ツリガネニンジンとソバナ

ツリガネニンジン

「山でうまいはオケラにトトキ 里でうまいはウリ、ナスビ 嫁に食わすも 惜しゅござる」 ・・・・ざれ歌

トトキはツリガネニンジンの古名で、上記のざれ歌にもあるように知る人ぞ知る山菜であり、「トッテオキのご馳走」 の意味でトッテオキがトトキになったとする説もあるほどである。 若菜を摘んで和え物、お浸し、油炒めにし、太い根茎は刻んでキンピラ、和え物、粕漬けにする。
根を日干しにしたものは 「沙参(しゃじん)」 と呼ばれる有名な漢方薬で、去痰の作用が有り、痰切りや、のどの痛み止めに用いられる。
ツリガネニンジンの名前の由来は花が釣鐘状で、根が朝鮮人参に似ている事から来ている。 花の外に飛び出しているのは柱頭で、開花直後は棒状であるが、その後、先端は三つに分かれる。
ツリガネニンジンが咲く頃、同じ山裾にツリガネニンジンに良く似たソバナや、イワシャジンが花を付ける。

ツリガネニンジン         ソバナ         イワシャジン

ソバナは一見するとツリガネニンジンと思ってしまうが、ツリガネニンジンの花の様に輪生する事は無く、花の形も少し異なり、又、ツリガネニンジンの様に柱頭が花の外に出る事はない。 ソバナ(岨菜)は岨(切り立った崖)に生え、若芽が食べられるのでソバナと呼ばれると言う説と、ソバナ(蕎麦菜)と書いて蕎麦(そば)のように軟らかな葉から来ているとの二説があるが、前者の方が一般的である。
イワシャジン(岩沙参)は岩に生えるツリガネニンジン(漢名で沙参)の意味である。 ツリガネニンジンやソバナのように何処にでも見られる花では無いが、園芸種が結構出回っている。

ツリガネニンジン、ソバナ、イワシャジンは同じキキョウ科ツリガネニンジン属の花で、夏の終わり頃から秋にかけて野山を彩る。

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