山や草原に古来から自生しているコオニユリは花の形はほとんどオニユリと同じであるが、オニユリがムカゴをつけるのに対しコオニユリはムカゴは付けない。
通常、ほとんどのユリが染色体が2倍体であるのに対し、オニユリは3倍体で、種子を付けず、その代わり、上の写真のように葉のわきにムカゴを付け、これが地に落ちて増える。 オニユリは日本原産ではなく、古い時代に中国から渡来したとされ、食用、薬用、鑑賞用に栽培されていたものが野生化したとされる。 散歩道の途中の古墳程度の観音山にも自生しているが、埼玉県の絶滅危惧種に指定されており、保護が検討されている。
又、オニユリやコオニユリに良く似ていて葉の付き方が車輪のようなのでその名があるクルマユリも少し高い山に行けば良く見かける。
一方、ユリは食用や薬用ばかりでなく、古くから花としても愛でられ、 「夏の野の 繁みに咲ける ひめゆりの 知らえぬ恋は 苦しきものそ」 等、万葉集にも十首程度詠まれている。
平安時代に書かれた 「本草和名」 には 「漢名には百合(ひゃくごう)、和名には由利(ゆり)」 とある。 百合(ひゃくごう)は鱗茎の一枚一枚が重なり合った様子を示したものであり、又、江戸時代に書かれた日本初の国語辞典 「和訓栞(わくんのしおり)」 には 「花大に茎細くして風にゆるるもて名つくる成るべし」 とあって、風に揺れる事からその名が付いたとする説が有力である。
オニユリはヒメユリ等と対比し、ごつい感じがあるので、オニの名があり、コオニユリはオニユリより小さい事でこの名がある。
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