ムラサキハナナ

ムラサキハナナは春の土手や野原に群生して咲き、周囲を紫色に染め、黄色の菜の花と競い合う。 中国原産で昭和の初め頃入ってきたが、その寒さに強く逞しい生命力で全国各地に野生化した。
むらさき色の食べられる菜と言うことでムラサキハナナの名があり、ダイコンと同じアブラナ科の花なので、ハナダイコンとも呼ばれ、又、諸葛孔明が食料用に植えたとされる事からショカツサイとも言うが、正統な名はオオアラセイトウである。 アラセイトウはストックの和名で、オオアラセイトウは大きなアラセイトウを意味し、最後の本草学者と呼ばれた牧野富太郎博士が名付けた。
普通、花の名は一般に流通する名前があって、地方地方で独特の呼び名があり、それがもめる元になった事は無いが、この花は一般に流通する名前が三つも四つもあり、その為20年ほど前に新聞紙上で論争がおこり、植物学者でもあった当時の天皇陛下が 「牧野富太郎が最初にオオアラセイトウと名付けたのだからそれでいいではないか」 と勅裁されたと言う有名な逸話がある。
又、ショカツサイ(諸葛菜)と言えば、日本ではこの花を指すが、中国ではカブのことであり、花の名前もややこしい。( 「スズナは菜の花の祖先」 の項参照)

天皇陛下の勅裁にもかかわらず、オオアラセイトウと呼ぶ人は少なく、今でもムラサキハナナやハナダイコンが流通名になっている。

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