本分冊では、解析入門Ⅲの続きとして、 積分法(つづき)、曲線と曲面について述べる。
本書は「岩波講座 基礎数学」全 24 巻( 79 分冊) のうちの第 23 回配本のうちの 1 冊である。
現在本書をもとにした小平邦彦の「解析入門」は2冊組の軽装版として流通しているが、当時は4分冊であった。 全巻が手元にあることが前提であったからか、 問題が章末ではなくすべてこの分冊に収められていたというのが意外だった。 また、練習問題の一部が他書の引用であることを明示してあるのも意外だった。なお、解答はついていない。
p.446 では、例 9.1 に長さをもたない Jordan 曲線の例がある。p.447 の図を見てみると、 これはコッホ曲線そのものであるが、本書にはコッホ曲線の名前は出てこない。 したがって、フラクタルということばも出てこない。たまたま、 同時期に「フラクタル」という本を借りてきて、 同じ図をみかけたのだった。
第8章の「積分法」の最後は、`n` 次元の超球の体積を計算している。この計算は積分の教科書や演習書でよく出てくるが、 本書では p.439 で示されている次の (8.80) 式を使って計算しているのが面白い。
`int_D (1 - x_1 - x_2 - cdots - x_n)^(p-1) x_1^(q_1-1) x_2^(q_2-1) cdots x_n^(q_n-1) dx_1dx_2cdots dx_n = (Γ(p)Γ(q_1)Γ(q_2)cdotsΓ(q_n))/(Γ(p+q_1+q_2+cdots+q_n))`
問題から引用する(p.476):
34 積分 `int_0^(+oo) abs(sinx) e^(-x)dx` の値を求めよ(三村征雄“微分積分学”, p.149).
たまたま同時期に借りていた「特異点のこころえ」に実質同じ問題があったので解いてみた。
このページの数式は MathJax で記述している。
書 名 | 解析入門Ⅳ |
著 者 | 小平 邦彦 |
発行日 | 1979 年 9 月 25 日 |
発行元 | 岩波書店 |
定 価 | |
サイズ | A5版 387 ページ から 482 ページ |
ISBN | |
その他 | 岩波講座 基礎数学 草加市立図書館にて借りて読む |