・負傷などの理由により引き続き30日以上職業に就くことができない場合は、3年間延長し最大4年まで受給期間の延長が認められます。したがって、健康保険の傷病手当金を受給している場合は、ハローワークで受給期間の延長手続を行っておく必要があります。
なお、ハローワークへの延長の申出は、離職日の翌日から30日経過後の1か月以内に行なう必要があります(代理人または郵送による申出も可能です。)
■ 提出書類/受給期間延長申請書、離職票-1、離職票-2、延長理由に該当することの事実を確認できる書類、印鑑
定年退職者の失業給付はどうなる
定年退職者の失業給付等(基本手当)の給付日数は、自己都合退職などの一般の離職者と同様に「1年以上10年未満…90日」「10年以上20年未満…120日」「20年以上…150日」です。
ただし、自己都合退職と異なり3か月の給付制限期間はありませんので、7日間の待期期間終了後に直ちに受給することができます。
65歳以降で離職した場合は一時金支給となる
65歳以上の被保険者を「高年齢被保険者」といい、一般の被保険者と区別されます。高年齢被保険者が離職したときは一般の求職者給付ではなく「高年齢求職者給付金」が一時金として支給されます。
【注】
(1) 65歳に達した日とは、65歳の誕生日の前日をいいます。
(2) 高年齢求職者給付金を受給しても、一般の被保険者と異なり、老齢年金との支給調整はされません。
● 受給要件
(1) 一般の被保険者の求職者給付と同様に、働く意志能力があること
(2) 原則として離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上あること
● 高年齢求職者給付金の額(一時金として1回限りの支給)
(1) 被保険者であった期間1年未満の場合…基本手当日額の30日分
(2) 被保険者であった期間1年以上の場合…基本手当日額の50日分
【解説】平成29年1月から65歳以上の労働者も「高年齢被保険者」として雇用保険の適用対象となったことから、「高年齢求職者給付金」のほかに「育児休業給付金」「介護休業給付金」「教育訓練給付」についても受給要件を満たせば、支給対象となりました。
再就職手当とは何か
再就職手当とは、雇用保険の基本手当を受給中に再就職が決まった場合に、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っているとき、ハローワークが必要と認めたときに支給される手当です。
□ 支給要件
(1) 1年を超えて引き続き雇用されることが確実な職業に就いたこと、又は自ら事業を開始したこと
(2) 待機期間の経過後に職業に就き、又は事業を開始したこと
(3) 離職理由により給付制限を受けている場合は、待機期間満了後1か月間はハローワークの紹介若しくは職業紹介事業者からの紹介により職業に就いたこと
(4) 離職前の事業主に雇用されたものでないこと
(5) 受給資格決定日前に採用が内定した事業主に雇用されたものでないこと
(6) 離職日前3年以内の就職について再就職手当・常用就職支度金・早期再就職支援金の支給を受けていないこと
(7) 申請後まもなく離職した者には適用されません
□ 支給額
(1) 基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の2以上残っている場合…残日数×基本手当日額×50%
(2) 基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上残っている場合…残日数×基本手当日額×40%
□ 注意点
(1) 高年齢再就職給付金を受けられる人で、再就職手当および早期再就職支援金をも受けることができる場合は、いずれか一つの選択受給となります。
(2) 再就職したものの、倒産等の理由で再び離職を余儀なくされた人で、離職日が受給期間内にある場合は、一定の期間受給期間が延長されます。
(3) 請求手続きは、再就職した日の翌日から起算して1か月以内に「再就職手当受給申請書」に受給資格者証を添え、住所地のハローワークに提出することにより行います。
雇用保険の給付金は申請期間を過ぎても受給できるか
雇用保険の給付金は、従来は申請期間を過ぎると受給できませんでしたが、平成27年4月から、申請期間経過後であっても2年の時効の期間内であれば支給申請が可能となりました。
(詳細)リーフレット
□ 対象となる雇用保険の給付
就業手当、再就職手当、就業促進定着手当、常用就職支度手当、移転費、広域求職活動費、一般教育訓練に係る教育訓練給付金、専門実践教育訓練に係る教育訓練給付金、教育訓練支援給付金、高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金、育児休業給付金、介護休業給付金
士業の資格を持つ人と失業給付の取扱い
公認会計士、税理士、弁護士、社会保険労務士、弁理士などの資格を持つ人は、法律の規定に基づき名簿や登録簿などに登録している場合であっても、開業や事務所に勤務している事実がないことが確認でき、以下の要件を満たしていれば、雇用保険の受給資格決定を受けることができます。
(1) 雇用保険の被保険者期間が、原則、離職日以前2年間に12か月以上あること
(2) 就職したいという積極的な意思と、いつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない状態(失業の状態)にあること
(参考)厚生労働省のHP
【解説】平成25年2月以前は、士業の資格を持つ人が、労働者として勤務していた事業所を退職しても、法律の規定に基づいて名簿や登録簿などに登録している場合は、登録の資格で個人事業を営んでいると判断されるため、失業中に支給される雇用保険の基本手当(失業給付)の支給対象とされませんでした。
離職後のハローワークの手続と流れ
(1) 「雇用保険被保険者証」の有無を確認します。
(2) 会社が作成した「離職証明書」の離職理由などの記載事項を確認し署名捺印します。訂正があれば申し出ます。
(3) 会社のハローワークでの資格喪失手続き終了後、会社から離職票1および2を受取り、記載内容を確認します。(退職後10日過ぎても発行がない場合は、会社に催促してください。)
(4) ハローワークに行く前に、離職票の2の裏面をよく読み、手続きに必要なものを用意します。
(5) 住所地を管轄するハローワークに、離職票の1と2および求職票を提出し受給資格の確認を受けると、説明会の日時が指定されます。
(6) 指定された説明会の日にハローワークへ赴くと「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡され、1回目の失業認定日が指定されます。(以後、ハローワークへ赴くときは「雇用保険受給資格者証」と印鑑は必ず持って行きます。)
(7) 指定された失業認定日にハローワークへ赴き「失業認定申告書」に就職活動などの状況を記載して提出し、失業の認定を受けます。概ね1週間後に指定した金融機関に第1回目の基本手当が振込まれます。
(8) 再就職が決まらなければ4週間に1回ハローワークへ赴き、失業認定申告書を提出し失業の認定を受けます。その都度、4週間分の基本手当が振込まれます。
(9) 以後これを繰り返し、所定給付日数の限度が来れば基本手当の支給は終了します(所定給付日数が残っていたとしても、原則として離職後1年を経過すると基本手当の支給は終わります。)
(参考)ハローワークのHP
特定受給資格者・特定理由離職者とは何か
「特定受給資格者」とは、倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた人をいい、「特定理由離職者」とは、(1)期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ労働契約の更新がないことにより離職した人、(2)正当な理由のある自己都合により離職した人をいいます。
□ 有利な取扱いがなされる
自己都合退職等の、一般の離職者に比べ有利な取扱いがなされます。
(1) 基本手当の3か月の給付制限期間がない。
(2) 原則として、基本手当の所定給付日数で有利な取り扱いがなされる。
(3) 受給資格が「離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上」に緩和される。
□ パトタイマーなどの有期雇用契約者に対する取扱い
期間の定めのある労働契約が更新されなかったこと、その他やむを得ない理由により離職した人は「特定理由離職者」として有利な取扱いがなされます。
□ 特定受給資格者・特定理由離職者の範囲と判断基準
特定受給資格者又は特定理由離職者に該当するかどうかの判断は、受給資格に係る離職理由により、ハローワークが行う。」とされています。
(参考)厚生労働省のHP
離職区分&コードとは何か
離職票-2の「離職理由」欄の右側に「離職区分」欄に、1A、1Bのような番号が離職区分番号です。詳細は、那覇市の「離職理由一覧表」をご覧ください。
なお、上記一覧表の右側に「コード」欄がありますが、このコード番号が、受給資格者証の「12離職理由」欄に表示されます。離職理由コードが「特定受給資格者」に該当すると、解雇と同様とみなされ、助成金等の受給制限の対象となります。
離職証明書の離職理由欄4(2)の重責解雇とは何か
離職証明書の離職理由欄4(2)の重責解雇(労働者の責めに帰すべき重大な理由による解雇)には、以下の事象が該当するとされます。
(1) 刑法各本条の規定に違反し、又は職務に関連する法令に違反して処罰を受けたことによって解雇された場合
(2) 故意又は重過失により事業所の設備または器具を破壊したことによって解雇された場合
(3) 労働協約または労働基準法に基づく就業規則に違反したことによって解雇された場合(軽微なものは該当しない。具体的は次のとおり)
① 極めて軽微なものを除き事業所内において窃盗、横領、傷害事件等刑事犯に該当する行為
② 賭博、風紀素乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響をおよぼす行為
③ 長期間正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合
④ 出勤不良又は出勤常ならず、数回の注意を受けたが改めない場合
(4) 事業所の名をかたり、利益を得、又は得ようとしたことによって解雇された場合
(5) 他人の名を詐称し、又は虚偽の陳述をして就職したたため解雇された場合
重責解雇か否かの判断は上記を参考にハローワークが職権により行いますが、重責解雇であれば特定受給資格者となれずに、自己都合退職と同様に基本手当は2か月間給付制限されます。なお、重責解雇であれば雇用保険による助成金には影響しません。
複数の離職票がある場合の受給資格の決定はどうなっている
複数の離職票を所持している場合は、最後の離職票に記載されている離職理由により、受給資格が決定されます。
最後の離職票に被保険者期間がない場合は、直前の離職票に記載されている離職理由により決定されます。また、この場合、直前の離職票に記載されている離職日が、当該受給資格に係る離職日となります。
パートタイマーや定年後の継続雇用者など有期雇用者の雇止め時の離職理由の判定はどうなされるか
パートタイマーや定年後の継続雇用者など有期雇用者の契約期間満了に伴う契約解除(雇止め)時における、ハローワークの離職理由の判定は、反復継続した契約期間が3年未満か3年以上かにより異なります。これについては、知合いの松沢社労士のHPにフローが公開されています。
なお、離職理由の判定は最終的にはハローワークが決定することになります。
離職証明書の記載方のポイント
1 被保険者期間の算定方法の変更(下線部分/令和2年8月から)
離職日から1か⽉ごとに区切っていた期間に、賃⾦⽀払の基礎とな る日数が11日以上ある月、または賃⾦⽀払の基礎となった労働 時間数が80時間以上ある月を1か月として計算に改正されました。(詳細)リーフレット
● 変更後の離職証明書の記載方
「⑨欄」と「⑪欄」に記載する賃⾦支払基礎日数が10日以下の期間については、当該期間における賃⾦支払の基礎となった労働時間数を「⑬欄」に記載する。
2 有期労働契約の更新上限到来による離職の場合の離職理由の取扱いの変更(平成30年4月から)
● 具体的取扱い(詳細)リーフレット
(1) 採用当初はなかった契約更新上限をその後追加した場合、または不更新条項を追加した場合
(2) 採用当初の契約更新上限を、その後引き下げた場合
(3) 改正労働契約法の公布日(平成24年8月10日)以後に締結された4年6か月以上5年以下の契約更新上限が到来した(定年後の再雇用に関し定められた雇用期限の到来は除く。)ことにより離職した場合。
●離職証明書の記載方
上記(1)から(3)に該当する場合は、特定受給資格者または特定理由離職者に該当することがあるため、離職証明書の「⑦離職理由欄」に「3 労働契約期間満了等によるもの」「(1)採用又は定年後の再雇用時等にあらかじめ定められた雇用期限到来による離職」を選択し、便宜的に「(2)労働契約期間満了による離職」中の「1回の契約期間、通算契約期間、契約更新回数」に契約に係る事実関係を記載するとともに、最下部の「具体的事情記載欄(事業主用)」にそれぞれ以下のとおり記入する。(電子申請の場合は「文中の便宜的に~の記載は「具体的事情記載欄(事業主用)」に記載する。)
(1)の場合…上限追加
(2)の場合…上限引下げ
(3)の場合…4年6か月以上5年以下の上限
なお、採用当初の雇用契約書と最終更新時の雇用契約書など、それぞれの事情がわかる書類を添付する。
3 新型コロナウイルス感染症の影響により離職した場合
●離職証明書の記載方
離職証明書の⑦離職理由欄が「4(2)重責解雇」「5(2)労働者の個人的な 事情による離職」以外で、新型コロナウイルス感染症の影響による離職の場合は、具体的事情記載欄(事業主⽤)に記載した離職理由の末尾に
「(コロナ関係)」と記載する。(詳細)リーフレット
(参考)新型コロナウイルス感染症に伴う雇⽤保険求職者給付の特例のお知らせ
雇用保険は遡って加入できる
原則は、2年以内の期間のみ遡って加入することができるとされていますが、事業主が雇用保険の加入の届出を行っていなかった場合で、雇用保険料が給与から天引きされていたことが明らかである場合は、2年を超えて遡って雇用保険の加入が可能とされます。(詳細)リーフレット
この場合、ハローワークへ2年を超えた期間について雇用保険料が給与から天引きされていたことが確認できる以下のいずれかの書類を添付のうえ、資格取得届または取得日訂正届を提出し、手続きを行います。
(1) 給与明細書
(2) 賃金台帳の写し
(3) 所得税源泉徴収簿
満年齢の数え方
「年齢計算に関する法律」では、出生日の前日の24時に満年齢に達したとして取扱います。したがって、満年齢に達した日とは、誕生日の前日となります。
雇用保険の保険料率は労使折半ではない
雇用保険の保険料率は一定でなく、毎年見直しが行われ「一般の事業」「農林水産業・清酒製造業」「建設業」で異なる保険料率となっています。また、雇用保険の保険料は、健康保険料や厚生年金保険料のように折半ではなく、事業主負担分が多くなっているのが特徴です。
■ 雇用保険料率:厚生労働省のHP
雇用保険に関する業務取扱要領
(リンク)厚生労働省のHP
雇用調整助成金の概要(新型コロナウイルス感染症対策特例措置)
(2021.4修正)
(はじめに) 厚生労働省の「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」サイトに、雇用調整助成金(以下、約して雇調金といいます)の情報が掲載されています。雇調金は逐次情報が更新されいますので、このサイトの「お知らせ」から常に新情報を入手してください。
□� 初回の申請
1 上記サイトの「支給対象となる事業主」を見て支給対象であるか否かを確認し、「助成対象となる労働者」から対象助成金が雇用調整助成金か緊急雇用安定助成金か確認します。同時に「助成額と助成率、支給限度日数」と「支給までの流れ」を確認してください。
2 次に「支給申請に必要な書類」を見ると、申請に必要な書類は9種類あります。「様式特第4号」以下5つの書類は「申請様式ダウンロードページ」から入手します。なお、現時点において、雇調金を申請する事業主は3グループに分けられ各々申請様式が異なりますので、どのグループに属するか確認のうえ該当の番号クリックし、記入例や記入要領を参考に記載または入力します。
また、(1)のサイトに戻り、休業協定書以下の4つの書類を準備します。「休業協定書」の記載例は「特例措置の詳細や手続きの詳しいご案内」にある「雇用調整助成金 ガイドブック(簡易版)」のp14にあります。
添付書類も重要です。同ガイドブックのp9~10に記載があるので確認してください。
3 手続の流れ
(1) まず、労使間で休業協定を締結します。
(2) 次に、休業実績に基づき支給申請を行います。支給対象期間ごとに申請しますが、申請期間は原則として判定基礎期間(後掲のポイント参照)の末日の翌日から2か月以内です。
*届出先/新潟労働局のHP(郵送可)/新潟市内の場合は「助成金センター」へ。
(3) 審査
(4) 助成金の振込み
(付記)「受給に必要な書類」については申請後も5年間の保存義務があるため、写しを保管しておきます。
4 小規模事業主(従業員が概ね20人以下の会社や個人事業主を対象)は、支給申請が簡単な方法を選択することができます。(雇用調整助成金申請マニュアル)
□ 2回目以降の申請
2回目以降の申請においては「雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書」「休業協定書 」「事業所の規模を確認する書類」の提出は不要です。
□� ポイント
1 適用単位は?
助成金の支給は、原則として雇用保険の適用事業所を単位として行われます。
2 対象者は?
雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成金の対象に含めますが、雇用保険被保険者でない労働者については、別途「緊急雇用安定助成金」での申請となります。申請方法は雇用安定助成金とほぼ同じですが、ポイントは助成金額の計算において「前年度1年間の賃金総額」ではなく「判定基礎期間」に支払われた休業手当の総額となる点が異なります。
なお、雇用調整助成金(緊急雇用安定助成金)は労働すべき日に休業指示をした場合に助成される性格上、労働日が明確でない労働者は対象者とならりません。パートタイマーなどで労働日と休日が明確になっていない場合は、支給対象とならないことがあるので注意が必要です(出勤簿・タイムカードやシフト表、できれば労働条件通知書などで出勤日や休日が明示してあればベストです。これらの確認できる書類をできるだけ多く添付するのがコツです。)。
3 対象期間とは
事業主が指定した雇用調整の初日から1年を経過する日までの期間を「対象期間」といいます。
4 判定基礎期間とは
休業等を行う場合、原則として対象期間内の実績を1か月単位で判定し、それに基づいて支給されます。この休業等の実績を判定する1か月単位の期間を「判定基礎期間」といい、原則として毎月の賃金の締切り日の翌日から次の締切り日までの期間が判定基礎期間となります。
(対象期間の最初と最後の扱い)
「対象期間」の初日が「判定基礎期間」の初日と一致する場合は、通常1つの「対象期間」 の中に12の「判定基礎期間」がうまく収まりますが、そうでない場合は、最初の「判定基礎期間」の途中から「対象期間」が開始し、最後の「判定基礎期間」の途中で「対象期間」が終了することになります。この場合「対象期間」の初日から2つ目の「判定基礎期間」の末日までを最初の「判定基礎期間」としたり、最後から2つめの「判定基礎期間」の初日から「対象期間」の末日
までを最後の「判定基礎期間」として取り扱うことが可能です。
5 支給対象期間とは
支給申請の単位となる一定期間を「支給対象期間」といいます。支給対象期間は、一つの判定基礎期間または連続する2ないし3の判定基礎期間の何れかを事業主が毎回の提出ごとに選択できます。
6 雇用調整助成金の対象となる休業とは
(1) 所定労働日の全1日にわたるもの。
(2) 所定労働時間内に当該事業所における部署・部門ごとや、職種・仕事の種類によるまとまり、勤務体制によるまとまりなど一定のまとまりで行われる1時間以上の短時間休業または一斉に行われる1時間以上の短時間休業。
□ その他の重要ポイント
1 ガイドブックp1に休業規模要件の記載がありますが、この休業規模要件は法人全体でなく雇用保険適用事業所単位で見ます。①雇用保険被保険者のみ、②雇用保険被保険者以外の者のみ、③雇用保険被保険者と被保険者以外の合算、の何れかの休業等の延日数が対象労働者の所定労働日数の1/40(中小企業)、1/30(大企業)未満の場合は支給されません。
2 労働基準法26条「使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなくてならない」の規定に違反しないよう注意が必要です。
3 解雇予告した労働者の休業については、解雇予告した日以降は助成金の対象外となります。
4 正社員とパートタイマーなど複数の休業手当支払い率が異なるような場合は、最も多い支払い率により支給申請できるほか、加重平均によって算定された支払率による支給申請も可能です。
電子申請により「特定求職者雇用開発助成金」の申請ができます
(詳細)厚生労働省のHP
雇用関係助成金一覧
雇用関係の助成金には様々なものがありますが、新設されたり廃止されたり、制度が長期に渡るものや時限的に実施されるもの、制度が見直されたりするケースが頻繁にあります。
一般的には予算配分が終了した年度替わり後、実質的には毎年6月頃に新制度の概要が出揃うようです。助成金の中には比較的受給しやすいものから、ハードルの高いものなど様々です。助成金受給に該当するかどうか分からない、申請事務が難しいなどと思われるなら、助成金を得意としている社会保険労務士にご相談されることも一考かと思われます。
■ 事業主のための雇用関係助成金:厚生労働省のHP
■ 雇用関係各種給付金申請等受付窓口:厚生労働省のHP