タカアザミとトネアザミ

タカアザミ

「山には山の愁いあり 海には海の悲しみが まして心の花園に 咲きしアザミの花ならば」・・・・アザミの歌

アザミの歌でオールドボーイやオールドガールにとってアザミは昔懐かしい花であるが、この歌のイメージのアザミは山に咲く可憐なアザミで、タカアザミのように平地にも咲き、しかも2m近い大きさとなると、いささか歌の趣とは異なる。
アザミは世界に300種程度あり、日本にはこの内100種近くと実に世界の三分の一を占め、5種がアジア大陸と共通で残りは総て日本の固有種である。 アザミは日本の代表的な花と言える。
タカアザミはアジア大陸共通の5種の中に入っており、従って日本の固有種とは言えず、遠い昔に北方から渡ってきたと考えられ、 「アザミの歌」 のイメージに合わないのもむべなるかなである。
河原、堤防等、湿り気のある草地に生え、全体が2m近くと高く伸び上がり、頭花の柄が長いのでタカアザミの名がある。
タカアザミは花がうなだれる事と花の形に特徴があるアザミの花で、 「アザミの歌」 のイメージには合わないが、それでも野原に咲いている姿は独特の趣がある。

タカアザミ

うつむいて咲くアザミでこの地方でよく見られるアザミにはトネアザミも有り、タカアザミ程ではないにせよ少しうつむき加減に咲く。
典型的な日本の固有種のアザミであるナンブアザミの変種で、関東に多い事から利根川の名をとってトネアザミ(利根薊)の名が有るが、タイアザミとも呼ばれる。
葉に鋭い棘が有る事が特徴で、「痛いアザミ」 が変化してタイアザミになったとの説も有る。
秋に深谷市の最高峰で僅か330m程度の里山である 「鐘撞堂山」 を散策するとあちこちで見られる。

トネアザミ

この近隣の散歩の途中見られるアザミは春に咲くノアザミと秋に咲くノハラアザミ、タカアザミ、トネアザミである。( 「ノアザミとノハラアザミ」 の項参照)
アザミの名の由来は花に引かれて近づくと葉のトゲにさされる、つまり ’あざむく’ から来た説と、アザは昔はトゲの意で、トゲのある実から来たと言う説、アザムは傷つけると言う意味で、アザムが転化してアザミになった等、諸説あるが、いずれもトゲに関係している。
余談ながらアザミのトゲは世界的にも有名で、スコットランドでは救国の花として国花になっている。 敵国の軍が忍び寄った時アザミの刺に刺されて大声をあげ、それで気づいて打ち破った故事から来たものである。

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