ウリ科の野菜の花

夏の早朝、散歩をすると畑にカボチャやズッキ−ニ等のウリ科の大きな黄色い花が花びらを目いっぱい広げて咲く姿が目立つが、その他、スイカ、ニガウリ、キュウリ等、色々なウリ科の花が夏から秋にかけて咲く。
変わったところではヒョウタンやハヤトウリ等の白い花も目に付く。

カボチャ          ズッキ−ニ          スイカ

 スイカ          ニガウリ         キュウリ

  ヒョウタン        ヒョウタン        ハヤトウリ

この内、ズッキ−ニはごく近年、ヨ−ロッパから持ち込まれ、ハヤトウリは大正年間アメリカから導入されたものであるが、その他のウリの歴史は古く、エジプト時代から既に食用とされ、日本でも縄文、弥生の遺跡から、マクワウリ、ユウガオ、ヒョウタン等のウリ類の種子が見つかっている。 古代のメロン系もその中に入っているが当時は食用より薬用に用いられていたと考えられている。
万葉集に 「瓜食(は)めば 子供思ほゆ・・・・」 という山上憶良の有名な歌があるが、平安時代の文献 「本草和名」 には青瓜、白瓜、冬瓜、熟瓜、黄瓜等、各種のウリが登場する。 冬瓜はトウガン、熟瓜はマクワウリ、黄瓜はキュウリが現代名である。
江戸時代に入って、西瓜(スイカ)、南瓜(カボチャ)、糸瓜(ヘチマ)が記述として現れ、黄瓜(キュウリ)を胡瓜とする表現も見られる。 西瓜は西から来た瓜、南瓜は南から来た瓜、胡瓜は胡(西域)から来た瓜の意味の漢名である。
特にマクワウリは現代のメロン以上に美味しい果物としてもてはやされ、盛んに栽培され、太閤秀吉が余興にマクワウリ売りの真似をし、家康がお追従に秀吉の真似をしたとされる逸話がある。
ウリの名は漢名からきており、マクワは朝鮮語で真のという意味で、真のウリの意であり、江戸時代はウリと言えばマクワウリで、我々に一番なじみが深いキュウリがよく食べられるようになるのは品種改良が進んだ明治以降の事である。 ちなみに貝原益軒の書 「菜譜」 によるとキュウリの事を 「下品な瓜、味よろしからず」 とある。
ニガウリ(苦瓜)はゴーヤとも呼ばれ、沖縄文化の広がりと共に沖縄での呼び名が一般的となり、現代ではゴーヤのほうが通りがよい。
ヒョウタンは野菜とは言えぬが、干瓢をとるユウガオの変種で古くから容器としてその実が用いられた。
ウリ科の花はひとつの株に雄花と雌花が別々に付く雌雄異花なので、受粉には人為的、又は、蜂等の虫の助けが要る。 欧米では畑やハウスにミツバチの巣箱を置き、日本でも近年ではスイカ畑やメロンのハウスに巣箱を置くところがある。

一般的にウリ科の植物は繁殖力が強いが、特にハヤトウリは畑を逃げだし所々で野生化している。 普通ウリと言えば中国経由で古くから伝わったものであるが、このウリは熱帯アメリカ原産で大正年間にアメリカから導入されたものである。( 「ハヤトウリは千成瓜」 の項参照)

次へ

最初のページへ戻る