ムスカリ

桜が咲き始める頃、散歩道の野や田の畦等、人手がかかっていない場所にもムスカリがその小さな紫色の可憐な姿を現す。
園芸種として渡来し、日本の風土に馴染んで野生化した野の花はムラサキハナナ、シャガ、ツルニチニチソウ、ニワゼキショウ、キショウブ等、枚挙にいとまが無く、いずれも野の花としての認知を受けているが、野の花としての認知は未だ無いものの、近年、少しずつ野生化している園芸種の花があって、その代表例がタマスダレやヒメキンセンカとこのムスカリである。( 「タマスダレと玉簾」  「ヒメキンセンカは冬知らず」 の項参照)
地中海沿岸原産のユリ科ヒヤシンス属の花で、園芸種としてその色合いからチューリップ等と一緒に植えられる事が多いが、少しずつ花壇を逃げ出して野生化しつつあり、その内、ムスカリの群生が野や土手に見られるようになるかも知れない。


ムスカリの名はギリシャ語のムスク(麝香)から来ており、麝香(じゃこう)の香りがする事からその名があるが、これは極一部の品種で、日本で植栽されている品種は香らない。
見た目が葡萄(ブドウ)のような花を咲かせるので、グレープヒヤシンスとか、ベリーヒヤシンス等の別名があり、その目立つ色合いと、葡萄のような房咲きの可愛い姿で目に留まる花である。

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