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コラム

ロシアにおける核デタランス強化論

アメリカとNATOがウクライナに対して西側供与の武器でロシア領内を攻撃することを許可したのは、この行為がロシアによる核報復を招くことはないという判断に基づくものです。しかし、この判断の底流には、"ロシアがちらつかせる核による報復はしょせん'虚仮威し'に過ぎない"とする米西側の認識が働いています(6月10日のコラム参照)。要するに、ロシアの核戦力は米西側に対する「デタランス」としての威嚇・脅迫の役割と機能を果たしていないということです。
 ロシア国内では、ロシアの核報復の意志に対する西側の軽視を根本から改めさせないと、なし崩し的な戦争のエスカレーションは最終的に核戦争に行き着かざるを得ない、という危機感・問題意識が…

コラム

バイデン政権の政策変更(武器使用条件緩和)とロシア
-核戦争への第一歩-

バイデン政権は5月31日、ウクライナがアメリカ提供の武器を使用する条件を緩和する決定を行いました。同日付のスプートニク通信は、米国務省スポークスマンが声明で同通信に対し、バイデンはロシア領土に対する反撃を目的とするアメリカ提供武器の使用を許可したこと、ただし、ATACMSを含む射程の長いミサイルの使用は許可していないことを明らかにしたと報じました。同日のウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)は今回の政策変更の内容を次のように紹介しています。

 新しい政策はウクライナ軍に対し、ロシア軍がウクライナ北東部のハルコフに対する攻撃に使用しているロシア国内の指揮所、武器庫その他の資産(command posts, arms depots and other assets on Russian territory that are being used by Russian forces to carry out its attack on Kharkiv in northeastern Ukraine)に対する砲の使用及び…

コラム

ロシアの非戦略核演習公表
- 「核デタランス」論争とラブロフ外相発言-

ロシア・ウクライナ戦争はウクライナの劣勢が顕著になる中で、フランス、イギリス、ポーランド、バルト三国など、ロシアに対して強硬な立場を取る国々から、地上軍派遣、ウクライナに供与したミサイルによるロシア攻撃許可など、ウクライナに対する軍事支援を強化する趣旨の主張が高まっています。ウクライナの敗北を認め、問題の政治的解決に踏み切るべきだとする主張も出てきていますが、それはまだごく一部の識者・専門家に限られています。
 NATOのストルテンベルグ事務総長は5月24日にエコノミスト誌とのインタビューの中で、ウクライナに武器を供与している国々に対して、「(ウクライナに課している)制限のいくつかを解除することを考える時が来た」と述べ、…

コラム

中国社会主義市場経済の真実(専門家鼎談)

昨年(2023年)5月29日のコラムで、米西側とロシアの全面対決の問題を取り上げた際に、ジオポリティカルエコノミーWSに掲載された2人のマルクス主義経済学者(マイケル・ハドソンとラディカ・デサイ)の対談の内容を紹介しました。2人はその後もこのWS上で様々な問題について対談を行っており、私も関心を持ってフォローしてきました。3月28日の同WSは、「中国経済の真実-西側メディアの「神話」を正す-」(原題:"The truth about China's economy: Debunking Western media myths")というテーマで、サセックス大学名誉教授で現在は中国社会科学院に在籍中のミック・ダンフォードも加わった3者鼎談の形で、中国社会主義市場経済について議論しています。
 私はかねがね、中国経済について西側(メディア及びいわゆる専門家諸氏)が垂れ流す事実をひん曲げる情報にうんざりしてきました。悲しいことに、…

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