「はじめに」より引用する:
この複素解析は古典的な関数論,すなわち1複素変数の正則関数の理論の入門書である.
本書は「岩波講座 基礎数学」全 24 巻( 79 分冊) のうちの第 9 回配本のうちの 1 冊である。
私の記憶に残っている複素解析に関する思い出は、コーシー積分定理の証明のあとは、 留数定理によって定積分の値を見事に出すところで終わっている。等角写像とか、リーマン面とかも学んだはずだが、 内容はとうに忘れている。
本書では第1章で正則関数を、第2章でコーシーの定理について述べている。 コーシーの定理については、特別な領域に関して何度も証明している。 第1章では、まず複素関数の積分を述べたあとですぐ、 (1) 半径 `r` の円という領域での積分に関して証明している。 その後、(2) 長方形の連続写像によってできる領域内でもコーシーの定理を証明している。 そして第2章では (3) 一般の領域についてコーシーの定理が成立することを証明している。 つまり、領域の違いこそあれ、この定理を3回も証明しているのである。 私のような料簡が狭い者は、一般的な領域で1回証明すればいいではないかと思うが、 それでは教育的配慮がないというものなのだろう。
この第2章のあとでは留数計算が解説されるので、 ここでいくつか定積分の計算ができるようになる。たとえば、
このページの数式は MathJax で記述している。
書 名 | 複素解析Ⅰ |
著 者 | 小平 邦彦 |
発行日 | 1973 年 2 月 1 日 |
発行元 | 岩波書店 |
定 価 | |
サイズ | A5版 124 ページ |
ISBN | |
その他 | 岩波講座 基礎数学 草加市立図書館にて借りて読む |