ハナツクバネウツギ(アベリア)とウツギいろいろ

ハナツクバネウツギ(アベリア)

夏の盛りの頃に散歩をすると、公園や緑地帯で花をいっぱい付けた生垣(いけがき)が目に付く。 ハナツクバネウツギの生垣でアベリアとも呼ばれる。
普通、ウツギの生垣と言えば卯の花(うのはな)の生垣の事を指し、「卯の花の匂う垣根に ホトトギス早も来鳴きて 忍び音漏らす 夏は来ぬ」 と歌われたように昔は何処にでも見られ、万葉の時代からホトトギスとセットで和歌や俳句にも詠まれて来た。( 「卯の花腐たしの雨」 の項参照)。
ただし、卯の花はユキノシタ科の花で、同じウツギの名は付いても、ハナツクバネウツギはスイカズラ科の全く別の花であり、近年ではウツギ(卯の花)の垣根はあまり見れなくなったのに対し、ハナツクバネウツギの垣根は日本全国いたるところで見られる。
ウツギ(空木)は茎が空洞になることから名付けられた名前で、ウツギと一言で言っても、ユキノシタ科のウツギ、マルバウツギ、ヒメウツギ、サラサウツギ、バイカウツギ、アジサイの仲間のノリウツギ、ガクウツギからバラ科のコゴメウツギ、ドクウツギ科のドクウツギ、フジウツギ科のフジウツギ、スイカズラ科のツクバネウツギ、タニウツギ、ニシキウツギ他、多岐にわたり、写真に見るように花の形や色も様々である。

  ウツギ         マルバウツギ           ヒメウツギ

サラサウツギ         バイカウツギ         ノリウツギ

ツクバネウツギ         タニウツギ         ニシキウツギ

ハナツクバネウツギは中でも一番目に付くウツギで、中国産のツクバネウツギが改良された園芸種で、大正時代に導入され、刈り込みに強い事から生垣として全国に普及したようである。
ツクバネウツギ(衝羽根ウツギ)の衝羽根は正月の羽根つきに使われる羽根の事で、五枚のガク片とガク筒の組み合わせが羽根のように見える事から名付けられた。 ただし、ハナツクバネウツギには五枚のガク片はあっても果実はできない。


数あるウツギの中でも現代では散歩道で最も目に付くウツギがハナツクバネウツギ(アベリア)である。

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