小平 邦彦:複素解析Ⅱ

作成日:2021-09-30
最終更新日:

概要

第Ⅰ分冊の続きとして、 等角写像と解析接続、Riemann の写像定理について述べる

感想

等角写像

本書の最初にある、§3.1 等角写像で、著者はこのように書き始める:

`w = f(z)` を或る領域 `D subset CC` で定義された正則関数とする. 複素平面 `CC` 上の点を文字 `z` で表わしたとき `CC` を `z` 平面,`w` で表わしたとき `w` 平面とよぶことにすれば, 正則関数 `f` は `z` 平面上の領域 `D` に属する各点 `z` をそれぞれ `w` 平面上の一つの点 `w = f(z)` に移す写像(mapping)である. 関数 `f` も写像 `f` も `z in D` に `w = f(z)` を対応させる対応であるという意味では同義であるが, 複素解析では対応 `f` の幾何学的性質を考察するとき `f` を写像という場合が多い.

この最後の文章には写像も関数も形式的には同義であるがその nuance は異なるのである.という脚注がある。 厳密を是とする数学でも、ニュアンスということばを出して含みを持たせることもあり、安心するのだった。

1次変換

本書でも、そして複素関数入門複素関数論Ⅱでも、 本書では (3.25) 式である次の形の変換

`f: z rarr w = f(z) = (alphaz + beta)/(gammaz + delta), quad alphadelta - betagamma != 0`
を1次分数変換、あるいは1次変換と呼んでいるが、メビウス変換という名称は与えていない。 このメビウス変換という名称は「プロの数学」で見かけたので、 その複素関数論の本を見るときにこの名前があるかどうか気になっている。この名前があったからといって、 何かが変わるわけではないのだけれど、 内容がわからない私にとっては本を読む好奇心の材料としてはこれぐらいしかない。

数式記述

このページの数式は MathJax で記述している。

書誌情報

書 名複素解析Ⅱ
著 者小平 邦彦
発行日1973 年 2 月 1 日
発行元岩波書店
定 価
サイズA5版 124 ページ
ISBN
その他岩波講座 基礎数学 草加市立図書館にて借りて読む

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