薄井裕自然写真教室友の会

シリーズ薄井裕自然写真教室

第6回 基本構図パターン14(その2)

⑨三角形変形構図
複数の三角形で動感を引き出せる。

構図パターン 説明   作例
  例えば渓流や滝つぼ、海岸でよく見られる。自然の中につくり出される三画形の大小や繰り返しを見つけるとにぎやかな動感を描写できる。アングルや撮影ポジションを工夫すれば、いろいろな所に見つけられる。

⑩中央1点構図
別名、日の丸構図。被写体の存在感を高められる。

 構図パターン  説明    作例
 日の丸構図は面白くないと思われがちだが、活かし方によっては安定感があり、強い集中力を生む力強い写真になる。例えば奥日光小田代ヶ原の1本の樹。白樺を画面の中心に配置してみるとインパクトがあって面白い。

⑪対比構図
 主役を引き立たせ、緊張感や静寂感を表現できる。。

構図パターン 説明   作例
 被写体を主従関係に分け、お互いを対比させる。主役を引き立たせ、緊張感や落ち着いた静寂感を表現できるとともに、写真にドラマ性を持たせることが可能。同じ被写体どうしで対比させても良いが、まったく違う種類のもので主従関係を構成するのもよい。


⑫遠近法構図 
 自然形態に応じて距離感や奥行き感を出せる。

構図パターン 説明   作例
 ヨーロッパ絵画の源流である空気遠近法と同様の構図法。代表例は、河川など上流に向かって撮るシーンだ。下流は左右に広がり、上流に向かうほどすぼまって写り、遠近感と立体感が描写できるというもの。画面構成時のポイントは、視線に向かう先に、特徴的な素材を配置すると、さらに印象が強くなる。


⑬パターン構図
 繰り返しでリズム感や統一感を引き出せる。

構図パターン 説明   作例
 花畑や海面の波の模様など、自然風景の中には様々な繰り返しの模様がある。繰り返しのパターンは、リズム感を生むとともに、写真に美しい統一感を出せる。統一感のあるパターン模様にアクセント的な素材をひとつ加えると、規則的な美しさをより引き立たせることもできる。


⑭トンネル構図 
画面に集中力や落ち着きをもたらす。

構図パターン 説明   作例
 周囲が暗くて、中心が明るいトンネルのような構図でとらえると、強弱が生まれて集中力のある写真になる。また、遠方から垣間見ているような、落ち着いた印象を与えることも可能だ。この構図は明暗による構図だけでなく、被写体の形や色によってもつくり出せる。

《まとめ》

 写真の良し悪しを決定するフレーミングで大切なことは、不要な要素を取り除き、見せたい(うったえたい)要素だけに絞り込むことであると、この6回のシリーズで述べてきました。

「構図も良い」「ピントも合っている」「露出も合っている」。

 すべての面でOK。でも、必ずしもその作品が観る人の心を打つ「素晴らしい作品」とは限らない。まして、グレードの高い新製品の機材で撮影された作品であっても「いい作品」だとは限らない。
 気障な事を云えば「繊細な感性が音楽を奏でるように、植物もデリケートな自然の生理(はたらき)が作用して、生命の原初の歓びを伝える。風そよぐせせらぎや、丘陵、山の辺に咲く可憐な草花は、神々が大地にくれた微笑みの優しさに見える。自然写真の魅力は、この生命の時間にゆらぐ、折々の表情の豊かさを楽しむことにある。枯れて、やがては朽ち果てる植物の美しさは、限りあるいのちの尊さの“美”である。」そんな想いを加味して、個々人の「持ち味」が作品の深みを加える。写真はいつも深く不思議な世界である。



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