ヤブランとヒメヤブラン

ヤブラン

ヤブランは晩夏から立秋にかけて林下や藪(ヤブ)のところどころに紫色の小さな花の穂を立ち上げ、結構目立つ花であるが、特に散歩道の途中の観音山と呼ばれる古墳程度の山に群生する。 
葉が蘭(ラン)に似て藪や林下に多いのでヤブラン(藪蘭)の名があるが、ラン科ではなく、ユリ科の花である。
古くは山菅(やますげ)と呼ばれており、万葉集に 「ぬばたまの 黒髪山の 山菅(やますげ)に 小雨降りしき しくしく思ほゆ」 と、しきりにあなたの事を思っていますと言う一首がある。 もっともこの山菅はヤブランでなくジャノヒゲのことであるとの説もある。
根は漢方の生薬名で 「大葉麦門冬」(だいようばくもんどう) と言い、滋養、強壮、催乳の薬となる。
この仲間は日本、中国を始め、世界に広く分布し、葉にもいろいろ変異があり、葉に斑入りの園芸種が庭のグランドカバーとして植えらたりしているが、日本の野山で普通に見られるヤブラン属の花は写真のヤブランとヒメヤブランである。

ヤブラン

ヒメヤブラン

ヒメヤブラン(姫ヤブラン)は葉の幅がヤブランよりずっと細く、花もまばらな名の通りの小さなヤブランで、若干花期が早く夏の日当たりの良い草地に咲く。
ヤブランもヒメヤブランもラン(蘭)の名は付いてもラン科ではなくユリ科の花である。

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