シリーズ薄井裕自然写真教室
第5回 基本構図パターン14(その1)
☆画面構成時の目安として、基本構図を活用しよう!
風景写真では、フレーミングと構図が重要となります。フレーミングとは、どこからどこまでを画面に取り込み、どの部分を除くかを決定し、ファインダー枠内に風景を切り取ること。構図作りとは、その後、色合いや構成、画面内の対象物の大小や、光と明暗のバランスの調整を行い、画面を整えて完成していくことです。バランスがよく安定感のある構図や、躍動感が生まれる構図など、さまざまな構図があります。ここで掲げるパターンを撮影時の"目安"として活用してみてください。ただし無理に型にはめ込む必要はありません。また、色々な構図を複合的に組み合わせれば、より完成度が高まります。
①水平構図
画面に広がりと伸びやかさを生み出せる。
構図パターン | 説明 | 作例 |
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風景を構成する線や面の中で、最も基本となるもの。水平線を配置する場所によって、写真の印象が異なるので、表現意図をしっかり持つことが大切だ。画面の伸びやかさ、広がりを表現できる。 | ![]() |
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②垂直線構図
上下方向への伸長感で画面を引き締める。
構図パターン | 説明 | 作例 |
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水平線構図とともに代表的な基本構図。樹木や滝の流れなどが描く自然のラインを利用できる。画面の上下方向へ伸長感を表現したいときに有効だ。連なった垂直感の長さを微妙に変えると、リズム感も描写できる。 | ![]() |
③斜線構図
生き生きとしたリズミカルな動感を表現ができる。
構図パターン | 説明 | 作例 |
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代表例は山並みや丘陵地が繰り返す稜線など。斜めのラインは、写真に生き生きとした動感を盛り込みたいときに効果的だ。山並みなどで遠近感を描写するときにも活用したい。 |
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④対角線構図
画面に安定感を生みだすことができる。
構図パターン | 説明 | 作例 |
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対角線は、画面内でいちばん長い直線をつくりだすことができ、動感を盛り込むことが可能となる。また、この直線によって画面を2分割し、安定感のある写真を生み出すことのできるのも特徴。 |
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⑤曲線構図
優美さや穏やかさを表現できる。
構図パターン | 説明 | 作例 |
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自然が作り出す風景の中には、いろいろな曲線がある。代表的なのは、川の流れによる曲線で、風景に柔らかな印象を持たせることができる。曲線の度合いは、カメラアングルで調整すると面白い。 |
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⑥放射線構図
開放感や高揚感、躍動感を表現できる
構図パターン | 説明 | 作例 |
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風景に対して注意深く目を向けることで見つけられる構図。代表的なものは樹木が作り出す幹と枝のラインだ。上下左右方向へ広がる様子で、伸びやかな開放感やパワーを表現できる。雲間からの光芒など、下に広がる構図はドラマチックで神々しい印象だ。 |
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⑦三角形構図
安定感と動かしがたい力強さを印象づけられる
構図パターン | 説明 | 作例 |
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末広がりになる形は、どっしりとした安定感を生む。また、三角形の先端に向かって伸びていく伸長感も描写可能だ。実際に画面構成する場合は、山、岩礁、石、枝など、被写体が自然に描く三角形を軸に考える。また、レンズワークによって三角形をつくることもできる。 |
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⑧逆三角形構図
上に広がる開放感や、不安定感が緊張感を表現。
構図パターン | 説明 | 作例 |
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三角形構図と反対の構図。地形や樹木などが描くラインを利用し、不安定さが生み出す圧迫感や緊張感も描写できる。また、上部に広がっていく生命力や開放感といったポジティブな表現も可能だ。 |
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★次回は「基本構図パターン14」(その2)です。