トップ>過去の上演作品>2002年上演作品>煙が目にしみる
|
加藤健一さんから、熱いメッセージが届きました。
カトケンワールドーへようこそ!
皆さん今日は!! まだまだ寒い日が続いていますが、元気にお過ごしでしょうか?
3月27・28日に『煙が目にしみる』というお芝居で、名古屋演劇鑑賞会例会に出演させていただく、カトケン事務所の加藤健一です。
全国の皆さんの熱い応援のおかげで、カトケン事務所は新春早々、文化庁芸術祭賞を受賞、又、読売演劇大賞では5部門中、4部門を一挙受賞するなど、元気一杯のスタートを切りました。長引く不況で暗いニュースばかりが耳に入ってくる昨今ですが、カトケンワールドはいつも明るいニュースが目白押しです。
この勢いを借りて、2002年の第1弾は『煙が目にしみる』を舞台に乗せることにしました。翻訳作品の上演が多いカトケンワールドには珍しい、日本のコメディーです。火葬場を舞台にしたお話しですが、面白く、可笑しく、そして涙無しには見られない、日本の誰にも喜ばれるような素晴らしい作品です。
この芝居の中で僕は、役者になって初めての女性役に挑みます。と言っても70代のおばあちゃんの役ですが…。
元気で可愛く、ちょぴり意地悪、そして何と死んだ人の姿が見え、声まで聞こえてしまうというスーパーおばあちゃんです。果たしておばあちゃんは本当に死者と交信できるのか、それともボケているだけなのか?
僕は今、何とも可笑しいこのおぱあちゃんの役作りに、毎日夢中で取り組んでいます。
ものすごく面白い芝居になると思いますので、是非是非、お見逃し無く!当日は何があっても絶対に劇場まで遊びに来て下さいね!! また、誰に見せても必ず喜ばれる舞台ですから、1人でも2人でもお友達を誘って来て下さい。こんな楽しいお芝居を機会に"名演"の活動が、ますます活発になることを心から祈っています。名古屋の皆さんの、元気な笑顔にお逢いできる日を心待ちにしています。
加藤健一
STORY
春。関東近郊の小さな町の斎場。これから、野々村家と北見家の火葬が執り行われるところ。誰もいない待合室に、二人の白装束の男が現れる。野々村浩介と北見栄治だ。あの世へ旅立つ前に初めて顔を合わせた二人は、どちらからともなくお互いの身に付けているものを、チェックしたりしている。
野々村家の遺族は、未亡人になった礼子と娘の早紀、治介の母で少しポケがきている桂、そして親族達。北見家は娘の幸恵とたった一人の参列者、牧だけである。
やがて最後のお別れがすみ、棺は静かに炉の中ヘ。小一時間程後、焼け焦げた白装束の浩介と栄治が走り込んでくる。
「あちちちち……………」
「いやー、参った参ったサウナなんてもんじゃないな。」
袖からシケモクを出して一服しながら、それぞれの家族の思い出話を始める。妻から子供たち、そして両親のこと……。
そこへ浩介の母の桂がやって来る。自分の姿が見えないはずの母親に、先立つ不孝を詫びる。
「ごめんな、おふくろ。俺の方が先にいっちまって……。長生きしてくれよ。」と、浩介は泣きくずれる。
その浩介に向かって桂は、はっきりした声で言い返す。「何言ってんだい。あたしゃ、まだまだ死なないよ。それより、どうしてお前は焼け焦げた浴衣なんか着てんだ?」
「俺は死んじゃったんだよ。」
「そうだったの?」
「おふくろは、お通夜もお葬式も出てたじゃないか。」
「な〜んだ、お前の葬式だったのか。誰のだかわかんなかったんだよ。」
半分幽霊になった息子と、半分ボケた母親の、世にも奇妙な会話が続いていく……。
ニ〇〇二年二月から新制度になって年間例会数が七回に変わります。一月までは毎月あった例会が少なくなってしまい寂しい気がしますが、より多くの人達に演劇の楽しさを知ってもらい、誰もが気楽に参加できる名演を創っていきたいものです。
劇場の同じ空気を吸って感動を共有できる。見終わってなにか少し心が豊かになったような気になる。じっとしていられなくて誰かに話したくなる。そんな舞台と出会える名演であるようにしたいですね。
そんな飛躍を目指す名演の新制度最初の例会は、加藤健一事務所の公演、『煙が目にしみる』です。
加藤健一事務所といえば去年8月の『セイムタイム・ネクストイヤー』の記憶もまだまだ新しい人も多いでしょう。前回はアメリカが舞台で、25年の期間の変化を見せてくれましたが、今回は日本の、しかもとある田舎町の斎場での、骨上げを待つ一時間半ほどの家族の様子がそのまま舞台になっています。それに何とカトケン今回は半分ボケたおばあちゃん役。いったいどんなおばあちゃんなのでしょうか。2000年春の初演で絶賛の舞台。波瀾、感動、涙ありの見逃せないカトケンワールドです。
近頃は毎日の生活の中でほとんど宗教とは関係がなくて、自分の「家」の宗旨が何で、一体どういった「教え」なのかはっきりと知らない人も多いと思います。我が家にも仏壇やら神棚などといった物は何もなく、およそ信仰心が篤いなどとは言えません。
正月には神社かお寺に初詣に行き、お盆にはお墓参り、12月にはクリスマスなんていうのがせいぜいで、あまり宗教を意識している生活ではないでしょう。特に若い世代の人には初詣やクリスマはイベントではあっても信仰ではないという人が多いでしょう。宗教を意識するのは他には結婚式と葬式ぐらいで、まあ何でも有りの何にも無しで、中には熱心な人もいるという程度でしょうか。
でも冠婚葬祭は付き合いの中で参加しなくてはならない時もあるけれど、普段しない事だから知らない事が多くて困ります。特に葬式は急に有ることが多いし、宗旨宗派によっていろいろな決まり事があって、厄介ですね。
葬式には何回も参列しているベテランで、この人に聞けば間違いがないなどという葬式の達人は周りにはいないので、マナー本などをあわてて読んでもなんだかもうひとつピンと来ません。まあ葬儀に参列する時は、前の人の真似をしてチャッと済ませて神妙にしていればいいけれど、これが親類側ではそうそういい加減にするわけにもいきません。長く生きていれば身内の葬式にも出ることもあるだろうし、ひょっとすると喪主になるなんてこともあるでしょう。そうなったら大変です。
伊丹十三監督の『お葬式』という映画がありました。形式の中で起こる悲喜劇を風刺を交えて描いた面白い映画でしたが、実際知らない事だらけでおろおろしてしまうのでしょう。そんな中だから笑うに笑えない喜劇やらドロドロの見るに耐えない悲劇やらが現れて来るのかもしれません。
どのみち最期は自分の葬式をやってもらうことになるのだろうけれど、もしも死んだ自分がおのれの葬式の有様を見られるとしたらどうでしょうね。身内が争う姿は見たくないし、言いたい事もあるでしょう。まあ実際には見られはしないでしょうが、いつ何時死んでしまうかは分らないから、死んでから恥ずかしい事にならぬよう、身の回りはすっきりしておかないといけなのでしょうね。
生きている間にどういう人とどういう関わりをしていくかが、人生の最期に問われるのでしょうか。
石川徹
配役 |
スタッフ 原案…………………鈴置 洋孝 |
鈴置洋孝さんのファンサイト http://www.ne.jp/asahi/jigen/830/sun/
岡田達也さんのウェブサイトhttp://www.hosomi.com/okada/
3月例会『煙が目にしみる』例会運営担当サークルスケジュール
4月25日 感想文集づくり 上の写真を見ての通り、手作りです。 |
3月27日午前9時。搬入開始。 |
終演後の加藤健一さんのサイン会 |
交流会での加藤健一さん 加藤さんをはじめ8人の |
|
会場前の例会運営サークルの打ち合わせです。あと開場まで10分。 |
バラシ(舞台装置撤去・搬出)が終わりました。 |
最終更新日 2002/05/17