11月23日、米国務省は「デモクラシー・サミット」への「参加者」招請受諾リストを発表し、110の受諾者には台湾が含まれていることを明らかにしました。中国、ロシアが含まれていないのは、アメリカのこの「サミット」開催の意図から当然として、NATO加盟国であるトルコとハンガリー、アジアではヴェトナムとともにシンガポール、タイが含まれず、中東ではイスラエルとイラクだけが含まれていることからも、この「サミット」の政治色がプンプン臭ってきます。24日の定例記者会見で、中国外交部の趙立堅報道官は記者の質問に答え、「アメリカに厳正に促す。一つの中国原則と中米3共同声明の規定を遵守し、「台独」勢力にいかなる発言の場も与えるな。「台独」勢力に加勢するのを止めろ。「台独」勢力」に舞台をあつらえれば、自分が舞台から降りられなくなるだけだ。「台独」勢力と一緒に火遊びするならば、その火で焼身するだけだ」と厳しく警告しました。
 「デモクラシー・サミット」と中国の立場に関しては、すでに8月14日のコラムで紹介しました。11月25日付(ウェブ掲載は24日17時34分)の環球時報社説「「デモクラシー・サミット」にかこつけた米台の腰の引けた強がり」(中国語:"美台借"民主峰会"逞能,但又有点怂")は、趙立堅報道官の「「台独」勢力と一緒に火遊びするならば、その火で焼身するだけだ」という発言の重大な意味を、8月13日の社説ですでに行っていた主張を更に展開する形で明らかにしています。バイデン政権の未練たらしさには今や辟易する私ですが、今回の環球時報社説が習近平指導部の意向を体したものであることは明らかであり、バイデン政権としては「幕の引き方」を真剣に考えなければいけない時が刻々と近づいていると確信します。

 民進党当局はバイデン政権に感謝し、「行政院政務委員」の唐鳳及び駐米代表の䔥美琴の出席を公表した。明らかに、台湾当局はワシントンと歩調を合わせて台湾参加がもたらす衝撃を和らげようとしている(浅井:参加者を蔡英文あるいは「外交部長」クラスではなく、低いレベルに抑えたことを指す)。また、台湾とコソボを除く参加者はすべて国家単位だが、国務省発表は「参加者リスト」(英語:'participant list') として「国家」とはしていないのも、同じような考慮からだ(浅井:社説タイトルが「腰の引けた強がり」"又有点怂"とする所以)。  中国はアメリカのこの「配慮」を恩に着る筋合いはない。コソボ以外はすべて主権国家であり、台湾当局がこの会議へとアレンジされたこと自体が中国に対する挑発である。アメリカのこの「臨機応変」、一歩下がったのは、中国が台湾に対する軍事闘争を厳粛に準備し、米台結託に対して厳しく警告し、強圧をかけたことによるものだ。  8月にホワイトハウスが「デモクラシー・サミット」開催を公表した時、環球時報は社説で、アメリカが台湾のシンボル的高官(浅井:8月の社説では蔡英文を名指し)の参加を許すならば、大陸の戦闘機が必ず台湾島上空を飛行し、主権的巡航という歴史的表明を実現すると警告した。米台が銘記すべきは、解放軍戦闘機による台湾島上空飛行は中国人民すべてがつとに実現を待ち望んでいることであり、我々が待っているのはそのキッカケだけということだ。中国人民にとって、この行動を実現することは千言万語に勝ることであり、米台結託の様々な汚らわしい手練手管を圧倒することができるものである。  バイデン政権は「サラミ・スライス」方式で米台公式関係を押し上げようとしているが、サラミを何時までもスライスし続けていくことができるとは思わないことだ。大陸の軍事闘争の準備は不断に進展しており、その準備の目指すことは中身ある目標であり、いったん実行に移す時、米台がこれまでスライスしてきたサラミは跡形もなく消え去る。  大陸の軍機が台湾島を飛ぶ時、台湾軍が敢えて発砲するなどと信じるものはほとんど皆無だ。なぜならば、そのことは戦争勃発を意味し、解放軍が台湾軍に対して壊滅的打撃を与えること必定だからだ。大陸はすでにアメリカの反応に対する様々な準備を行っており、アメリカが実施する高強度の関与に対しては巨大な圧力を作り上げており、米台を圧倒する決心と確信に満ち満ちている。  我々は、中国大陸の反「独」促統の意志に対する米台の恐れはますます募っており、大陸が虚勢を張って強がっているのではなく、台湾海峡情勢に決着をつけるための準備を真剣に行っていることを、米台は確信するに至っている、ということに留意している。彼らとしては、大陸とのレッドラインから距離を保ち、僥倖に身を委ねないことだ。  大陸の人々は、我々の精力を牽制する様々な「台独」の手練手管にますます嫌気が昂じている。軍機を台湾島に飛ばすにせよ、数機の台湾軍機を打ち落とすにせよ、あるいは挑発にやってくるアメリカの軍艦に艦船を派遣して衝突するにせよ、すべての行動が人々の絶対歓迎を得ることを、米台は理解しなければならない。武力で「台独」を懲戒することについては、大陸政府は中国人民の十分な事前授権を得ている。