アメリカ国立衛生研究所(NIH)の研究者が6月15日にアメリカの雑誌『臨床感染症』で発表した報告は、アメリカにおいて早くも2019年12月に新コロナ・ウィルス(以下「コロナ」)に感染した人がいることを明らかにしました。すなわち、NIHが2020年1月2日~3月18日に全米50州から提供された24079人の血液サンプルに対して抗体検査及び分析を行ったところ、少なくとも9人のサンプルからコロナの抗体が見いだされました。いちばん早いものは1月7日にイリノイ州で採血したものであり、その後に1月8日マサチューセッツ州、… 

バイデン政権は香港、新疆、南シナ海、コロナ等の問題について中国批判の国際キャンペーンを行っています。バイデンの大統領としての初めての外国訪問となるG7サミット、NATO、EUでも中国批判に欧州諸国を巻き込むことに主たる狙いがあることは、米欧主要メディアがこぞって指摘していることです。冒頭指摘の諸問題をめぐる中国批判はもともとトランプ政権(中心的役割を担ったのはポンペイオ国務長官)が始めたものですが、バイデン政権はトランプ政権以上に力を入れています。そして、トランプ政権とバイデン政権との以下の諸点における違い故に、… 

6月9日付けの新京報と中央テレビWS及びその前日(8日)の南方日報は、広州市で発生したインド型変異株による同市の集団感染問題についてまとまった報道を行いました。これまでコロナの抑え込みに成功してきたヴェトナム、カンボジアでも、インド型変異株を主な原因とする感染の急拡大に直面しています。これまで徹底した対策を講じることで数々の感染拡大を最小限に抑え込み、感染ゼロを実現してきた中国ですが、これまでのウィルスに比べて「潜伏期間が短い、感染力が強い、有毒負荷(中国語:'載毒量')が高い」という特徴を持つ… 

5月26日、バイデン大統領は情報当局に対して、新型コロナ・ウィルスの起源に関する再調査を指示し、90日以内の報告を要求しました。私はこの報道に接した時、トランプ大統領の威圧に屈しなかったファウチ博士を自らの首席医療顧問に据えたバイデンの発言の真意を疑いましたし、ファウチ博士はどうしてバイデンの暴走を引き留めないのかという疑問が頭をよぎりました。おそらくバイデンの攻撃の対象になっている中国のメディアも私と同じ疑問を抱いたと思われます。というのは、バイデンの上記声明後間もなく、ファウチの言動に関する報道が中国の…

6月1日-4日の韓国ハンギョレ日本語WSは、イ・ジェフン統一外交チーム先任記者による朝鮮労働党規約「改正」にかかわる注目すべき論考を立て続けに発表しました。6月1日の「金正恩の「平壌時間」と「我が国家第一主義」、永久分断を夢見るのか」と題する論考では規約「改正」に直接の言及はありませんが、「我が国第一主義」が「2017年11月、「労働新聞」の社説と正論に初めて登場した」とし、その後の経緯を踏まえた上で、「金正恩朝鮮労働党総書記(対外的には国務委員長)は2021年1月5日、労働党第8回大会の演説で、「我が国家第一主義の時代」を公式に宣言した」と指摘しています。
 イ・ジェフンは同日の「北朝鮮、「南朝鮮革命統一論」を削除…

最近、ドイツとフランスがアフリカ大陸で過去に起こしあるいはかかわったジェノサイドについて責任を公式に認める行動を取ったことが報道されました。ドイツはナミビアを植民地支配していた時代の20世紀初めに自ら行ったジェノサイドについて、また、フランスはかつて植民地だったルワンダにおける1994年のジェノサイドに同国が関与したことについて、国家としての責任を認めたものです。独仏両国のこうした行動は、国際人権法の確立という背景抜きにはあり得ないことです。日本政府は「南京大虐殺はなかった」と言い張っていますが、こうした国際的、歴史的な潮流は日本の異常さを際立たせます。
 私が特に関心を持つのは、…

5月19日に3泊5日の予定で訪米した韓国の文在寅大統領は21日にバイデン大統領との首脳会談に臨み、共同声明を発出するとともに共同記者会見に臨みました。バイデン政権の対アジア(インド太平洋)政策における最大の関心事は中国との対決戦略に韓国を引きこむことであり、文在寅政権の最大の関心事は当然ながら朝鮮半島情勢、なかんずく半島の平和と安定及び非核化の実現という宿願について、任期が残り約1年となる中で、金正恩・朝鮮との対話・交渉を再起動させることについて… 

5月21日にイスラエルとハマスはエジプトの調停を受け入れ停戦に合意しました。イスラエルのネタニヤフ首相は「無条件の停戦」と主張していますが、ハマスの高官オサマ・ハムダン(Osama Hamdan)は「占領者はシェイク・ジャラ及びアル・アクサから手を引く」("The occupation will remove its hand from Sheikh Jarrah and al-Aqsa,")という保証を仲介者から受け取ったと主張しています(エルサレム・ポストWS)。この保証が得られたために停戦に応じたという立場です。したがって、… 

アメリカの「台湾・南シナ海防衛コミットメント」戦略の見直しを正面から論じる文章に出逢い、①その主張には大賛成(中国も大歓迎間違いなし)、しかし②ゴチゴチのパワー・ポリティックスに基づく議論展開と他者感覚ゼロ(ここでの他者とは中国と台湾)の自己中な発想(アメリカにとってのメリット・ディメリットしか念頭にない-台湾はいわば「使い捨てぞうきん」の-考え方)には閉口・げんなり、とは言え③反中意識の燃えさかるアメリカの既成エスタブリッシュメントを説得するには、… 

中国人権研究会は4月9日、「アメリカの対外侵略戦争が引き越した深刻な人道主義災禍」と題する文章(以下「報告」)を発表しました。同会は1993年1月に成立した中国最大の人権問題の学術団体であり、国連経済社会理事会にも名を連ねるNGOです。この報告は、バイデン政権が、新彊で「ジェノサイド」が行われている、香港で人権弾圧が行われている等激しい中国非難を行ってきたことに対する正面からの反論であり、アメリカに他国の人権批判を行う資格はゼロであることを、史実を明らかにすることで論証することを… 

近刊(三一書房)のご案内

新年のご挨拶(コラム)の中で触れましたが、年明けからほぼ4ヶ月余をかけて取り組んできた原稿がある程度形をなし、出版の目途が立ってきましたので、ご案内を始めることにしました。

新著のタイトル(まだ確定ではありません)は、『日本政治の病理診断 -丸山眞男:執拗低音と開国-』です。出版社は三一書房、刊行予定日は8月15日です。「私の考えを本にまとめてみないかというお誘い」(1月1日コラム)に即し、今のところ、以下の章立てとなっています(編集過程で変更があるかもしれません)。

一 個人的体験
(一)「執拗低音」との出会い
(二)外務省勤務時代の体験
(三)大学教員時代の体験
(四)外務省の「親米」体質
(五)歴史教科書検定と中曽根靖国公式参拝
二 執拗低音
(一)丸山眞男の問題意識
(二)石田雄の批判
三 開国
(一)丸山眞男の日本政治思想史の骨格
(二)「開国」の諸相
四 「普遍」と「個」
(一)「普遍」
(二)「個(尊厳)」
五 日本の「開国」への道のり
(一)精神的「開国」
(二)物理的「開国」
(三)強制的「開国」
六 21世紀国際社会と日本
(一)21世紀国際社会について正確な認識を持つ
(二)国際観を正す
(三)「脅威」認識を正す
(四)国家観を正す
(五)国際機関に関する見方を正す