ロシアのプーチン大統領が9月21日に行った演説から浮かび上がってくるもっとも重要なメッセージは、ロシアがドンバス解放を目的としてウクライナに対して起こした特別軍事行動が、今や攻守ところを変えて、アメリカ以下の西側の軍事的総攻勢に対するロシアの祖国防衛戦争の性格を色濃くしているということです。すなわち、米西側は第三次世界大戦に直結する事態を回避するためにウクライナを前面に押し立て、ウクライナに兵器提供に留まらず、… 
今日、もう一つお話ししたいのは、私たちが備えるべき主体的条件とは何かという問題です。具体的には、「主権者・国民としての自覚と覚悟を持つこと」の重要性を皆さんに是非認識してほしいと考えています。戦後の日本では、かつて軍国主義に痛い目に遭わされた経験から、…

11月23日付の「フェア・オブザーバー 」WSに掲載されたピーター・アイザックソン署名文章「ミサイル・大ミステリー:ウクライナ流犯人特定」(英語原題:"The Great Missile Mystery: A Ukrainian Whodunnit")は、ロシア・ウクライナ戦争について西側世界を支配している見方(「ウクライナ=善、ロシア=悪」)の欺瞞性を、ポーランドに落下したミサイルの「犯人特定」問題に関するウクライナ・ゼレンスキー政権の主張とアメリカ及びNATOの首脳の発言とが真っ向から対立していることの背景事情を解き明かすことによって白日の下にさらけ出した、実に痛快な(と私には思える)ものです。
アイザックソンは、「独立、多様性、議論」をモットーとする… 

中国で再び新型コロナ・ウィルス感染者が急増傾向(第三波)にあるさなかの11月10日、20回党大会後初となる中国共産党中央政治局常務委員会が開催され、これまで新型コロナの予防管理の指針となっていた「第9版予防管理方案」(以下「第9版」)に対する「改善」版という位置づけの「20条措置」が打ち出されました(コロナ感染者が出ていない地域では引き続き第9版によって対処する)。その趣旨は、私なりの表現でまとめるとすれば… 

11月15日にポーランド領内にミサイルが落下した事件は世界を震撼させました。ウクライナのゼレンスキー大統領が「我々が早くから警告していたことが起こった」と早速飛びつき、「深刻なエスカレーション」であり、「(西側)集団安全保障に対する攻撃」と断定して、NATOの断固とした対応(=第三次大戦への突入)を要求したこと、ポーランドはバルト三国と並んでロシアに対してもっとも強硬な政策をとってきたことから、本当にどうなることかと脂汗がにじむ思いをしました。
しかし、翌16日にポーランドのドゥダ大統領が慎重姿勢を表明… 

私たちが対米一辺倒外交からの転換という課題を考えるに当たっては、階層的・天動説的・垂直的国際観を根本的に清算して民主的・地動説的・水平的国際観を我がものとし、かつ、権力政治(パワー・ポリティックス)的アプローチからの脱却を図ることが大前提となる。‥対米一辺倒の外交からの転換という課題を考える上では、私たちが如何なる主体性認識に立って日本外交のあり方を考えるのかという問題も避けて通るわけにはいかない。特に問題となるのは、対米一辺倒外交を批判する私たちが「国家」「国民」という概念を忌避し… 

 10月26日付けのタス電は、ロシア世論調査センター(the Russian Public Opinion Research Center)のトップであるヴァレリィ・フェドロフ局長の発言として、2つの世論動向について紹介しています。一つは8~10年後のロシアに関する世論調査結果で、約80%のロシア人がロシアの状態は「良くなる」「大いに良くなる」と回答したというものです。「悪くなる」「大いに悪くなる」と回答したロシア人はわずか16%だったそうです。もう一つは、プーチン大統領が出した部分的動員令に対するロシア人の反応に関するもので、… 

 1962年10月16日にいわゆるキューバ・ミサイル危機が起こったことを背景に、ロシア・ウクライナ戦争が核戦争にエスカレートするのではないかという問題が真剣に論じられる状況があります。日本国内の議論はもっぱらプーチン・ロシア批判・非難の立場からのもので、「ためにする議論」ですから論外です。しかし、問題の真の原因(この戦争を「ロシア潰し」のチャンスと捉える米西側と「ロシア憎し」に凝り固まったゼレンスキー政権が交渉による事態打開の可能性を入り口で排除していること)を明らかにし、このことがロシア国家の生存そのものを脅かしていると認識するプーチン… 

 ロシアのプーチン大統領は、10月10日の国家安全保障会議において、8日に起こったクリミア大橋の爆発がロシアの重要インフラの破壊を狙ったテロ攻撃であり、ウクライナ機関(special services)が組織者・実行者であることは明らかであると断じました。また、ウクライナ当局が8年以上にわたってテロ的手段に訴えてきたとも指摘しました。そのうえで、ロシア防衛省の提案に基づきロシア参謀部の計画に従って、ウクライナのエネルギー、軍事及び通信施設に対してミサイルによる大量精密攻撃を行ったと述べました。ウクライナがロシア領に対してさらなるテロ攻撃を行う場合には、ロシアの対応は…

韓国の尹錫悦大統領は検察出身で外交(内政も?)にはズブの素人であることははじめから分かっていたことですが、初の外遊(「海外に赴いての外交」という意味においてではなく、文字通り「外国で遊ぶ」という意味に理解することが妥当)である、イギリスでのエリザベス女王葬儀出席(間に合わず欠礼.翌日に改めて赴いたとのこと)、アメリカでのバイデン大統領との「会談」(1分足らずの挨拶)、国連総会出席に合わせた岸田首相との「略式会談」(日本側は「会談」という言葉を使用せず「懇談」と表現)等で、その素人さをすっかりさらけ出した…

ロシアのラブロフ外相は9月24日に国連総会一般討論で演説するとともに、翌25日には記者会見に臨んで記者の質問に答えました。私は、9月30日にプーチン大統領が行ったウクライナ領土併合演説も読みましたが、両演説の核心部分はほぼ同じで、プーチン演説が国内聴衆を対象として感情的・扇情的であるのに対して、ラブロフ演説は国際世論を対象として理性的・説得的であるという印象を強く受けました。ロシア指導部がロシアを取り巻く国際環境をどのように捉えているかを冷静に理解・判断する上では、ラブロフ演説及び…

近刊(三一書房)のご案内

新年のご挨拶(コラム)の中で触れましたが、年明けからほぼ4ヶ月余をかけて取り組んできた原稿がある程度形をなし、出版の目途が立ってきましたので、ご案内を始めることにしました。

新著のタイトル(まだ確定ではありません)は、『日本政治の病理診断 -丸山眞男:執拗低音と開国-』です。出版社は三一書房、刊行予定日は8月15日です。「私の考えを本にまとめてみないかというお誘い」(1月1日コラム)に即し、今のところ、以下の章立てとなっています(編集過程で変更があるかもしれません)。

一 個人的体験
(一)「執拗低音」との出会い
(二)外務省勤務時代の体験
(三)大学教員時代の体験
(四)外務省の「親米」体質
(五)歴史教科書検定と中曽根靖国公式参拝
二 執拗低音
(一)丸山眞男の問題意識
(二)石田雄の批判
三 開国
(一)丸山眞男の日本政治思想史の骨格
(二)「開国」の諸相
四 「普遍」と「個」
(一)「普遍」
(二)「個(尊厳)」
五 日本の「開国」への道のり
(一)精神的「開国」
(二)物理的「開国」
(三)強制的「開国」
六 21世紀国際社会と日本
(一)21世紀国際社会について正確な認識を持つ
(二)国際観を正す
(三)「脅威」認識を正す
(四)国家観を正す
(五)国際機関に関する見方を正す