ツルボ

飢饉の時食料として役立つ植物を救荒植物と呼び、中国明代の書物 「救荒本草」 には約400種に及ぶ植物が記載され、その中にツルボやヒガンバナ等がある。
ツルボやヒガンバナは救荒植物として中国から日本に伝わったと考えられ、江戸時代の学者である貝原益軒の書 「大和本草」 には 「救荒本草」 を引用してツルボは良く煮て食べるよう書かれている。
ツルボは地下に卵球形の鱗茎を持ち、これを水にさらして良く煮れば食用となり、近年でも第二次大戦後の食糧難の時代によく食べられたようである。


ユリ科の花で、写真のようにしばしば群生し、野に咲いていたりするとなかなか見栄えがする。
一般的には蔓穂(ツルボ)の字が当てられるが、名前の由来ははっきりしない。
別名サンダイガサ(参内傘)で、公家が宮中に参内する時に従者がさしかけた傘をたたんだ形に花穂を見立ててこの名が有る。
この海岸型変種にハマツルボやオニツルボがあり、オニツルボはツルボに比べて背丈が高いのでその名がある。 海岸線から遠いこの地方では見られないが、下のオニツルボは海岸に近い地方で写したものである。

オニツルボ

ツルボはヒガンバナより少し早く咲き、ヒガンバナと共に飢饉の時に役立った植物である。( 「ヒガンバナは彼岸を結ぶ」 の項参照)

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