ミツガシワ

ミツガシワは氷河期の 「遺存植物」 として名のある花である。
氷河期に分布していた植物が温暖化と共に北の地方や高山に残った例は多いが、暖地の低地にも気候に適応して点在して残る例があり、これらを 「遺存植物」 と呼び、ミツガシワや水芭蕉が有名である。( 「ミズバショウの花が咲いていた」 の項参照)
ミツガシワは種子の化石が、氷河期時代の地層から発見されているように、古くからユーラシア大陸に広く分布していたと考えられ、北半球の主として寒冷地に咲く花であるが、京都の深泥地や東京の三宝寺池を代表例として日本の温暖地のところどころに咲き、氷河時代から気候に適応して残ったとされる。 ただし、大半で絶滅危惧種として保護されており、この地方でも散歩がてら見るというわけにはいかないが、近くの群馬県の尾瀬ヶ原に足を伸ばせば未だ見られる。
湿地や浅い水中に生え、地下茎を横に伸ばして広がる。


ミツガシワ科ミツガシワ属の一属一種の多年草で、葉が柏の葉に似た3小葉からなり、その為、ミツガシワ(三槲あるいは三柏)の名がある。
ミツガシワの乾燥葉を漢方では睡菜葉(すいさいよう)と称し、苦味健胃薬として用いられる。 中国の古書 「本草綱目」 や日本の江戸時代の書物 「草木図説」 にも記述がある薬草であるが、ヨ−ロッパでも古くから民間薬としてやはり苦味健胃薬として使われているそうで、洋の東西を問わず同じ効果が謳われているのは興味深い。
氷河期の遺存植物として名があるとともに薬草としても世界に知られた花である。

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