ノアズキとヤブツルアズキ

ノアズキとヤブツルアズキは夏の終わりの頃から初秋にかけて野原や土手で目立つ花である。
花が小豆(アズキ)にそっくりな為、野小豆(ノアズキ)、藪蔓小豆(ヤブツルアズキ)の名があるが、蔓性(ツル性)であるところがアズキと異なる。
両者共そっくりで、区別を付ける事はなかなか難しいが、別属で、花も良く見れば多少異なり、葉の形はかなり違いがはっきりし、豆果の形は全く異なる。
下の写真のノアズキは葉が写真の様にクズに似ている為、ヒメクズ(姫葛)の別名があり、本州は宮城県以西に分布し、短毛が密生した扁平な豆果を付けるが美味しくなく食べられない。

ノアズキの花と葉と豆果

一方、ヤブツルアズキも同時期に花を咲かせ、このヤブツルアズキがアズキの原種であるとされている。 一部の葉が三裂し、ノアズキの菱形の葉とは明らかに違う事が分かる。 豆果もノアズキの様に扁平でなく、無毛で小豆に似た豆を付ける。

ヤブツルアズキの花と葉と豆果

ヤブツルアズキが改良されたアズキは2000年程前に中国から伝わったとされ、美しい赤色が呪術的な意味合いを持ち、古くから魔除けに用いられ、転じて、めでたい席の赤飯等に使われた。
平安時代の 「本草和名」 には阿加阿岐(アカアツキ)と書かれ、江戸時代には阿豆岐(アズキ)と書かれた。
貝原益軒によるとアは赤、ツキ、ヅキは溶けると言う意味で、他の豆より早く軟らかくなるからであるとしているが、名の由来には諸説ある。 その後、ダイズの大豆に対し、アズキには小豆と言う字が当てられるようになった

アズキの花と葉と豆果

夏の終わりの頃、野ではノアズキ、ヤブツルアズキ、畑ではアズキの黄色い色が目立ち、いずれもそっくりな花を付ける。

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