ヌスビトハギとその仲間

ヌスビトハギ

ヌスビトハギとは物騒な名であるが、名前からは想像できない小さな可憐な花を沢山付け、秋を感じさせてくれる。
ハギに似た花を付け、ハギと同じマメ科の花であるが、葉がハギと違う事は一目瞭然で、ヌスビトハギ属の一家を成している。
下の写真に見るように、実(み)の形が盗人の 「忍び足」 の形に似ている事でヌスビトハギの名になったとされる。 実(み)の茶色の部分は毛が密生しており、マジックテープよろしく衣服に貼り付くので、こっそり貼り付くの意味でヌスビトハギになったとする説もある。
又、ヌスビトハギとそっくりであるが、背丈が低く、枝があまり分岐せず、葉が下に固まって付き、葉柄の長いヤブハギも秋の野原を彩る。 藪等の木陰の周辺に咲くことからヤブハギと呼ばれるがヌスビトハギの変種であるとされる。

ヌスビトハギの花と葉と実

ヤブハギ

ヌスビトハギやヤブハギと同じ頃、フジカンゾウと呼ばれるヌスビトハギを少し大きくした花も稀にではあるが見つけられる。
ヌスビトハギの葉が3枚なのに対し、5-7枚の奇数羽状複葉で、花も大きいので、区別は付くが、外観はそっくりである。
花が藤のようで、葉が甘草(カンゾウ)に似ている事からフジカンゾウの名があるが同じヌスビトハギ科の花で、同じ様な花と実を付ける。

フジカンゾウの花と葉と実

一方、和種のヌスビトハギやフジカンゾウに対し、近年、北米原産の帰化植物であるアレチノヌスビトハギが勢力を伸ばしており、この地でも散歩道のところどころに下の写真のような可愛い花をさかせる。
花はかなり目立ち、実(み)も連結して付くので、清楚な和種のヌスビトハギに対し、派手ないかにもアメリカ産と言う感じの花である。

アレチノヌスビトハギの花と実

ヌスビトハギ、ヤブハギ、フジカンゾウ、アレチノヌスビトハギは秋を彩るマメ科ヌスビトハギ属の花であり、その実が人や動物に引っ付いて生育範囲を広げる、いわゆる 「引っ付き虫」 の仲間である。( 「引っ付き虫いろいろ」 の項「参照)

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