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名演5月例会 モスクワ・ユーゴザーパド劇場公演 

夏の夜の夢

作/ウィリアム・シェイクスピア 翻訳/堀江新二 
演出/ワレリー・ベリャコーヴィチ

5月29日(木)6時30分 30日(金)1時30分・6時30分
名古屋市民会館中ホール 地図  

1 会費     
  月額 2600円 22歳以下 2000円 
  高校生以下 1300円
2 入会金 2900円 22歳以下  2300円 
  高校生以下 1600円
                       
  くわしい名演の入会方法はこちら
  

作品関連リンク集

2月16日(日) 演出家ワレリー・ベリャコーヴィチさんの講演会を行いました。
詳細は
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4月1日には翻訳の堀江新二さんの講演会も行いました。
詳細は
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 夏の夜の夢1夏の夜の夢2
  
  



あらすじ

 アテネの公爵シーシュスの重臣イージーアスには、ハーミヤという娘があり、ライサンダーという若者を愛していました。ところが父親は大反対、気に入りのディミートリアスとの結婚を迫るのでした。
 父親の言いつけにそむけば、アテネの国法はハーミヤを死刑にするか、尼として一生を修道院に閉じこめてしまうのです。
 ハーミヤとライサンダーは、夜にまぎれてアテネの城門を抜け出し、郊外の森で落ち合い、新しい世界を求めて生きようとします。このことを知ったディミートリアスは、2人のあとを追って森へ急ぎます。またディミートリアスを慕うヘレナもそのあとを追い、4人の男女がアテネ郊外の深い森へ集まってきます。
 一方シーシャス公爵は、アマゾンの女王ヒポリタとの結婚式を数日後にひかえ、街中をあげて盛大な準備をさせています。
 織物屋のフルートを中心とする芝居好きの職人仲間は、結婚式の余興に『ピラマスとシスピ』という純愛大悲劇を上演して賞金をいただくことを計画し、その稽古のためにこれまた森にやってきます。
 さて、この森には自然の運行を司る妖精たちが棲んでいます。しかも大王オベロンと、女王タイテーニャとが夫婦喧嘩の最中でした。
 オベロンはいたずら者の妖精パックに命じて「不思議な恋草」を持ってこさせ、タイテーニャをこらしめようとします。この草の汁を眠っているものの瞼に塗ると、覚めたとたんに初めて見たものに惚れてしまうという、不思議な草なのです。
 オベロンはまたヘレナの立場に同情して、ディミートリアスの眼にも、この草の汁を塗ることをパックに命じます。ところがパックの「人違い」がもとで大騒ぎが始まるのです、
 ライサンダーとディミートリアスが、二人してヘレナをくどくことになったのです。そしてついに、剣にかけて争うことになってしまいます。
 さあ大変。あわてたオベロンとパックは懸命に事態収拾をはかりますが、さて二組の恋人たちはめでたく結ばれることができるでしょうか、そして職人たちの大悲劇は公爵の御意にかない、賞金をいただくことができるでしょうか、そしてオベロンとタイテーニャはうまく仲直りができますでしょうか……。


『夏の夜の夢』 


     ―祭りと哄笑と神秘の世界  堀江新二(大阪外国語大学教授)

 「演劇はお祭りだ」というベリャコーヴィチの言葉にもっともふさわしい演目が、シェイクスピアの傑作喜劇『夏の夜の夢』だろう。1996年に初演されたときには、「カーニバル性と神秘性の結合した最高傑作」(「映画と舞台」誌、1996年10月号)とモスクワ人文人学教授のA・ズヴェレフ氏は書いているし、演劇評論家のサリニコワ氏は「この芝居では〈遊びと演劇〉というテーマが見事に解明されている」(「演劇生沽」1996年9月号)と書いている。もともと即興を含む喜劇が得意なユーゴザーパド劇場の俳優たちにはうってつけの作品と言えよう。

 ご存知のように、この芝居は三.つの世界から成り立っている。公爵を中心とする貴族の世界、そして森の中の妖精たちの世界、最後に民衆の代表とも言うべき「職人」たちの世界。この三者が入り乱れての「恋とファンタジー」の大騒動が繰り広げられる。

 まず、最初に登場する貴族たちがユーゴザーパド劇場には「似つかわしくない」華麗な衣裳で登場する(最近はロシアのピエール・カルダンと呼ばれるザイツェフ氏のデザインで衣裳を作ったりしている)。一方妖精たちは葉っぱを身に付けただけの裸同然の姿。そして最後に職人たちだが、初めて観たときはどこか劇場付近の工事現場か雪かきのおじさんたちが間違えて舞台に上がってしまったのかと思わせるほどリアリティの富んだ「汚い」格好で登場すると、この連中がアドリブだらけのドタバタ喜劇を展開する。しかし、よく見るとこれがユーゴザーパド劇場の中心的な男優陣なのだ。しかも、日常彼らがジョークを言い合っている調子そのものである。日本人の観客が多いときは、日本話が随所に入ったりする。この即興芸の巧みさは驚くほどで、日本でなら昔松竹新喜劇の藤山寛美さんがやっていたような演技に通じるもの。ただ、日本公演のときは、同時通訳者が困るから、きちんと約束通りのセリフをしゃべるように、来日が近づいたらお願いしなくてはならない。

 この滑稽な連中を中心に、華麗な貴族の世界と森の妖精たちの世界がグロテスクに一体になるその演出手法はまったく見事としか言い様がない。ベリャコーヴィチ独特の照明の使い方、音楽の使い方が芝居を一層神秘的なカーニバルの世界に近づける。オペラ、バレエ、ボードビルなど様々な舞台芸術のジャンルがパロディ的に駆使されるのも注目される。演劇の楽しみを教えてくれるユーゴザーパド劇場の最高傑作の一つといえよう。

 この『夏の夜の夢』をご覧になれば(だいたいユーゴザーパド劇場の芝居はどれでもそうだが)理屈抜きで、時に大笑いしながら、人間世界と神秘の世界の壮大な「夢」を見て、カーニバル後の妖しい高揚した気分で家路につくという現代では得難い不思議な体験をすること間違いなし。笑いがもっともヒューマンなもの(ベルグソン)なら、この「一夜」の体験は日項忘れがちな「人間力」をきっと取り戻してくれるに違いない。

「ロシア演劇2002」(阿部事務所発行)より転載 
        


モスクワ・ユーゴザーパド劇場プロフィール

 1977年モスクワの南西部(ユーゴザーパド地区)の労働者街に素人劇団として誕生した。旧ソ連時代に子ども達は地域で盛んに文化活動に参加していたが、モスクワ西南部の演劇サークルには、偶然にも大変な芸達者が集まっていた。その中心が「ガキ大将」ワレリー・ベリャコーヴィチだった。青年になったワレリーは教育大学に進むが卒業しても、好きな演劇が忘れられず、ロシア一の難関と言われている国立演劇大学に挑戦し見事入学。5年間のプロ教育を受けて、卒業後、モスクワ芸術座その他中央の劇団からの誘いを断り、地元に帰り「ユーゴザーパド・スタジオ劇場」を設立する。すぐに昔の仲間がはせ参じ、今のユーゴザーパド劇場の原型が作られた。1987年ペレストロイカの時代に偶然イギリスへの出国が認められ、エジンバラ演劇祭に参加、そこで大好評を博した。それからはむしろロシア国内より、世界の各地で評判になっていく。

ワレリー・ベリャコーヴィチ
ワレリー・ベリャコーヴィチ



スタッフ
原作 W.シェイクスピア
翻訳 松川直子
監修 堀江新二(小田島雄志訳参照)
台本・演出 V.ベリャコーヴィチ(ロシア人民芸術家)
照明 V.クリモフ
音響 A.ロプロフ(ロシア功労芸術家)
衣装 I.ボチョシヴィリ(ロシア功労芸術家)
 
舞台監督 山田和彦
舞台監督助手 佐藤朋有子
照明 望月圭介岡崎宗貴アートスフィア
音響 木田雅之アートスフィア
通訳 日向寺康夫松川直子
イヤホンガイド 佐藤明朝日解説事業
制作 崎山敦彦アートスフィア
制作 阿部義弘阿部事務所

キャスト

(アテネの人々)  
シーシュス公爵 A.ワーニン(ロシア功労芸術家)
ヒポリタ(アマゾンの女王) I.ポドコパエワ
フィロストレート M.シャヘート
イージーアス I.コロヴィン
ハーミヤ(その娘) K.ドィモント
ライサンダー A.ナウーモフ
ディミートリアス A.ゴルシュコフ
ヘレナ I.スーシナ
(職人たち)
フルート(演出係) A.グリシェチキン(ロシア功労芸術家)
ナヨナーヨス(女役) V.アヴィーロフ(ロシア功労芸術家)
アホデカ(壁役とロバ) S.ベリャコーヴィチ(ロシア功労芸術家)
トンマラス(王の役) V.ボリーソフ(ロシア功労芸術家)
ハナヅラー(口上読みの呑み助) V.コッパロフ(ロシア功労芸術家)
マヌケス(ライオン役) M.ベリャコーヴィチ
(森の妖精)
オベロン(森の王) O.レウーシン
タイテーニヤ(森の女王) N.ペルシャニノワ
パック M.ドーキン または A.グリーシン
男の妖精 O.ザドーリン・A.ザドーヒン
A.マトーシン
・ほか
女の妖精 G.アヴィーロワ・I.バルイシェワ
O.イワノーワ
・ほか


モスクワ・ユーゴザーパド劇場ウェブサイト http://teatr-uz.ru/index.shtml

翻訳者堀江新二さんのウェブサイト 
http://homewww.osaka-gaidai.ac.jp/~horie/horie.htm

ロシア演劇をみよう! 2003年 ロシア演劇上演のご案内 
http://www.age.ne.jp/x/kanya/miyo.html

アートスフィアウェブサイト内 ベリャコーヴィチ氏インタビュー http://www.tennoz.co.jp/sphere/pickup/moscow/f_moscow.html


5月例会『夏の夜の夢』例会終了しました!
前例会を越える会員で迎えることができました。

トラック到着、搬入前にちょっと一息。
トラックのドライバーは昨年5月から1年ぶりの「三平さん」トラックの中で作業中だったのです。
仕込みの様子。暑いのか早くも上半身裸で作業中です。
初日(29日)の夜。俳優さん(ヒポリタ、ハナヅラー、オベロン、タイテーニヤ役の皆さん)と演出のベリャコーヴィチ氏を囲んで、交流会。大いに盛り上がりました。

職人ハナヅラーを演じたコッパロフさん

演出のベリャコーヴィチさん
挨拶をするベリャコーヴィチさん。


オーベロンを演じたレウーシンさん。


運営サークルの方が楽屋見舞いにパンを
持っていきました。


受付の準備。

名演としては、2000年9月の『検察官』以来のロシア演劇の例会。イヤホンガイドを貸し出したり、いつもと違う例会でしたが、いかがでしたか?

感想等をお寄せ下さい。


イヤホンガイド

5月例会『夏の夜の夢例会運営担当サークル

  「名演」5月号の作品紹介は、エナジーサークルにお願いしました。

 参加した方のメッセージ

とても期待できる、面白い芝居になりそう。
当日例会場を一杯にして、ユーゴザーパドを迎えたい。
カーテンコールで、芝居がよかったら立ち上がって、拍手とブラボーと言おう!

 



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最終更新日 2003/06/02