前著『数学をいかに使うか』の続編。 このあとに、 『数学で何が重要か』、 『数学をいかに教えるか』で完結する。
「はじめに」から引用する。
これは『数学をいかに使うか』の続編である.だいたい同じ程度と同じ調子で, 線形代数や微積分の初歩のあとに続くレベルか,それよりはほんの少し高いレベルの話題で, 入れておいてよかったと思われるものをまとめてみたのである.
ほんの少し高いレベルとはどのあたりか。
まず、下記に目次があるので見てほしい。
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480094391/
では具体的に、「4. 初等整数論のやり方と多元環」では、どう書かれているか。pp.044-045 から引きうつす。
環 `R` が単位元 `1` を持つとき,`R` の元 `a` で逆をもつもの,つまり `ab=1` となる `b` が存在するとき `a` を可逆元と呼び、`R` の可逆元全体を `R^xx` と書く.
この `R^xx` は次の「数学で何が重要か」 に定義なしで出てくる。 つまり、4冊を順に読むか、あるいは代数的構造を理解していないと先に進めないのだった。 「線形代数や微積分の初歩のあとに続くレベル」よりははるかに高く、 「それよりはほんの少し高いレベルの話題」という「ほんの高い」というのは私にとっては 「非常に高い」と同義だった。
p.076 からは 6.微分方程式の使い方という章がある。この章の最初で、ルベーグ積分について触れられている。
しかし読者が読んで易しくてよくわかったからと言って, その本がよいということにはならない. たとえば Lebesgue 積分については前巻の第 9 章に書いたようなやり方で Fubini-Tonelli の定理がきちんと書いてあって証明してあったらまず安心できる. そうでなければ,いくらその本がよくわかっても, その本のいう Lebesgue 積分がわかっただけの話である. いわばにせ金をつかまされたようなもので, それは広い世間では通用しない.つまり使えないのである.
厳しい言い方だ。私が買った本で上記のような本があるか調べて、ルベーグ積分を学ばないといけない。
数式はMathJax を用いている。
書 名 | 数学の好きな人のために |
著 者 | 志村 五郎 |
発行日 | |
発行元 | 筑摩書房 |
定 価 | 950 円 |
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その他 | ちくま学芸文庫、越谷市立図書館にて借りて読む。 |
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