(99/9/7掲載)

[バイヤー版]


 一時は「モツレク」の標準になろうかというほどの勢いがあった版ですから、数多くの録音があります。しかし、今となっては、もはや多くの版の中のひとつの選択肢にしか過ぎません。

 ゲルハルト・シュミット・ガーデン/コレギウム・アウレウムDHM74年録音 )

フランツ・バイヤーも参加して行われた、この版の最初の録音。ただ、この団体の能力は、現在のオリジナル楽器が到達したレベルからははるか程遠いところにあります。それに輪をかけてお粗末なのが、女声パートを歌っているテルツ少年合唱団。二度と聴く気にはなれません。
DHM/74321-31732-2

ネヴィル・マリナー/アカデミー・オブ・セント・マーチン・イン・ザ・フィールドARGO77年録音)

このコンビはオリジナル楽器系ではありませんが、数々の革新的な試みを確かにかつては行っていました。だから、バイヤー版もいち早くとりいれたのですが、映画のサントラを担当するほどメジャーになってしまっては、パワーダウンも止むを得ません。ちなみに、90年のPHILIPSへの録音は、ジュスマイヤー版を使っています。
DECCA/417 746-2

ニコラウス・アーノンクール/ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスTELDEC81年録音)

この人のアクの強い恣意的な演奏は、版の問題とは全く別の次元のものです。この録音もだいぶ古くなってしまいましたが、再録することがあれば確実にバイヤー版以外の版を選ぶことでしょう。
TELDEC/0630-10019-2

ロバート・ショウ/アトランタ響TELARC86年録音)

フォーレのレクイエムでいち早くラッター版を用いたのと同じノリでバイヤー版を使うという、わかりやすい「良心」の持ち主ではあります。
TELARC/CD-80128

ジギスヴァルト・クイケン/ラ・プティット・バンドACCENT86年録音)

まともなオリジナル楽器系でバイヤー版を使っている唯一の例です。版に関係なく、素晴らしい演奏です。
ACCENT/ACC 68645 D

レナード・バーンスタイン/バイエルン放送響DG88年録音)

これも、版がどうのこうのと言う前の強いキャラクターに圧倒されます。この版にそんなに強い執着があるわけではないというのは、ジュスマイヤー版を聴き慣れた耳にはなじめない"Rex Tremendae" 冒頭2拍目のパウゼを通奏低音のオルガンでうめるという「反則」からも分かります。
DG/427 353-2

フランツ・ウェルザー・メスト/ロンドン・フィルEMI89年録音)

バイヤー版でEMIからデビューするというユニークさ(?)があったからこそ、クリーヴランドの音楽監督にもなれたのでしょう。

ミシェル・コルボ/ローザンヌ・アンサンブルCASCAVELLE90年録音)

75年にERATOに録音した時には、ジュスマイヤー版を使っていました。ジュスマイヤー版の復権が著しいこの時期にバイヤー版に変節するという、きわめてめずらしいケースです。

00/4/27追加)

ミシェル・コルボ/ジュネーヴ室内管ARIA95年録音)

フリブール(スイス)の「ミシェル・コルボ音楽祭」でのライブ録音。やりたい放題やってるため、後半はアンサンブルがぐちゃぐちゃになってます。
ARIA/971201

00/7/30追加)

フリーダー・ベルニウス/シュトゥットガルト・バロック管CARUS99年録音

久しぶりに出た、オリジナル楽器によるバイヤー版。合唱、ソロの声楽陣が特に充実。オケも暖かい音色でありながら、訴える力には強いものがあります。ライブ録音ですが、全くといってよいほど傷がありません。
CARUS/83.207

01/11/5追加)

ベルンハルト・クレー/ドイツ連邦ユース管IPPNW95年録音

広島・長崎原爆投下50年の演奏会のライブ。演奏の水準はなかなかのものですが、コンサートの性格上、ちょっと張り切りすぎの感は否めません。(ジャケ写から詳しいレビューがリンク)
IPPNW/CD-14

(04/6/7追加)

ニコラウス・アーノンクール/ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスDHM03年録音)

再録音は、予想を見事に裏切って旧録音と同じバイヤー版でした。詳細は画像からのリンクで。
DHM/82876 58705 2

(04/11/22追加)

ハンス・マルティン・シュナイト/シュナイト・バッハ管LIVE NOTES04年録音)

日本人の合唱団とオーケストラによる初めてのバイヤー版。詳細は画像からのリンクで。
LIVE NOTES/WWCC-7481

(05/7/11追加)

ロリン・マゼール/バイエルン放送響DREAMLIFE93年録音)

教会でのコンサートのライブ映像です。詳細は画像からのリンクで。
DREAMLIFE/DLVC-8020(DVD)


(06/1/27追加)

イルジー・ビエロフラーヴェク/BBC響BBC MUSIC05年録音

ライブならではの気迫のこもった演奏。詳細は画像からのリンクで。
BBC MUSIC/BBC MM262


(07/2/16追加)

ゲオルク・クリストフ・ビラー/ゲヴァントハウス管RONDEAU06年録音

合唱はトマス教会合唱団。少年ならではの一途さが心を打ちます。詳細は画像からのリンクで。
RONDEAU/ROP4019


(10/2/4追加)

フォルカー・ヘンプフリンク/ヨハン・クリスティアン・バッハ・アカデミーAVI06年録音

合唱はケルナー・カントライ。オリジナル楽器による演奏です。詳細は画像からのリンクで。
AVI/8553147


(13/7/26追加)

レオナルド・グラシア・アラルコン/ニュー・センチュリー・バロックAMBRONAY12年録音

合唱はナミュール室内合唱団。オリジナル楽器による演奏です。「真作」のみを演奏しています。詳細は画像からのリンクで。
AMBRONAY/AMY038


[バイヤー版]