サラシナショウマ

鐘撞堂山は僅か標高330mの秩父山塊のはずれに位置する里山であるが、それでも関東平野の真っ只中にある深谷市の最高峰で、10月の中頃、この山裾を散策すると、ブラシを大きくしたようなサラシナショウマ(晒菜升麻)が圧倒的な存在感で迎えてくれる。
落葉樹林内の木陰に咲き、薄暗い林内にぱっとその白さが浮き上がり、近づくと甘い香りを発する。

サラシナショウマ

サラシナショウマの根茎を天日で乾燥し煎じたものは漢方の生薬名で 「升麻(ショウマ)」 と呼ばれ、若葉を茹でて水で晒して食用にもしたのでサラシナショウマ(晒菜升麻)の名がある。
2000年前に書かれた中国の古典 「神農本草経」 に升麻の事を 「百毒を解す。・・・・」 と書かれているように古くから知られた薬草である。 升麻の升は上るの意味から、「下垂した内臓を活性化して上げる」 効果がある薬草である事と葉が麻に似ている事から升麻と名付けられたとされる。

現代でも升麻は発汗、消炎、解熱の漢方薬として用いられる。
このキンポウゲ科のサラシナショウマの名はユキノシタ科のアカショウマやトリアシショウマ、又、バラ科のヤマブキショウマ等々現代のいろいろなショウマの名前の植物の基になっており、花の花序が似て根茎が赤い事からアカショウマ、若芽が出た時の形が鳥の足に似ている事からトリアシショウマ、葉が山吹に似ている事からヤマブキショウマ等となった。( 「ショウマとアスチルベ」 の項参照 )

  アカショウマ      トリアシショウマ      ヤマブキショウマ

山の中で写真のような花序の花に出会ったら 「・・・・・ショウマ」 の名が付くと思えばほぼ間違いはない。

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