晩春から初夏にかけて茎が四角で、唇形花を持ったシソ科の特徴をよく現す花が田の畦や湿り気の有る山裾に現れる。 何段も重なって塔を連想させる形からトウバナ(塔花)と呼ばれ、一つ一つの花は小さくて拡大しないと見えないほどであるが、しばしば群生するので、比較的目立つ。 このシソ科トウバナ属の花はトウバナをかわきりに盛夏にはクルマバナ、イヌトウバナ、ミヤマトウバナ等が次々と咲き、いずれも良く似た花が夏の野山を彩る。( 「クルマバナと夏のシソ科の花」 の項参照)
トウバナ
クルマバナ イヌトウバナ ミヤマトウバナ
クルマバナ(車花)は車輪状に花を付けることからその名があり、花もトウバナより大きく更に目立ち、夏の野の花を代表する花の一つである。 イヌトウバナ(犬塔花)はトウバナに似てトウバナにあらずの意味でイヌの名が冠せられた花である。 ガクが緑色で柔らかな開出毛を密生させ、葉の裏に腺点が目立つのが特徴で、開花期以外でもトウバナとの区別は付く。 ミヤマトウバナ(深山塔花)は名のとおり山裾に生育し、花期も遅く、トウバナより大柄である。 この外、クルマバナの変種のヤマクルマバナ等もあり、トウバナをスタートに種々のシソ科トウバナ属の花が夏の土手や山裾を彩り、トウバナが咲き始めると夏の到来を実感する。
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