2月9日付のフォリン・アフェアズ(FA)WSは、トビー・マティーセン(Toby Matthiesen)署名文章「中東を再統一させたガザ-新・汎イスラム戦線:アメリカ最大の挑戦(?)-」(原題:"How Gaza Reunited the Middle East -A New Pan-Islamic Front May Be America's Biggest Challenge-")を掲載しました。…
全編を読み通すことを億劫に感じる方は、まず、最後の「(イランが勝利する可能性のあるゲーム)-A GAME IRAN CAN WIN-」から読むことをお勧めします。これだけ堂々とイラン(抵抗枢軸)のパレスチナ政策の対米勝利を予告する論者は他にないでしょう。しかも、ティラーセンの予告は「当たるも八卦」の類いの「予言」ではなく、緻密な分析・観察に裏付けられた科学的診断なのです。彼の予告に衝撃を受けないものはいないと思いますし、衝撃を受ければ、全編を…

2月2日、バイデン政権は、3人の米兵が殺害されたことに対する報復として、イラク及びシリア領内の85カ所に対する大規模な空爆に踏み切りました。同日、米欧諸国(12カ国+EU)の800人以上の現役官僚(約80名がアメリカ人官僚で、国務省官僚が最多)が署名する、イスラエルのガザ地区に対する軍事行動を支持するバイデン政権に対する反対の意思表示声明が発表されました。この声明は、「イスラエルのガザにおける行動を一方的に支持し、パレスチナ人の人道問題を無視することは道義的失敗であると同時に政策的失敗である」と指摘し、「我々の政府の政策は国際人道法に深刻に違反し、民族浄化・絶滅をもたらす可能性すらある」と批判しています。800人以上という多数の現役官僚が…

ハマスの攻撃を奇貨としたイスラエル・ネタニヤフ政権が開始したハマス撲滅を呼号する無差別作戦は、多大な人命喪失(最近のハマス側発表では25000人以上)とガザ地区の多くの瓦礫化、そしてガザ地区住民(230万人)の大半が難民化するという大惨事を生み出しています。ネタニヤフ政権のハマス撲滅作戦を全面的に支持(武器供与を含む)するアメリカ・バイデン政権は、国際世論の非難に直面して、ピンポイント作戦に切り替えることをネタニヤフ首相に要求すると共に、エジプト、カタールなどを… 

昨年(2023年)12月6日付の人民日報海外版が、私の敬愛する陳映真に関する文章を掲載しました。陳映真夫人・陳麗娜が中国現代文学館に寄贈した彼の資料の贈呈式兼陳映真研究計画始動式が行われたことを紹介するものです。主催は中国作家協会、中国作家協会港澳台弁公室と中国現代文学館が担当して行われたこの会合には、中国と台湾の学者30人余が出席し、彼を追憶し、記念するとともに、彼の文学精神の研究、伝承に関して研究討論を行ったことが紹介されています。陳麗娜夫人が述べた(と紹介されている)発言は、今回の催しの意義を… 

 12月7日のコラムで、ロシア・ウクライナ戦争は今後どのような形で終結に向かうことが考えられるか、そのことは今後の国際関係にいかなる影響をもたらすだろうか、について次のコラムで考えると述べました。このように述べた背景にあったのは、ウクライナの反転攻勢失敗後、米西側から出されるようになった様々な提言・提案でした。しかし最近、プーチン・ロシアがあくまで初志貫徹の構えであること(特別軍事行動発動の3目標は不変)を再確認することにより、米西側の諸提言・提案が…

11月1日付けのエコノミスト誌は、ウクライナ軍総司令官であるザルジュヌイ将軍とのインタビュー発言を掲載しました。喧伝された反転攻勢が成果なく、対ロシア戦争は膠着状態("stalemate")に陥っており、先行きも明るくないとする悲観的見解は、失地全面回復まで戦争をやめないと言い続けるゼレンスキー大統領の立場・姿勢を根底から揺るがす「爆弾発言」として、西側メディアがこぞって注目するところとなりました。日本のメディアがほぼ黙殺しているのは、ノルドストリーム爆破事件に続く異様な偏向報道姿勢の今ひとつの証左… 

既刊書『日本政治の病理』(三一書房)のご案内

2020年8月15日に三一書房から『日本政治の病理-丸山眞男の「執拗低音」と「開国」に読むー』を出版して早くも3年半余になります。
 私が丸山眞男の日本政治思想史研究の成果の中でもっとも共感を覚えたのが「執拗低音」と「開国」に関する論述でした。私自身が実務体験の中で日本政治の病理に関して培った問題意識はこの二つのキーワードに集中されているからです。
 日本の政治思想は「普遍の意識」を欠いており、それ故に「個」の確立が難しく、集団に埋没する傾向を脱し得ない。そこに日本政治の病理の根幹がある。この病理を剔抉するためには「開国」(今日的条件のもとでは、多民族国家への生まれ変わりという荒療治)が不可欠である。
 以上がこの本の中心的メッセージです。
 残念ながら、出版社による価格設定が根本的に間違っていた(¥2500+税)こともあり、買い求めて読んでくださる方はほとんどないまま今日に至っています。しかし、内容的には自信作であり、かつ、時間の経緯によって色あせるという性格の本でもありません。
 今回、次男がトップページを元に戻してくれた機会に、この本を改めて紹介させていただこうと思い立った次第です。以下の章立てです。日本政治に問題意識をお持ちの方は是非この本を手に取っていただきたいと、厚かましく自薦する次第です。

一 個人的体験
(一)「執拗低音」との出会い
(二)外務省勤務時代の体験
(三)大学教員時代の体験
(四)外務省の「親米」体質
(五)歴史教科書検定と中曽根靖国公式参拝
二 執拗低音
(一)丸山眞男の問題意識
(二)石田雄の批判
三 開国
(一)丸山眞男の日本政治思想史の骨格
(二)「開国」の諸相
四 「普遍」と「個」
(一)「普遍」
(二)「個(尊厳)」
五 日本の「開国」への道のり
(一)精神的「開国」
(二)物理的「開国」
(三)強制的「開国」
六 21世紀国際社会と日本
(一)21世紀国際社会について正確な認識を持つ
(二)国際観を正す
(三)「脅威」認識を正す
(四)国家観を正す
(五)国際機関に関する見方を正す