欧州環境庁(EEA)2013年1月 レイト・レッスンズ II
7. タバコ産業の研究操作 (概要編)
Lisa A. Bero

情報源:European Environment Agency
EEA Report No 1/2013 Part A Summary
7 Tobacco industry manipulation of research
Lisa A. Bero
http://www.eea.europa.eu/publications/late-lessons-2/late-lessons-chapters/late-lessons-ii-chapter-7

紹介:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico
掲載日:2013年2月19日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/precautionary/LL_II/07_Tobacco_industry_summary.html

 本章は、レイト・レッスンズ II 早期警告からの遅ればせの教訓の他の章とは幾分異なる。非喫煙者が曝露させられる”二次喫煙”、”受動喫煙”、あるいは”環境タバコ煙(ETS)”は、能動的喫煙の歴史と重なる。影響を受ける人々には、喫煙者のパートナーや子どもたち、そしてタバコ煙の環境で働かなくてはならないバーテンダーやその他の労働者がいる。

 本章の焦点は、能動的喫煙と同じように環境タバコ煙(ETS)が非喫煙者に肺がんやその他の影響を及ぼすという増大する証拠を否定し、軽視し、歪曲し、捨て去るというタバコ産業により用いられた戦略に当てられている。それはタバコについての科学的知識の歴史や、肺がんやその他の喫煙の有害影響を削減するために、それがどのように利用され、あるいは利用されなかったかについてに、目を向けるものではない。この件については多くの文献があり、本章末の表はこの分野の知識の進展の主要な期日を示している。

 本章は、増大する有害性の科学的証拠を容認する、あるいは否定する”論証”に専念する。有害な健康影響に関するデータを否定するために用いられた科学を誰が作り出し、誰がそれに金を提供したのか? その動機は何か? どのような種類の科学と情報、ツールと仮定が、タバコの健康への有害性に関するデータを否認するために用いられたのか?

 アメリカにおける裁判のため公開された数百万のタバコ産業の内部文書は、タバコ産業の内部作業に光を当て、研究を操作することへの彼らの以前の隠された関与を明らかにした。しかし、この識見は、ほとんどの企業分野にとって利用可能ではない。本章は、独立性を確保し特定の見解への偏向を防ぐために、資金供給源と、研究とリスク評価への特別の利害関係の”完全な公開”の可能性を議論する。

 喫煙禁止は現在、ますます多くの国で導入されており、他の産業はタバコ会社の戦略から示唆を引き出し、市場にある有害製品を維持するために有害性について疑念を持たせることを模索している。

 本章はまた、自身の利害に資するためにアメリカとヨーロッパでのリスク評価形成におけるタバコ産業の役割の概要を含んでいる。


訳注:参考資料


化学物質問題市民研究会
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