ノミノフスマとナデシコ科の小さな花々

ノミノフスマ

春から夏にかけて小さな五花弁の花を付けるナデシコ科の植物にはハコベ、ノミノフスマ、ノミノツヅリ、ツメクサ、ミミナグサ、ワチガイソウ等がある。
いずれも五花弁であるが、ハコベ、ノミノフスマは花びらに深い切れ込みがあって、十枚花びらがあるように見えるのに対し、ノミノツヅリ、ツメクサ、ワチガイソウには切れ込みが無く、ミミナグサはその中間である。( 「ハコベいろいろ」 、 「枕草子のミミナグサ」 の項参照)
ハコベとノミノフスマは区別が付きにくいが、表題の写真のノミノフスマはハコベより花が少し大きく、ガクが花びらよりかなり短い特徴があり、慣れればガクの長いハコベとの区別は容易である。
ノミノフスマ(蚤の衾)の衾は布団の意味で、茎を包むように付く葉の形をノミ(蚤)の布団に見立てたのに対し、下の写真のノミノツヅリ(蚤の綴)の綴は粗末な衣服のことで、葉の形をノミ(蚤)の衣服に例えたものである。

ノミノツヅリ(蚤の綴)の花と葉

ツメクサはノミノツヅリと同じ様に切れ込みの無い五花弁の小さな花を付けるが、葉の形が全く異なる。 葉が鳥の爪の様な形をしており、 爪草(ツメクサ)と名付けられたものである。 クロ−バ−の事もツメクサと呼ぶのでややこしいが、クロ−バ−の場合は詰草と書く。( 「シロツメクサとその仲間」 の項参照)
人に踏まれるような場所にも力強く咲いているが、花があまりにも小さい為、気付く人は稀である。

ツメクサ(爪草)の花と葉

ワチガイソウは山の林下に生え、上記のナデシコ科の花の様に平地で見つけることは難しいが、近くの山に登ればオシベの葯(やく)の紫色が目立つ可憐な花を見ることが出来る。
ワチガイソウの名の由来は昔この花の名前が分からず無名の印として 「輪違いの符号」 を付けたのが始まりとされる。 輪違いとは円形の輪をずらせて組み違いにした形である。

ワチガイソウ

ハコベ、ノミノフスマ、ノミノツヅリ、ツメクサ、ミミナグサ、ワチガイソウは共に小さなナデシコ科の花であるが、群生し、早春から夏頃まで田の畦や野原や林下を白く彩り、良く見ると可愛い花である。

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