フデリンドウ

リンドウは晩夏から秋に咲き、季語も秋であるが、春に咲くリンドウがある。 フデリンドウ、ハルリンドウ、コケリンドウで、いずれもよく似た小さなリンドウの花で、区別も難しいが、ハルリンドウやコケリンドウが根生葉を持っているのに対し、フデリンドウは根生葉を持たない。 
しかも、ハルリンドウやコケリンドウは見つけるのにも難しいが、フデリンドウは珍しい花でなく、山林の日当たりの良い林縁のあちこちに咲いている。
山林と言えば、この地方は関東平野の真っ只中にあるので、山らしい山は無いが、熊谷市には標高90mの観音山があり、深谷市には平成の大合併で秩父山塊の端に位置する花園町が編入された為、330mの鐘撞堂山が最高峰となった。

深谷市の最高峰「鐘撞堂山」

鐘撞堂山は鉢形城の見張り台で、事が起こると鐘を撞いて知らせる為の鐘撞堂があったのでその名が付いたとされ、戦国時代は、上杉、北条、豊臣等の軍勢がせめぎあった場所である。 四月の中旬過ぎに鐘撞堂山を散策すると、遠めにはスミレに見えるものの近づくとリンドウの形をして葉もほとんど付けず花だけが落ち葉を掻き分けて突き出しているフデリンドウに出会う。 


リンドウの根は有名な胃薬で苦味が強く、同じく有名な漢方薬 「熊の胆(くまのい)」 より更に苦い事から 「竜の胆」 と呼ばれ、それ音読みしてリンドウ(竜胆)となったとする名の由来説が有力であるが、フデリンドウは花を閉じた時の花の様子から筆を連想してフデリンドウ(筆竜胆)の名が付けられた。
リンドウ科リンドウ属の春に咲く小さなリンドウの花である。( 「リンドウいろいろ」 の項参照)

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