川柳
生田 泰忠毎年のことですが、なんだかんだと言っては、会を休ませていただいていましたが、やっと待望の3年皆勤を果すことができ、今年の新春句会で「3年皆勤賞のたて」が頂けることになりました。
そこで(おもちゃ箱」の原稿といわれても、なかなか思いつかず今回も昨年中に入選した句の中から35句をご披露させていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
生田泰忠作品集から
- 筆のあと かすれた母の 年賀状
- 年賀状 肌につたわる 母の筆
- 年毎に 手書き賀状の 数が減り
- ご多幸を 決まり文句の 賀状来る
- ぎっしりと 百歳までの 予定たて
- 一円で 一円だけの 幸(さち)願がい
- 初稽古 礼ではじまり 礼で終え
- 好きな癖 顔見合わせれば また喧嘩
- 本当わな 俺はお前が 好きやんけ
- ごめんねで 丸くおさまる 痴話喧嘩
- 素かんぴん おかんが財布 にぎりしめ
- おとこ はんが 見てはるさかい しゃれるんや
- 言い訳へ 妻見抜いてた 下手な嘘
- 変化球 妻はたくみに つかいわけ
- 堀り炬燵 ロマン生まれる 四畳半
- メル友ヘ 胸ときめかす 古稀の青春(はる)
- 片想い やっと告白 した八十路
- 片想い 夢が叶った 八十坂
- かちかちと 歯と歯があたる 初キッス
- 右肩を 美形に貸し手 降りられず
- 底(そこ)はたき 飲む一杯の またうまい
- もう十分 伏せた 杯 また戻し
- 家計簿の 赤字みせられ苦い酒
- あの星が 母ちゃんだよと 子に教え
- 幸せです 世話してくれる 子が一人
- なり振りも かまわず母は 子に尽くし
- 両手では 数えきれない 母の恩
- おくゆかしさ 残る老婆の 薄化粧
- 僕養子 炊事洗濯 やってます
- 鼻をつく 化粧に消えた 茶の香り
- 大笑い しすぎ漏らして アラ嫌だ
- 帰りはち雨よ 母の予感は よく当る
- 知らぬ間に 傷つけていた あの一言
- 初窯(はつがま)で 馴れぬ正座へ する我慢
- 初せりが 祝儀相場に 活気づき
以上オ粗末でした。また期会がありましたら登場させていただきます。