セントウソウ

セントウソウは春に咲くセリ科の花である。
「セリ、ナズナ、オギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ、これぞ七草」 と詠まれた春の七草のセリは花を夏に付け、一般的にはセリ科の花は晩春から夏の花が多く、春早く咲くのは、シャクとこのセントウソウぐらいであろうか。( 「鴨とセリは二世の縁」 「夏のセリ科の花」 「シャクは隠れた山菜」 の項参照)
セントウソウ(仙洞草)は3月から5月にかけて深谷市の最高峰とは言ってもわずか330mに過ぎない鐘撞堂山の山裾にその小さな花を咲かせる。

セントウソウの花と葉

セントウソウの名の由来は仙人の庵(仙洞)の付近に咲くからとか春の初め(先頭)に咲くからとかの説が有るものの、牧野富太郎博士によると名の謂れは不明との事である。
別名オウレンダマシとも呼ばれ、漢方の健医薬で有名なオウレンに葉が似ている事から来ている。

オウレン

オウレンはキンポウゲ科の花で、複葉の葉の形でキクバオウレンやセリバオウレン等に分類されるが、いずれも3出複葉の葉の形がセントウソウに似ている。 冬季積雪する地方に多く、この地で見る事は難しく、上記の写真も日本海側で写したものである。
セントウソウはオウレンのように有用な植物でもなく、花もオウレンよりずっとさえないし、オウレンダマシ等と呼ばれて気の毒な花ではあるが、それでも、春の山裾で目立つ花である。

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