(原審:東京高判昭和49年9月18日(昭和48年(行コ)第40号))
<事案の概要>
X(原告,控訴人,上告人)は,次の特許権の特許権者である。
(A)(以下「(A)特許権」という。) | 特許番号 | 第443157号 |
発明の名称 | 消火器体 | |
特許出願日 | 昭和37年9月10日 | |
出願公告日 | 昭和39年4月6日 | |
特許登録日 | 昭和40年3月27日 |
(B)(以下「(B)特許権」という。) | 特許番号 | 第452667号 |
発明の名称 | 消火器体の製造方法 | |
特許出願日 | 昭和37年9月3日 | |
出願公告日 | 昭和39年4月6日 | |
特許登録日 | 昭和40年8月7日 |
Xは,前記(A),(B)各特許権について,第1年分ないし第6年分特許料はいずれも納付したが,各第7年分特許料を納付期限である昭和45年4月6日およびその追納期限である昭和45年10月6日までに特許庁に納付することができなかつたが昭和46年2月3日,各第7年分特許料(倍納額)の追加納付手続を第8,9年分特許料納付手続とともにし,かつ,その旨の上申書をY(被告,被控訴人,被上告人)に対して提出した。
Xの各納付手続に対し,Yは,昭和46年10月19日付で,「本特許権は第6年分特許料不納により昭和45年4月6日に権利消滅した。尚本件に対する昭和46年2月3日提出の上申書は受理できない。」との不受理処分(以下「本件処分」という。)をし,本件処分は昭和46年10月20日X代理人に到達した。
そこで,Xは,昭和46年12月20日,Yに対し,行政不服審査法による異議申立てをしたところ,Yは,昭和47年6月23日付で右異議申立てを棄却する旨の決定(以下「本件決定」という。)をし,本件決定は昭和47年6月27日X代理人に送達された。
X出訴。
第一審(東京地判昭和48年6月22日(昭和47年(行ウ)141号))は,Xの請求を棄却した。
X控訴。
控訴審(東京高判昭和49年9月18日(昭和48年(行コ)第40号))は,Xの控訴を棄却した。
X上告。
<判決>
上告棄却。
「上告代理人小松正次郎の上告理由について
訴訟行為の追完に関する民訴法159条の規定は,特許法112条1項に規定する特許料の追納の期間を徒過した場合については,適用ないし類推適用されないものと解するを相当とする。したがつて,これと同趣旨の原審の判断は正当であつて,その過程に所論の違法はない。論旨は採用することができない。
よつて,行政事件訴訟法7条,民訴法401条,95条,89条に従い,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。」