ウクライナ問題と中露関係
-ウクライナ問題における争点⑦-

2014.05.13.

ウクライナ問題は、国際関係の中における中露関係という要素の重要性を際立たせています。ウクライナ問題に対する中国の立場は、①ウクライナ(主権国家)の領土保全という国際法上の大原則を堅持する、②ただしクリミア問題に関しては、その歴史的経緯等に鑑みて、クリミア住民の意思(したがってプーチンの併合決定)を理解する、③クリミアのような特殊事情が存在しないウクライナ東部については、上記国際法上の大原則の枠内での解決を慫慂する(言外の意味としては、プーチンがこの原則を尊重した政策対応を堅持することを期待して見守る)、という3点にまとめることができると思います。
 4月のロシアのラブロフ外相訪中は、5月に行われるプーチン大統領訪中のための打ち合わせという性格のものでしたが、ウクライナ情勢の緊迫化の中で、中露関係のあり方について中国自身が再定義・再確認を行う契機にもなりました。
 ラブロフの訪中に関して発表された4月15日付環球時報社説「ウクライナ東部情勢での態度表明は中国にとっての試練」は、中国のウクライナ問題及び中露関係に関する問題意識の所在を明確に示すものでした。その内容は次のとおりです(強調は浅井。以下同じ)。

 ロシアのラブロフ外相が本日(4月15日)訪中する。ウクライナ東部情勢について中国がロシアと非公式にどう話し合うか、そして公式にどう態度表明するかは、中国外交の知恵と沈着さとが試されることになる。
 ウクライナ東部問題は明らかにクリミアとは異なる。クリミアの事変はカラー革命に対する「お返し」という意味を含め様々な要素を含んでいるが、ロシア人がウクライナ東部を分割しようとする行動は一国の領土保全という国際法上の権利に対する直接の打撃となる。ただし、ウクライナ東部情勢も孤立した事件ではなく、ウクライナにおける「革命」及び激動にその原因がある。
 また、クリミアの国替えのプロセスは非常にハッキリしており、このプロセスを主導したモスクワの考え及び意思は極めて断固としたものだった。しかし、ウクライナ東部の都市で次から次へと起こったロシア人の「造反」あるいは「決起」に関しては、かなりの部分が自発的なものであり、モスクワ及びキエフが取った態度と事態の発展には強い相互作用の働きがある。つまり、外部の動きが事態を誘発したのだが、プロセスの進展もまた外務の態度に影響を及ぼしてきた。
 ロシア政府は一貫してウクライナの分裂を望まないと表明してきたし、クレムリンはウクライナ東部民衆に対して大きな影響力を持ってはいるが、意のままに号令をかけることができるという関係では必ずしもない。ウクライナ東部は元々独立した自治体ではなく、クリミアにおけるようなロシア軍の合法的駐留ということもない。国際的に説明がつくような独立に向けた手順の手がかりはほとんどなく、「クリミア復帰の受け入れ」に比べて、ロシアにとっての難しさは極めて大きい。
 中国としては、ウクライナ東部問題に関して慌ただしく外交的態度表明を行うべきではない。取るべき態度を熟考し、関係国と接触する際に、中国としては以下のいくつかの原則と考慮事項に従う必要がある。
 第一に、主権国家の領土保全を守ることは、「ポスト・クリミア時代」にけるウクライナ東部情勢に対する中国の主調であるべきで、この可能性が存在する限り、中国としては維持するべきだ。
 第二に、ウクライナ情勢の今後の展開において、キエフ、ウクライナ東部ロシア人及びモスクワを含む関係当事者の利益を考慮するとともに、この問題に関する西側のメンツも立てる必要がある。
 第三に、様々な関係の中で、ウクライナ情勢に対する中国の態度表明において中露関係に対して一貫して優先的な地位を与えなければならない。仮にモスクワの動きが過大になって中露間に違いを生む場合には、中露は共に努力してこの違いがウクライナ情勢の中で突出することがないようにするべきだ。
 第四に、主要な大国がウクライナ危機に多かれ少なかれ巻き込まれている中、中国の中立的位置がますます顕著になってきている。中国としては、和解を促進する役割を担うことにさらに積極的になり、諸外国が中国のこの役割を歓迎し、期待するようにしていく必要がある。中国の公式な立場は、ウクライナ東部の独立を支持しないことと西側がロシアを孤立させることを回避することとの間のどこか中間に位置する必要がある。両者のいずれの側により近くするかについては、事態の展開及び是非曲折によって決めるべきであり、衝突がさらにエスカレートしないように努力する必要がある。中国には国際的な重大な衝突において影響力ある調停者の役割を担った実際の経験が乏しいが、ウクライナ情勢においてこの興味ある役割を担うことにもっとも近づいている可能性がある。

ここで特に注目されるのは、中国がウクライナ東部の独立問題に対して非常に敏感になっていることです。このことは、国内に新疆問題やチベット問題を抱える中国としては当然なことです。クリミアについてはハッキリした「特殊事情」がありましたが、そういう「特殊事情」がないウクライナ東部住民の場合、住民投票で独立あるいはロシアへの編入希望という明確な意向表明が行われるときに、これことを中国が容認すれば、中国国内の少数民族居住地住民がそれに刺激を受けて同じような行動を起こす可能性が排除できないからです。
 しかし中国にとって悩ましいのは、「ウクライナ情勢に対する中国の態度表明において中露関係に対して一貫して優先的な地位を与えなければならない」という外交上の要請が厳然としてあることです。したがって、「中国の公式な立場は、ウクライナ東部の独立を支持しないことと西側がロシアを孤立させることを回避することとの間のどこか中間に位置する必要がある」ということになるのです。
私が「そこまでホンネを書いてしまって大丈夫なの?」と感じたのは、この社説の「仮にモスクワの動きが過大になって中露間に違いを生む場合には、中露は共に努力してこの違いがウクライナ情勢の中で突出することがないようにするべきだ」というくだりでした。「過大になる」モスクワの動きとは、プーチンがウクライナ東部の独立を認め、ひいてはロシアに編入することを指すのは明らかです。中国としては、中露間の立場の「違い」が「突出する」ことのないようにするべく、プーチンが中国の立場を無視した行動に突っ走ることがないように働きかけるという姿勢をにじませているのが以上の文章だと思います。
しかし、同時に再確認する必要があるのは、中国が中露関係の戦略的重要性を最高度に重視しているという事実です。4月15日に行われた中露外相会談及び習近平主席のラブロフ外相との会見について中国外交部HPで発表された内容はそのこと裏書きするものです。

◯王毅外交部長とラブロフ外相との会談
 王毅は、中露間の全面的な戦略的協力パートナーシップは今日の世界において中身がもっとも豊富で、もっとも戦略的意味を持つ大国関係であると指摘した。国際情勢が複雑であればあるほどかつ変化が多ければ多いほど、両国はますます緊密な意思疎通を維持し、相互支持及び戦略的協力を強め、各分野での実務的協力を強化し、中露関係が終始ハイ・レベルで前進し発展し、それぞれの発展及び振興に貢献し、国際的な公平と正義を促進し、世界及び地域の平和、安全及び安定を維持するようにしなければならない。
 ラブロフは、今日の世界における様々な問題及び挑戦に対処するに当たり、露中双方は、両国元首が確定した露中関係の目標及び任務を首尾よく完成し、密接な意思疎通と協力を維持し、公正かつ合理的な国際秩序をともに維持するべきであると述べた。
 両国外相は、5月のプーチン大統領の中国に対する国賓としての訪問は当面の中露関係における最大の行事であると認識する。双方は共に努力して、年内の一連のハイ・レベルの交流及び戦略的大プロジェクトについて大きな進展を獲得し、シルクロード経済ベルト建設を積極的に推進する。中露双方は、2015年に共同で世界反ファシズム戦争及び中国人民の抗日戦争勝利70周年を祝賀することにすでに合意している。今日の情勢の下、この祝賀行事は、国連憲章の精神、原則及び公認された国際関係の準則を擁護し、第二次大戦の成果及び戦後国際秩序を擁護する上で重要な意義を有する。双方は密接に協調して関連する活動を行う。
 両国外相はまたウクライナ、朝鮮半島情勢、BRICS協力などについても意見を交換した。

◯中露外相会談後の共同記者会見における王毅外交部長発言
 ウクライナ問題については二つに分けることが可能だ。
 まず、ウクライナ人民の友人として、中国はウクライナ国内情勢が激動を続けることを望まない。ウクライナ国内問題を解決するカギは、その複雑な歴史的経緯を踏まえ、ウクライナ国内の各地域、各民族の正当な権益及び要求に配慮することであり、そうすることによってのみウクライナに持続的な平和と安定をもたらすことが可能となる。
 他方、ウクライナ問題の妥当な解決に当たっては、良好な外部環境も不可欠である。したがって、中国は最初から、各当事者が対話を通じ、非対決的な方式によって政治解決を探究するように呼びかけてきた。我々は、ロシア、アメリカ、EU、ウクライナなどがマルチの対話メカニズムを作ることを模索してきたことを歓迎し、その成功に期待するし、これは中国が目指してきた、和平を促進し対話を促すという大方向とも合致する。この対話が成功するか否かに関しては、関係当事者の合理的な利益及び関心を考慮し、配慮することにポイントがある。そうすることによってのみ各当事者が受け入れる最終的解決の道を探し当てることに資するだろう(浅井注:4者間の合意が破綻した現在では、以上の王毅発言は意味を失っていますが、中国は引き続きOSCEによる調停工作に期待を寄せています)。
 王毅は、中国はウクライナ問題で一貫して公正かつ客観的立場を堅持し、この問題の政治解決のために建設的な役割を発揮したいと強調した。

◯習近平のラブロフ会見
 習近平は、プーチン大統領に対する真摯な挨拶を伝えるようラブロフに要請した。習近平は、中露の全面的な戦略的協力パートナーシップを極めて重視し、プーチン大統領との相互信頼及び友好を貴重なものと見なしていると強調した。今日、中露関係は史上最良の時期にあり、二国間関係の範疇を超えて、両国及び両国人民に幸福をもたらすだけでなく、世界の平和と安定に対しても代わるもののない重要な役割を備えている。双方は、高度な政治的相互信頼を広範な実務協力の成果に及ぼし、密接なハイ・レベルの交流及び戦略的意思疎通を継続し、相互の政治的支持を不断に拡大し、戦略的大プロジェクトの協力を速め、国際及び地域の問題における協調と共同歩調を強める必要がある。
 習近平はプーチン大統領の5月の国賓としての訪問を歓迎し、両国関係及び共通に関心がある重要問題について意見を交換することを期待していると述べた。現在の情勢の下では、双方の意見交換は地域の安全及び安定にとって非常に重要である。双方は十分に準備を行い、さらに多くの協力の長所を際立たせる必要がある。
 ラブロフは、プーチン大統領の温かいメッセージを習近平に伝えた。ラブロフは、露中の全面的な戦略的協力パートナーシップはグローバルな影響力を持っていると述べた。ロシアは中国との意思疎通、協調及び協力を引き続き強化することを希望する。ロシア側は、中国と共に努力し、プーチン訪中が成功を収め、露中関係に新しい活力を注入することを希望している。ラブロフはまたウクライナ問題に関するロシアの立場を通報した。習近平は中国の立場及び主張を詳しく述べた。

 中国が国際政治の中で中露関係を如何に重視しているかを理解し、認識するために、二つの文章を紹介しておきます。
ちなみに、最初の文章にある「第二次大戦の成果を否定しようとする動きに対しては、プーチンは1月19日に第二次大戦の戦果は動かすことはできないと述べた。それは関係する国際関係の法律文書の中で固定されたものであり、ロシアはこれらの国際文件において定められた共通認識を履行するべきことを主張する。プーチンのこの発言は、国際政治関係の中で中国に抵抗する日本の参拝に反対する中国に対する今一つの支持表明である」というくだりは、中露関係が日本・安倍政権の右傾化に対しても共同歩調を取る方向で進んでいることを窺わせます。
安倍政権はいわゆる「北方領土」問題でプーチン政権との間で成果を出したいところですが、ウクライナ問題でアメリカ等に同調した安倍政権に対するプーチンの評価は蒸気1月19日の発言当時よりもさらに冷たいものになっているでしょうから、「中露双方は、2015年に共同で世界反ファシズム戦争及び中国人民の抗日戦争勝利70周年を祝賀することにすでに合意している」(中露外相会談での王毅上掲発言)ことと併せれば、明年(2015年)に向けての安倍外交(その時まで安倍政権が続いていればの話しですが)はますます厳しいものとなることが予見されます。

〇馮創志「並みではない中露の戦略的黙契」(4月20日付中国網)
 4月17日にプーチン大統領は、ロシアと中国との相互信頼及び協力関係はかつてない高い水準にあると述べた。習近平主席はそれに先立つ4月15日に、ラブロフ外相と会見した際に、現在の中露関係は史上最良の時期にあり、二国間関係の範疇を超えていると述べた。中露両国元首がほぼ同じ時期に中露関係を賞讃し、しかもその表現がかくも似通っているということは、中露間には心と心が通じ合い、力を合わせて困難を克服しようとしていることを実感させる。
 (習近平及び王毅のラブロフとの会談内容を紹介した上で)ウクライナ事件の前後関係を振り返るとき、中国の基本的立場及び態度は変化していない。いかなる態度表明も国連憲章及び中国の国家的利益を厳格に遵守している。西側が中国を引っ張り込もうとしたり、逆に中国を中傷したりしても無駄である。
 ロシアと西側が複雑な駆け引きを行っている中での中国の役割には微妙なものがある。中国は世界第2位の経済大国として、アメリカ、EU、ロシアのすべてと緊密な政治経済関係がある。ウクライナ危機の出現に伴い、ロシアはさらに中国に接近する態度を示している。例えば、最近の報道によれば、プーチンは中国に対するS-400対空ミサイルの輸出に同意した。他の報道によれば、ロシアは中国との値引き契約にも応じるという。他方、ソチ冬季オリンピック開会式に際しては、西側各国が抵抗する中で、習近平主席は断固として出席し、プーチン大統領と会談したが、このことは、両国元首間の良好な仕事上の関係と親密な友情とを顕示し、中露双方は互いが重大な関心を持つ問題に関して相互に支持しあうという黙契があることを証明した。
 第二次大戦の成果を否定しようとする動きに対しては、プーチンは1月19日に第二次大戦の戦果は動かすことはできないと述べた。それは関係する国際関係の法律文書の中で固定されたものであり、ロシアはこれらの国際文件において定められた共通認識を履行するべきことを主張する。プーチンのこの発言は、国際政治関係の中で中国に抵抗する日本の参拝に反対する中国に対する今一つの支持表明である。
 様々な原因により、中露関係発展の中ではいろいろな違いはあるが、重大な国際問題においては両国が相互に支持しあうケースがますます増えており、このことは中露両国に裨益すると同時に、世界における安定力ともなるだろう。重大な国際問題に関しては中露間にはすでに高度な戦略的黙契があると言える。ウクライナ危機に直面し及び世界の政治構造に変化が起こっているとき、中露はさらに接近するとともに、世界に対して並みのレベルではない戦略的黙契を見せつけた。

〇崔珩「中露は共同して新グローバル秩序を整備すべきだ」(4月21日付中国網)
*崔珩は華東師範大学ロシア研究センター博士課程
 ここ数年ロシアはソチ冬季オリンピックを含め大規模な国際活動を行ってきているが、これらの活動はロシアの国家イメージを改善する好機であり、ロシアはソチのために巨額の資源を投じてきた。しかし、ロシアがいかに多くの努力を行っても、西側諸国の態度は変わることがなく、ロシアにとっては心理的な失望であるだけではなく、業を煮やすこととなっている。この角度からウクライナ政治危機及びクリミア事件におけるプーチンの政策決定を理解すれば、ロシアには元々はクリミアを併合する計画はなかったのに、その後の併合という決定は特殊な背景のもとで行われたということがプーチン自身の発言から確認できる。つまり、併合という決定を行う際に、ロシア政府に報復及び不満のはけ口を求めるという要素が含まれていなかったとは言い切れないということだ。
 ロシアのエリートがロシアと西側諸国との現在の緊張状態について検討するとき、孤立という言葉が頻繁に用いられる。西側諸国が周到にロシアを孤立させようとしているとは言えないとしても、2003年のイラク戦争の後の各事件から、西側諸国はロシアを事実上対立する立場においてきた。10年前にはイラク戦争反対でロシアと組んだドイツ及びフランスも、今回はEUの利益上、ロシアと一線を画している。ロシア人の孤立感は理解に難くなく、自らは国家イメージを改善しようと努力しているのに、それが受け入れられないことが増大する孤立感となっている。
 西側諸国が国際世論をリードする背景のもとでは、ロシアの孤立は引きこもりと非難されがちである。孤立と引きこもりは本来同じもので、ロシアの民族精神は確かに西側と異なる面があり、引きこもりの伝統がある。しかし問題のカギは、双方の間で対話及び相互理解のチャンスがあったか否か、あったとすればどちらが対話を進め得なくさせたかということである。この点に関しては、西側諸国はロシアのウクライナに関する特殊な感情及び国家利益を理解していないというキッシンジャーの指摘が想起されるべきだ。
 孤立であるか引きこもりであるかにはかかわりなく、ロシアと西側諸国の関係がロシア・グルジア戦争後に谷底に落ち込んだことは争いのない事実であり、双方の協力のほとんどが停止した。ロシアの歴代の指導者が重視したG8もG7に戻り、ロシアと西側諸国との対立状態は1990年代に逆戻りしている。
 こういう孤立状態のもとでロシアの指導者は突破を図るわけだが、大国の中で局面を打開できるのは同じように孤立させられている大国・中国ということになる。(ラブロフの訪中に触れて)中国は一貫してロシアとの友好関係を維持することに努力してきた。習近平が政権を担って以来、すでに訪ロは3回を数え、最初の外国訪問先をロシアとしたことは中国の中露関係重視を表している。ロシアの置かれた状況が極めて厳しいもとで、中露関係の意義は、両国が西側諸国と衝突するときにも完全な孤立には陥らないということにある。
 冷戦後、中国とロシアは、新グローバル秩序を樹立するべきであり、この秩序のもとにおいてのみ様々な国家の発展の道筋の多様性が確保されると信じている。しかも、西側が現在の秩序支配に主動的地位を占めていることは、新世紀の最初の10年において中露が親密であることの主要な要因である。なぜならば、中露はともに世界が承認するグローバルな影響力を有する大国になろうとしており、その立場といえば西側諸国の外にある大国だからだ。したがって、中露は意識的に西側主導の国際的問題設定の枠組み外で自らの活動メカニズムを作ろうとしており、中露が上海協力機構、BRICSを重視する所以である。これらのメカニズムによって短時間のうちにハイ・レベルの協力が得られるというわけではなく、西側とは区別される活動空間を創造するということに意味がある。プーチンが出席する5月のアジア相互協力信頼醸成措置会議(上海で開催)のサミットにおいては、中露という主動的地位にある地域大国がアジアの安全保障問題でさらに大きな発言力を持つことになるだろう。ほとんどの西側諸国がクリミア問題でプーチンを排斥しているときに、このサミットが行われるというタイミングは実に時宜を得ている。露中関係は今後の国際政治においてカギともいうべき要素になるだろうし、現代国際関係に対して重要な影響を生みだすだろう。