ワルナスビ

夏も暑い盛りになる頃、土手のあちこちにナスの花とそっくりで、茎に棘を持った植物が現れ、しばしば群生する。 ワルナスビと呼ばれる北アメリカ原産のナス科の帰化植物で、昭和初期に関東で見つかったのが最初で、瞬く間に全国に広がった。
名付け親の植物学者牧野富太郎の著書 「植物一日一題」 によると 「ワルナスビとは 「悪る茄子」 の意である。・・・・・我が圃中に植えた。・・・・見かけによらぬ悪草で、地下茎が土中深く四方にはびこり、始末に負えない。・・・・・根絶させようとしてその地下茎を引き除いても引き除いても切れて残り、それから盛んに芽が出て・・・・隣の農家の畑の中に進入する有様。 いやはや困ったものである。 それでも綺麗な花を咲かせるとか見事な実がなるとかすればともかくだが、花も実もなんら見るに足らないヤクザものだから仕方が無い。・・・・・この始末の悪い何にも利用できない害草にワルナスビとは打ってつけた佳名であると思う。・・・・」 とある。

ワルナスビの花と葉と実

確かに、繁殖力旺盛で、茎には棘(とげ)を持ち触れると痛く、牧野富太郎博士が述べているように始末に負えない害草として、現在、各地で問題になっている。
散歩道の途中で見るだけなら、なかなか味のある花を付け、小さいながらも実も付けるが、日本古来の食用や薬用になる植物でもなく、やはりワルナスビの名が適当か。

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