まえがきより引用する:
本書は大学工学系学部において数学を学ぶ数学科以外の学生および数学を道具として用いている人たちのための, 複素関数論の基礎とその使い方を書いた教科書兼参考書である.(中略) 各章で各々の事項を説明した後でなるべく応用について触れるようにした. 応用は特に流体力学を中心に選んだが, 電気工学・電磁気学あるいは物理学やシステム工学にも同じようなレベルのものを探すことは難しくない.
章末には練習問題が置かれている。巻末には参考文献と練習問題の解答がある。
応用例として本書で取り上げている例を目次からわかる範囲で列挙してみた。
9.3 では単振子の解について書かれているので、ここに挙げた。 他の箇所では応用について書かれていないようだ。なかなか難しいだろう。
pp.11-12 の例 1.6 がおもしろい :
次のような計算をしたとしよう.
`1/i = 1 / sqrt(-1) = sqrt(1)/sqrt(-1) = sqrt(1/-1) = sqrt(-1) = i`
この結果は `i^2 = 1` となってしまう.これはもちろん誤りだが,答案などにたまに見かける, あまり笑ってばかりもいられない間違いである. (中略) べき根あるいは一般に多価関数の偏角は無造作に扱ってはならない. この例にあげた混乱は,偏角をきちんと決めないで `sqrt(1)//sqrt(-1)` と `sqrt(1//(-1))` を等しいと考えたために生じた.
(中略)の部分ではこの偏角の違いがていねいに説明されている。これと似た例が、楠幸男の 「現代の古典 複素解析」にあった。
第 6 章では実積分への応用も記載されている。結果の一部は複素関数にある。
なお、実積分の応用となる積分の問題が、第5章の練習問題で先取りされている。 これらの練習問題は第6章の例題を解いてから行えばよい。
このページの数式は MathJax で記述している。
書名 | 複素解析の技法 |
著者 | 藤原毅夫 |
発行日 | 1999 年 9 月 25 日(初版第1刷) |
発行元 | 共立出版 |
定価 | 3000円(税別) |
サイズ | A5版 218 ページ |
ISBN | 4-320-01605-X |
NDC | 413.52 |
その他 | 草加市立図書館にて借りて読む |
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